SAP SMEソリューションマーケティング担当上級副社長 Jeff Stiles氏 |
最大手の業務アプリケーションベンダ 独SAPが強化しているのが中小規模企業(SMB)だ。SAPはSMB向け製品開発やマーケティングに大きな投資を行っており、昨年にはSaaS「SAP Business By Design」を発表、製品ポートフォリオを完成させた。
SAPにとって新しいビジネスモデルとなるBusiness By Designを中心に、同社SMEソリューションマーケティング担当上級副社長 Jeff Stiles氏に話を聞いた。
--Business By Designの現状について教えてください。
4月30日にBusiness By Designの路線変更を発表しました。「遅れ」と報道されましたが、そうではありません。我々が発表したのは、顧客1万社、売上高10億ユーロという目標達成時期を、2010年末から12 - 18カ月後にするということです。
それまでは投資金額を増やし、速度アップしたマーケットアプローチを取っていましたが、これを適度な速度に戻すことにしました。強調したいのは、SAPは、SaaSというソリューションにコミットしているということです。展開のスピードを通常の速度に戻すだけです。
すでに提供している米国、英国、ドイツ、フランス、中国の5カ国へ、今後もフォーカスします。今年後半には、これにインドが加わり、当面は6カ国に注力していきます。
新しい製品を異なる市場に提供することを想像してみてください。製品を単にグローバル化するのではありません。もちろん、言語の対応に加え、通貨の対応も必要ですが、その国の規制もあります。最大の課題は、市場への投入です。早期顧客と良好な関係を築き、パートナーとの関係を確立し、キャパシティ、コスト、売り上げのバランスをとる必要があります。SAPとしては、顧客にとって適切なソリューションであるということを確実にしてから提供したい。そこで、最初にスタートする6カ国にきちんとフォーカスし、その後、展開国を増やすことにしました。遅れではありません。
コストベースで拡張性を確保することも必要です。コストとのバランスで、機能を拡充することができるかという点も見ています。中規模企業は、機能という点では大企業と同じ要求レベルを持っています。たとえば、SAPは製造など業種別の機能などさまざまな機能を提供していますが、製造業から流通過程をすべてRFID対応してほしいという企業もあります。
Business By Designは昨年9月に提供を開始して以来、スコープの観点で50%拡大しました。フィーチャーパックとして配信していますが、このような変更を適用するには大きな作業が必要です。今後、システムアップデートやアップグレードを活用していきます。「NetWeaver 7.1」を利用することで、システムのライフサイクルという点で、機能を自動化し、コストを削減できます。
SaaSは新規分野ですが、SAPはそれ以外の分野で成功しているので、SaaSを十分に検証しながらロールアウトすることができます。