1997年に本格的な普及が始まった互聯網(インターネット)は、中国人のライフスタイルを含め、中国社会全体に多大な影響を及ぼしてきた。昨年末、ポータルサイト大手の網易が1,886人を対象に行った「中国インターネットユーザーによるインターネット利用に関する第1回調査(中国網民第1次上網調査)」では、ネットユーザーの10年史について、豊富なデータと事例で実態を明らかにしている。本レポートでは、恥ずかしい"ネット初体験"の事例も含め、同調査の内容について紹介したい。

ネットユーザーの平均年齢は高くなる傾向

調査対象となった1,886人の内訳は、男性1,624人(86%)に対し女性が262人(14%)。男性の割合が多い背景には、男性の社会進出の度合いが女性より高いこと、女性より気軽に網※(ネットカフェ)に出入りできることなどの点が挙げられる。また、年齢については、20歳未満が163人(9%)、20歳以上30歳未満が1,513人(80%)、30歳以上が212人(11%)で、若者が中心となっている。

※は、口へんに「巴」

同調査によれば、ネットユーザーの平均年齢は、インターネットが急速に普及するのに伴い、高くなる傾向にある。年ごとに”初めてネットを利用したユーザーの年齢”を調査したところ、1997年は16.7歳だったが、2005年に20.5歳、2006年に23.8歳、2007年には23.3歳となっている。

インターネットが中国に上陸して間もない頃は、冒険家精神旺盛な青少年により、奇異な新サービスとして受け入れられる傾向にあったが、いまやインターネットは極めて日常的なコミュニケーション手段であり、仕事に欠かせぬ情報ツールとなっていることはご存知の通りだ。ユーザーの平均年齢が高くなってきているのには、インターネットが幅広年代に浸透しているという背景がある。

調査対象の86%が2002年までに「ネット初体験」果たす

中国においてインターネットの普及がいつごろ本格化したか、という点に関して、同調査の「初めてインターネットに接続した時期」の項目を見ると、調査対象1,886人のうち、1997年以前に接続した人はわずか74人(4%)だったが、1997年は259人(14%)と3倍強に増加。その後は、1998年が244人(13%)、1999年が390人(21%)、2000年が369人(20%)、2001年が196人(10%)、2002年が148人(8%)となっている。1997年から2002年までの5年間に、86%が初めてのインターネット接続を果たしており、中国におけるインターネットは、この時期にほぼ全体に普及したと考えられる。

興味深いのは「初めてネット接続した場所は」という設問に対する回答で、全体の65%に当たる1,214人がネットカフェと答えている。ネットカフェこそが中国人のインターネット接続における最大のインフラストラクチャーであったことが分かる。

ネットカフェ以外では、299人(16%)が「自宅」、107人(6%)が「会社」、256人(13%)が「その他の場所」で、初めてインターネット接続を体験したとしている。だが、注目したいのは、1997年から2005年までの8年間に渡って、ネットカフェが初めてのインターネット接続の場所だったのに対し、2006年には、ついに「自宅」にその座を奪われたことだ。このことから、インターネット回線とPCが、多くの中国人家庭、とくに都市部家庭の標準装備になりつつある状況が見て取れる。