モーターショーの二輪展示といえば北ホールだが、今回は商用車が同じホールに並ぶこともあって、前回より二輪ブースはいくぶん狭くなったようだ。しかしけっこうな数の二輪が並び、コンパニオン達が明るく迎えてくれた。今回のコンセプトモデルを見ると、未来派デザインと懐古主義的デザインに分かれるようだ。まずはそういったコンセプトモデルを見ていこう。

ホンダ EVO6 ※試作車

水平対向6気筒エンジンを使った「EVO6」

ホンダブースのステージ中央に置かれたのは「EVO6(エヴォシックス)」。未来派デザインの筆頭だろう。新しい価値観を目指し、力強い加速感とクルーズ感覚を備えたというコンセプトモデルだ。オートマチックトランスミッションを、ホンダ得意の水冷・水平対向6気筒エンジンと組み合わせた。オートマチックトランスミッションは、左グリップのスイッチで2種類のフルオートマチックモード、右グリップのスイッチで6速のマニュアルシフトモードに切り替えられる。ブレーキシステムには前・後輪連動のABSを搭載する。エンジンから出た6本の太いエキゾーストパイプと太いリアタイヤが印象的だ。

EVO6。1,832ccフラット6エンジンを強調するために車体のコンパクト化を追究

6気筒エンジンから出た6本の太いエキゾーストパイプと太いリアタイヤが印象的

大排気量から原付までコンセプトモデルを並べるヤマハ

ヤマハの未来派デザインは電気系バイクが中心(別ページで紹介予定)。ガソリンエンジンを使った未来派デザインとなると、「MT-0S」と「BW'S CONCEPT」の2モデルが目につく。前回の東京モーターショーで新V-MAXのオブジェが発表されたが、今回は"胎動"をテーマとしたパーツオブジェが展示された。ヤマハ発動機社長の梶川隆氏によると、「開発は順調に進んでいるので楽しみにしてほしい」とのこと。

「MT-0S」は、空冷Vツインエンジンの「MT-01」をベースに、圧倒的なトルク感を強調するハーフカウルやマフラーデザインを施したモデル。LEDヘッドライトやキーレススタートシステムなど、"上質な大人の究極の趣味材"を追求したコンセプトモデル。

「BW'S CONCEPT」は、ブロックパターンタイヤを装着し、オフロードテイストを強調した原付モデル。かつての「BW'S」(ビーウイズ)の再来ともいえる。前後サスペンションやブレーキなどをスペシャルパーツとし、ワイルドでタフなデザインを強調している。

VMAXのパーツオブジェ。金型からまさに生まれんとするVMAXを表現したという

VMAXのエンジン部分

MT-0S。うねるように力強いデザインのマフラーが目を引く

BW'S CONCEPT。ブロックパターンタイヤを装着し、オフロードテイストを強調

BW'S CONCEPT。ワイルドでタフなデザイン

スズキは新しいビッグスクーターを提案

スズキ社長の津田絋氏がプレスブリーフィングで、「スカイウェイブ」とは別のスクーターとして、新しい「Gemma (ジェンマ)」を発表。世界初公開となった。若者をターゲットとした都会派ビックスクーターは、低く流れるようなシルエットのフラットツーシーターが特長。後部座席との一体感を強め、カップルには最適だとのこと。シート高760mmと足つき性も優れ、女性も安心できる。排気量など詳細は未定。

スズキのステージ左端には、デザイン提案モデルの「バイプレーン」が置かれた。飛行機をイメージし、夢のあるモーターサイクルを具現化したコンセプトカーならではのデザインだ。全体をパッケージングすることで丸いフォルムを強調し、ハンドルは操縦桿をイメージさせるデザインになっていて、子どもだけでなく大人も見ていてワクワクしてしまう。

Gemma。後部座席との一体感を追究。低い流線デザインが特長

水平方向を強調するデザインが特長。シート高は760mmと足つき性に優れている

バイプレーン。「走る喜び」を表現したデザイン提案モデル

ハンドルは操縦桿をイメージし、ウインカーの役割も果たす

カウルは丸さを強調。プロペラをモチーフにしたデザインがアソビ心をくすぐる

「XS-V1」を見ると懐古趣味も悪くないと思う

ヤマハブースの前中央に展示されたヤマハの企業哲学を象徴するという「XS-V1 Sakura」。懐古趣味の筆頭だろう。1970年に発売されたヤマハ初の4ストロークモデル「XS-1」(650cc並列2気筒)をイメージし、和のテイストを取り込んだモデル。懐かしさを残しつつ、車体には最先端の技術を盛り込んだという。ターゲットは、XS-1を知っている団塊の世代。空冷1,000cc Vツインエンジンを搭載し、軽量・スリム・低シート高な車体、ゆったりとした走行性能などが特長だ。説明員によるとかなり注目度が高いらしく、質問も多いとのこと。

XS-V1 Sakura。1970年に発売したXS-1をモチーフとし、現代の和のテイストを組み合わせた

「Sakura」の名のとおり、タンクは桜色

シリンダーフィンやボルト回りには、桜色のメッキ加工がされている

XS-V1 Sakuraのデザインスケッチ。初めの一筆

CBはやっぱりCBだった

ホンダの試作車として、空冷4気筒エンジンを搭載した「CB」が2モデル展示された。空冷4気筒のCB1100シリーズとなる、モダンカフェ・スポーツの「CB1100F」と、プレステージ・スポーツの「CB1100R」だ。CB1100Rはひと目で分かるように'80年に発売された「CB1100R」をイメージしており、CB1100Fのマフラーは'74年に登場したドリームCB400FOURを髣髴とさせる。両モデルとも完成度が高く、2007年度排出ガス規制もクリアするなど、市販を視野に入れているようだ。

CB1100F。400ccクラス並みのコンパクトな車体と低中速域からの力強いトルクが特長

CB1100Fのマフラー部分。ドリームCB400FOUR、通称"ヨンフォア"にそっくり

CB1100R。往年のCB1100Rに近いカラーリング。丸型2灯が独特の雰囲気に

CB1100Rのエンジン部分。フレームはCB1100Fと共通