2019年10月から、消費税率が8%から10%へと引き上げられます。高額な住宅の購入は、数%の増税でも大きな影響を受けることとなり、2014年の5%から8%への増税時には想定以上の駆け込み需要と反動減を招く結果となってしまいました。
そんな経験をふまえ、次の増税に先立ち、国としても様々な手厚い対策を講じています。そのうちの1つが「すまい給付金」という制度の拡充です。住宅購入の支援策として前回の増税時に打ち出されたこの制度。次回の税率引き上げの際にはどのように役立てることができるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
「すまい給付金」とは?制度のおさらいをしよう
「すまい給付金」とは消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を緩和するための制度です。消費税が5%から8%に引き上げられたのをきっかけに2014年から始まった制度で、一定の条件を満たした住宅購入者に、現金が支給されるという仕組みになっています。
10月に予定されている増税に伴って、給付対象や給付金額が変更されるので、このタイミングで住宅購入を考えている人は把握しておく必要があります。
すまい給付金制度は、2014年4月から2021年12月まで実施される予定で、この期間に引き渡し、入居が完了した住宅が給付対象となっています。給付金を受け取るためには、給付申請書を作成し、確認書類を添付して申請するといった一定の手続きを必要としますが、給付金の額が大きいため、必ず活用したい制度といえるでしょう。
すまい給付金。どんな人がもらえる?
すまい給付金は住宅購入者の誰もがもらえるものではありません。給付金を受け取るためには、住宅購入者が次の要件を満たしている必要があります。
すまい給付金。どんな住宅ならもらえる?
また、購入者に関する要件だけでなく住宅に関しての要件も設定されています。この制度は、良質な住宅の形成を促進するという目的もあるため、住宅の「質」に関しての要件も満たさなくてはいけません。
注意したいのが、中古住宅の場合は宅地建物取引業者による買取での再販住宅でなくてはならないこと。中古住宅の売買では、一般個人からの購入であれば消費税が発生しないことから、消費税増税の負担軽減のためのすまい給付金制度の要件には該当しないということになるからです。
消費税増税に伴い、受け取れる金額がアップ!
さて、すまい給付金制度で実際に自分はどのくらいの金額がもらえるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。給付金額は収入と取得する住宅の持分割合に応じて変わってきます。
この制度では、給付金額は
給付金額=給付基礎額×持分割合
で計算します。「給付基礎金額」は収入(額面収入ではなく都道府県民税の所得割額に基づき決定)に応じて、「持分割合」は不動産登記上の持分割合によって決まります。
上表を見てみましょう。8%時は年間510万円以下の世帯に最大30万円の給付でしたが、10%時には年収775万円以下の世帯に最大50万円が給付されます。給付金の対象者が拡充され、さらに給付金額も増額するのです。
消費税率10%時として、いくつかのケースで計算してみましょう。
(1)Aさん一家の場合
(条件)
ローンを組む人:年収700万円の夫
持分割合:夫100%
給付基礎額 10万円×持分割合 100%=10万円
(2)Bさん一家の場合
(条件)
ローンを組む人:年収500万円の夫・年収200万円の妻
持分割合:夫70%・妻30%
夫:給付基礎額 40万円×持分割合 70%=28万円
妻:給付基礎額 50万円×持分割合 30%=15万円
夫婦合計:43万円
AさんBさんと世帯年収額は同じですが、夫が一人でローンを組むAさんより、妻と二人で組んだBさんのほうが、ダブルで給付金がもらえて給付総額が多くなっています。このように、一人でローンを組むより、夫婦で組んだほうが、給付金額がアップしおトクになるということがあります。
住宅ローンを夫婦二人で組めば、すまい給付金以外にも、住宅ローン控除も夫婦ダブルで受けられますので、マイホームを購入する際は、一人で組むのか、夫婦で組むのかをよく相談し、制度を上手に活用するようにしましょう。国土交通省のすまい給付金ホームページ上では、給付金額を簡単にシミュレーションできるツールがありますので、自分がいくらもらえるのか計算してみてはいかがでしょうか。