連載『今度こそ続くシンプル家計術』では、オンライン家計簿アプリ「Zaim」の綿島琴美氏が、初心者の方でも続けられるシンプルな家計管理術をお届けします。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
お金もモノも整理整頓が肝心
"家計をきちんと管理する"、と聞くだけでちょっと気が重くなってしまう方も多いかもしれません。かくいう私も…。以前は、お金との向き合い方が分からず「とりあえず貯金が増えていけばオッケー」と自分を甘やかしていたこともありました! 何となく、お金のことを考えるのは難しそうで面倒だと感じがちですよね。
でも、家計のことを知れば知るほど「これってすごくシンプルなのでは?」と気付いたのです! 実は、家計の考えかたってとっても身近なものとそっくり。それは、「部屋の片づけ」なんです。
整理整頓の鉄則といえば「使う場所に使うものをしまっておく」というもの。例えば、料理グッズはキッチンスペースに、洋服はクローゼット等、それ専用の場所に収納されています。目的を考えて自然と仕分けされていますよね。もしそれがあっちこっちに散らばっていたり、目的もなくひとつの場所にいっしょくたになっていたら…きちんと使いこなすことは難しいはず。
お金も同じで、目的ごとの整理が大切。何のためのお金か、をすっきり分かるようにしておく! そうすることで、必要なときにお金を気持ちよく使うことができるんです。
目的ごとにすっきり分ける
片づけを始めるための最初のステップは、それを使う目的を考えること。お金も同じようにスタート!
とはいっても、そんなに細かく考える必要はありません。特に家計管理が苦手な方は、初めはざっくりとした分類で大丈夫。オススメなのは、「いつ使うか」を軸に "短期・中期・長期"で3つに分ける方法です。「すぐ使う」「そのうち使う」「それ以外」の3つのボックスをイメージして、お金を振り分けてみるとわかりやすいですね。
ひとつ目の「すぐ使う」ボックスは、日々の生活に必要なお金です。家賃・光熱費・食費など、ですね。大体でいいので、およそ3カ月~半年くらいの生活費を、そこに準備できていると理想的です。それだけあれば、万一の病気や退職などで収入が途絶えたときへの安心感が、ぐっと変わります。
次の「そのうち」は、1年以上3年くらい内くらいに使うお金のイメージ。例えば引っ越しや、車の購入、海外への大型旅行など。確定しているわけではないけれど、「もしかしたら必要になるかもしれない」というものです。ある程度まとまったお金があると、計画が変わっても柔軟に対応できるのでオススメです。
最後の「それ以外」は、先にあげた2つのボックスからあふれたお金をいれるお金です。余裕資金と言われるもので、人によっては老後のため…という方もいらっしゃると思います。
こんなふうにじぶんの暮らしをイメージしながら分類してみると、ひとくくりにしていたお金がべつものに見えてくるはず。向き合い方が、ぐっと変化する一歩になります!
順番にお金を仕分けしてみる
そして大切なのは、実際にそのボックスへの収納=お金の準備です。このとき、注意したいのはとりかかる順番!
まずとりかかるのは「すぐ使う」短期用のボックスです。こちらに必要なお金はありそうですか? もし「足りない~」という方はそこを目標に貯金をスタートするといいですね。既に「ばっちり◎」な方は、そのボックスの金額が常にキープできるよう心がけてみてください。
また、このボックスは「いつでも使える」というのも大事なポイント。取り出しやすいところ、例えばじぶんの使いやすい銀行などの普通預金がオススメです。生活費用の口座を、「すぐ使うボックス」として利用するのも良いですね。
そして、次に手をつけるのが「そのうち」ボックス。中期的にまとまったお金をとっておく必要があるので「すぐ使う」とは違って、少し取り出すのが面倒なところにしまっておくと良いですね。例えば定期貯金や財形貯蓄など、使うために手続きが必要だったり…。ひと手間かかって、カンタンに出し入れできないようにしておくと効果的です。
最後に着手するのが「それ以外」。こちらは長期的な蓄えボックスとして活用。「老後が不安なのでまずそのお金を」という方もいらっしゃるのですが、今必要なお金が手元になくなってしまうと本末転倒! まずは手元に必要な分を確保してから取り組んでみるのがオススメです。
こうしたお金の目的ごとの分類は、今自分が「何」に「どれくらい」不足があるのか、または過剰なのか…などがクリアになります。何より、ざっくりと考えかたをわけておくだけでも、お金に対するもやもやした不安から解消されるのがうれしいところです。
執筆者プロフィール : 綿島琴美(わたじま ことみ)
家計プランナー、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。Android, iPhone, iPad や Webから利用できる日本最大級の家計簿サービス「Zaim」にて、としてユーザーへの家計サポートを行う。レシート自動読取り機能や銀行とのデータ連携など、アプリを活用した家計の仕組みづくりを提案。初の監修本『Zaimのシンプル家計術』(ナチュラルライフ編集部編、税込み842円)が学研プラスより好評発売中。