Z世代のお金の悩みに、節約アドバイザーの丸山晴美さんが答えます。今回は、初めて一人暮らしする人向けに、収入に対する家賃の目安を教えていただきました。

Q. 初めて一人暮らしをします。家賃10万円の部屋に住みたいのですが、どれくらいの収入があればいいでしょうか。

家賃10万円の部屋に住むなら手取り33万円以上

初めて一人暮らしをする人にとって、家賃をいくらに設定するかは悩むところですね。一般的な家賃の設定額は、手取り月収の3割までと言われています。

つまり、10万円の部屋に住むには、手取り月収で約33万円となります。

ボーナスを含めた手取り年収で考えてもいいのですが、ボーナスは企業業績によっても左右されますので、ボーナスが減ったり、支給されなかったりした場合を考えると、手取り月収の3割までを目安に物件を探すとよいでしょう。

家賃を手取り月収の3割に抑える理由はいくつかありますが、一番大きな理由として、貯蓄と生活費のバランスがとりやすくなるからです。当然、収入に対する家賃の割合が低いほど、貯蓄にまわる金額が多くなります。

目安としては、家賃と貯蓄の割合は4割ですので、家賃負担が少ないほど貯蓄に回りやすいと考えることができます。もし、会社から家賃補助などが出て家賃負担が少ないのであれば、その分貯蓄に回すとよいでしょう。

家賃が高いとその分初期費用も高額になります。家賃が10万円の場合、契約時には敷金1、礼金1、仲介手数料1、前家賃それぞれ1カ月分かかった場合、約40万円を一度に支払う必要があります。それに加えて、引っ越し費用、家具家電などの購入費用を用意する必要があります。

さらに2年更新の場合は、更新時に家賃1、手数料0.25~0.5カ月分がかかります。お住まいのエリアやUR都市機構の物件であれば初期費用や更新料が抑えられるケースがあるので一概には言えませんが、これらの費用は首都圏では一般的です。

家賃を手取り収入の3割以内に収める場合は、優先順位を考えることが大切です。賃貸物件を選ぶ際は、マンションかアパートかだけではなく、間取りや日当たり、ペット、楽器、セキュリティ、駅からの距離や通勤へのアクセスなどあらゆる条件から絞り込んでいく必要があります。すべての条件を満たす物件はそれなりに高額になりがちですので、妥協できるものとそうでないものは何であるかを明確にしておきましょう。

どうしても高い部屋に住みたいときは?

どうしても、希望する物件が手取り月収の3割を超える場合は、その分、貯蓄や生活費を削る必要があります。とはいえ、毎月の貯蓄がゼロになることは避けるべきです。

その理由は、次の引っ越し費用や、家具家電の買い替えなどある程度まとまったお金が必要になるからです。当然ですが、転職や失業などで一時的に収入が途絶えてしまうケースも考えておかなければいけません。

また、これからの結婚や新居費用、子育て費用、自分の老後資金など、今後ある程度まとまったお金がかかるライフイベントも盛りだくさんです。独身のときもお金の貯めどきと考えて、しっかりと貯蓄もしていきましょう。貯蓄は最低でも毎月手取り月収の1割、ボーナスの7割は手をつけない貯蓄として貯めておくことをおすすめします。

つまり家賃が手取り月収の5割を超えてくると、さまざまなところでしわ寄せが出てきて、ゆとりのある生活が困難になることが予想されますので、頑張っても家賃は手取り月収の4割までとして、その分自炊を徹底して、外食や飲み会を減らし、格安スマホにするなど生活費の部分でしっかりと節約する必要があります。

また、奨学金の返済をしている人も多いかと思いますが、返済が長期になるため、奨学金など、毎月返済するべきお金がある場合は、その分を引いた金額で家賃設定をしましょう。例えば、毎月の手取り月収が22万円、月々の奨学金の返済が2万円なら、20万円の3割、6万円の家賃設定が理想です。

家賃は固定費の中でも大きな部分を占めるものですし、家で過ごす時間を快適にすることで無駄遣いを減らす効果もありますので、こだわる部分と妥協できる部分を明確にして、ほどよい着地点を見つけ出すことが大切です。時間にある程度余裕があるなら、賃貸物件を扱うサイトなどで絞り込みをして現実的に借りられる物件がどのようなものなのかを情報を集め、実際にいくつかの部屋を内見するとよいでしょう。