「地球ぎ」誕生秘話――すっかり私の中では完結しているものだと思っていたのですが、あるお仕事で編集の方から、「『地球ぎ』誕生秘話って、話途中だよね? 続きはいつ書くの?」とのつっこみがありました。私の頭の中では勝手に終わっていたのですが……(失礼いたしました)。ということで、今回はその続きを書きたいと思います。

まだ読まれていない方は、すでに掲載済みの「地球ぎ」誕生秘話から読んでみてくださぁい☆ 『聖闘士星矢』の主題歌「地球ぎ」は、今では星矢ファンの方や、海外のアニメファンの方にも親しまれているわけですが、実は最初に決まったのは主題歌としてではありませんでした。ごくわずかな人以外は"「地球ぎ」は主題歌に向いていない"、そう思っていたようです。現に最終審査で主題歌候補は4、5組のアーティストが残っており、私は主題歌ではなく、"エンディングテーマで"というお話がきました。

しかし、当時の星矢の音楽監督は、私の歌う「君と同じ青空」のほうがエンディングテーマに合うのではないかと思っていたようです。それを聞いて意外だったのは、自分的に「君と同じ青空」という楽曲は友情というよりも恋愛色が強かったから。ところが音楽監督は、「星矢たちの戦いの後の休息のイメージが浮かぶ」と言ってくださったのでした。

そのイメージでエンディングテーマのときに流れる映像も作ってもらい喜んでいたら、「何組かの楽曲が主題歌候補で残っているのだけど、そのままでよければそれでもいいんですが、もう一度『地球ぎ』も再考させてください」。そんな感じで言われました。

「地球ぎ」誕生秘話でも少しお話しましたが、『聖闘士星矢』のイメージに真正面からぶつかっていっても今までの主題歌は超えられないと思い、あえて歌詞は"人は誰でも弱い部分があるけれど、弱さからの強さ、あきらめなければ見えるものがある"、という当初の内容そのままで再度提出しました。

そして返事もすぐには来なかったのであきらめかけていたころ、主題歌決定のお話が! どうやらなかなか決まらなかったようでしたが、聞いたお話によると、東映の偉い方が「これだ!」と「地球ぎ」を推薦してくださり決定したようでした。ちなみに東映の偉い方とは、それまで一度も面識もなく、それからだいぶ月日が流れた映像お披露目会のときに初めてご挨拶しました。

もちろん、原作者の車田正美先生にもそのときに初めてご挨拶したのですが、みなさん、私のことを「新人」と思われていたようで(笑)。しかも、車田先生は映像をご覧になる前にご挨拶したときには、「君が歌ってるの? なぁ~んだかネクラな10代の三つ編みした女の子がピアノ弾きながら歌ってそうだなぁ~とか思ってたんだけど。で、星矢にあれがあうのかねぇ……」という正直なまでの感想にびっくり。

その後、恐る恐る映像初披露の会場で、主題歌から始まるオープニングを観ました。絵と音楽が絶妙に合っていて、しかも会場にいらっしゃった星矢ファンの方々からは「うわぁ」と感動の声が。そうなんです。待ちに待った星矢の続編。みんな、どんな感じになっているんだろうと楽しみにされていたんですよね。私もそんな記念すべき星矢の主題歌が歌えて、本当によかったなぁと心から思いました。

そして映像終了後、楽屋にいらっしゃった車田先生から「最初はあの曲、星矢の曲としてはどうかなぁ~なんて思っていたけれど、いいかもな」。そうおっしゃってくださいました。喜びというよりも、そのときは安堵感に包まれたのを覚えています。それから『聖闘士星矢』の主題歌を歌うということが、どれだけすごいことなのかは日に日に時間が流れるに連れ、アジア、ヨーロッパ、南米など、いろんな国の方がメッセージをくださったことや、ブラジルなどにもライブイベントに行ったことで実感するようになりました。

なんせ、お風呂場で生まれ、どこにもリリース予定のなかった歌が、いつしか海を渡り、地球の裏側へ行き、たくさんの方々が大合唱してくれるようになるとは夢のようなお話です。そしてまた私もこの「地球ぎ」という楽曲に、くじけそうなときや凹んだときに助けられているような気がします。

さて、先週は『天地大乱』というMMORPGの制作発表会に参加してきたのですが、実はこのゲームの主題歌を歌うことになりました。もともとは韓国でとても人気のあるゲームを日本向けにアレンジして制作されているそうです。日本でも人気になって、韓国、台湾、中国など、海外にまた広まっていったらいいなぁなんて思いつつ、ただいま楽曲イメトレ中です♪

楽曲が完成しましたら、またそれらにまつわるお話をしたいなぁと思います。では、また次週お会いしましょう☆
See you soon love xx.

ハッピーハロウィン!(パウアとプウアより)