「初心忘れたい」そんな言葉が脳裏をよぎる。
普段なら真っ先につっこむところでしょうね、「初心忘れるべからず」って。みなさんの初心(者)の時代はどうでしたか? 質問がちょっと変かしら。初々しいころ、仕事を始めたばかりの時代のころです。ちょうどこの季節は、新入社員の方がお仕事を始めて1カ月が過ぎたころで、お仕事をする先のプロデューサーからも「まったく新入社員の~、はぁ!」とか、「仕事を教えても、そのうちの1パーセントぐらいしか理解しないんだよなぁ」などのぼやきが聞こえてきます。
新入社員を育てるのも大変だな、なんて最近思っていたわけですが、昨日見つけちゃいました。デビュー前の私の映像が映っているビデオを。ビデオテープの表題には「95年」と書いてありました。今から13年前……ビデオからDVDにする作業をしていたので、早速そのビデオを再生、テレビにはクリスマスパーティーの映像が映し出されました。バブル崩壊後の時代なのに、今の私から見れば「これなに? なんかわからないけど、バブリー」といった感じ。バブルの余韻が残った感じとでも言ったらいいのでしょうか。
その映像はレコード会社の社長さんか、そのお友達か、音楽事務所のおエラいさんかが内輪で開いていたクリスマスパーティーだった気がします。場所は今で言う東京のオシャレスポットで、バーカウンターもある某有名なレコード会社の地下のステージだったと思います。そんなところでクリスマスパーティーをすること自体、今じゃあまりないですよね。
しかもプロミュージシャンのバンドをそろえて生演奏。今じゃあやっぱりあり得ない。そして、なぜだかそのステージで数曲を歌う私の映像が! しかももちろんデビュー前。「次はYUMIちゃんが歌ってくれます! 上手いですよぉ!」と、モデル時代の名前で私のことを司会の人が紹介している。ん? この人の声聞いたことあるなぁ。「おはスタ?」(そんな番組当時ありましたよね?)。今のじゃないですよ(笑)。確か「しがちゃん?」。私の子供のころによく聞いたあの声、あの顔の方が司会でした(正確な番組名は、1980年代に放送されていた志賀正浩さんが司会の『おはようスタジオ』です)。
内輪のクリスマスパーティーで、看板番組を持っていた司会者が司会をしているっていうのもバブルっぽいなぁ。で、当の私はと言えば、アメリカのオールディーズを歌わされているわけですが、ちょっと(?)ヘタ。あらららな感じ。英語の歌を歌うのも初めてだったわけですが、確かあのころ、レコード会社のオーディションかなにかのときに、音楽関係のおエラいさんに気に入られ、「YUMIちゃんクリスマスパーティーで歌う? 2曲ぐらい英語で。明後日なんだけど」。そんな軽い感じで言われ、内輪といえどもレコード会社社長やら、おエラいさんの集うパーティーですから事務所側は真剣。私はといえば、「うん! 歌う~!」……そんな感じだったのではないでしょうか。当日、私が歌うステージのビデオが奇跡的に残っているのも、当時の現場マネージャーが必死に録画していてくれたんだなぁと……すみません、13年経って気がつきました!!
しかも、その映像に映っている私の言動&行動すべてがあり得ない!! 映像を見ながら血の気が引いていくのがわかりました(下記はビデオに録画されている映像)。
マネージャー「YUMI、歌ってみてどうだった?」
YUMI「え? 歌ってみてぇ~。んー、だって一番ワタシかわいいしぃ~!」
と言って、体をクネクネしてポージングをとっている私。その後、マネージャーは私のお友達に「今日の歌ってるYUMIはどうだった?」とか、わざわざ質問などをしてくれている。そんなことはつゆ知らず、やりたい放題の私は酔っ払っているのか、若かりしころのハイテンションなのか、私がいないところでせっかくお友達に感想を収録しようとしているのに間に入ってきて、「イエェ~イ」とか言って全然話も聞いていない。挙句の果てにはその映像を撮っているマネージャーに、
「ねぇねぇ、なんか上で打ち上げあるみたいだよぉ!」と、のん気なことを言っている。それでも一生懸命パーティー最後までビデオを回し続けてくれたマネージャー。最後にまた私に、「YUMI、今日のパーティはどうだった?」と聞いています。今日の出演者の方も周りにいるなかで、
YUMI「えー、今日はワタシが一番かわいかったでしょぉ~」
お宝画像です!(笑)。なんと、15~16年前のものです。『Fine』(日之出出版)という雑誌のモデル時代で、当時10代であります |
そのようなことを言っている……あ、あり得ない。今の私がいたら「こらぁ~!!」とダミ声で叱ってしまいそうですが、大体返ってくる言葉も想像つくわけです。多分、当時のワタシなら「こわぁ~い! なぁ~に、このおばさーん!」と言っていたでしょう。
そしてそのパーティーが終わった後も、私の知らないところでマネージャーがバックミュージシャンの方々の楽屋へ行き、「YUMIがお世話になりました。ありがとうございましたぁ!」って映像を撮り続けているわけです。おエラいさんの楽屋にも行き、同じように映像を撮り、「YUMIがお世話になりました」って言っている。おエラいさんたちはあまり聞いてないような感じ。この映像、13年間一度も見なかったわけですが、昨日見ながら泣きそうになりました。
つい自分はできている! とか、もううるさいなぁ、わかってるのに! なんて思っていたあのころ、できていないどころか、よくもまぁこの私を育ててくれたなぁと。その後、そのマネージャーは神田うのさんのマネージャーになり、デビュー後に一度だけ神田うのさんの番組に出演したときに会ったきり。そのときも敏腕マネージャーとして活躍されているなぁ、と思いましたし、今もきっとすごい方になって活躍されていることと思います。
そして13年経った今、ありがとうございました、心から感謝しています……っていうか、すみませんでした、と言うのが正しいのかな?
今日書いたようなお話は、私のなかでたくさんある思い出のひとつであるわけですが、映像で自分が話している姿を見るって、意外とショックですよぉ(笑)。まだまだありますから、またお話したいなと思います。それでは、また次週お会いしましょう。
See you soon love xx.