この度の東日本大震災により被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。そして、私にできることはなんだろうといろいろ考え、時間を過ごしていたわけですが、本当に私にできることなんてちっぽけです。
若いころは「自分の世界がすべて」であり、あまり周りの人の気持ちを考えていなかったと思います。昔はそんな余裕がなかったというのが正直なところでしたが、今はいろんな方々との出逢い経験をし、少しずつ周りが見えてきたんでしょうか。30歳を過ぎて人の痛みがわかるようになり、人生の深みも知りました。
30代には本当にいろいろなことが起きます。そして自分は主役から、今度は脇役として俯瞰で物事を見れるようになるという特典もつきます……って書いておきながら、一般の方よりもそれに気付くのがだいぶ遅かったと思われますが。見えない心を想像し、感じることって大事だなって思います。
今回の千年に一度とも言われている震災で、かなりの期間、日本のテレビCMはACのものが流れていました。そのひとつの「思いやり」バージョン。都内では幾度となく流れていたので、ご存知の方も多いと思います。内容は、学生の男の子が電車の席を譲れなくてその後、階段を上っているおばあさんに手を貸すというCM。あのCMが流れてからか、都内でたまたま乗車した電車で2回も席を譲ってもらいました(乳幼児を連れていたため)。
もしかしたら、CMが流れていなくても席を譲ってもらっていたのかもしれませんが、なんとなくリアルタイムで、日本のみなさんが一丸となってひとつに心を通わせていると感じられました。今までお水でさえも蛇口をひねれば当たり前のように飲めるものだと思っていたし、節電ということもあまり考えていなかった私。でも世の中、節電をして自然にできるだけ近い摂理で生きるというのは、本当は当たり前のことなのかもしれないなと、改めて考えさせられました。
今現在、節電をしている日本でさえ、私がヨーロッパ・イギリスにいたときと同じぐらいの街の明るさがあります。もしかしたらヨーロッパのほうが薄暗いかもしれません(24時間営業のコンビニなんていうのはほとんどありませんし、お店が夜中まで営業している所も少ないので基本、街の照明も薄暗いのです)。それでも先進国で普通にみなさん生活されています。
ちなみにACの「思いやり」CMの男子学生のように、私も高校生のころ、駅の階段で荷物を抱えながら大変そうに歩いているおばあさんを見つけ、荷物を持ってあげたことがあります。しかし、ちょうどそのとき担任の先生がたまたま駅にいて、「松澤さん!」と怒られ気味に呼ばれました。どうやら先生は、私が"カツアゲ"をしていたと勘違いしたようで……。そんなことしませんよ~(笑)。
私にできることとして、歌い手として「歌」を通して想いを伝えられたらいいな、感じてもらえる機会があればいいなと思っていたところ、「ファイナルファンタジー」シリーズの楽曲などでも有名な崎元仁さんからチャリティソングのお話をいただき、参加させていただきました。
レコーディング前日、譜面と音源を送っていただきまして、「え~! 譜面はイメージでしかわからないんですけど~」というなか、ドキドキしながらレコーディングさせていただきました。アルバム「おとぎふと」の1曲「陽と光」という楽曲です。崎元さん作曲、作詞はゲーム界でも有名な坂口博信さんが書いていらっしゃいます。とても優しい、包まれるような音楽です。ぜひ、ひとりでも多くの方の心に響き渡りますように。
そして、まだまだ未熟な私でありますが、前を向いてこれからも歌っていきたい。いよいよ来週は、この「夢のあしあと」が最終回を迎えます。今までを振り返りながらいろんなお話ができればと思っています。それでは、また次週お会いしましょう。
See you love xx.