先日、日経新聞で「最低賃金値上げ」の記事を読みました。2010年度の最低賃金の引き上げ額の目安は15円上がり、全国平均時給728円になるそうです。確か私が高校生のころ(1990年代初頭)のバイト時給も800円台は結構いいほうの時給として認識されていました。平均は700円台だったでしょうか。それでも800円台は駅近くなら沢山あったので、多少忙しめでも800円台のアルバイトを探してチャレンジしていました(と言っても、大抵1カ月で、長続きはしませんでしたが)。

今だから言えますが、私立の女子高でもちろん「アルバイト禁止」。しかも時代はバブル後期真っ只中。親からのお小遣いもしっかりもらっていましたし、アルバイトする! というよりも好奇心から「アルバイトをしてみたい。でも学校、親にバレたらまずいので、ちょっとだけチャレンジ」的な感覚でした。そんなリスクがあってやるアルバイトですから、どうせやるなら時給がいいほうに決まっているのに、私の親友K子ちゃんは違っていました。あのときも、それから今思い出しても「なんでそこでバイトすんの?(笑)」という心境でした。

それは忘れもしない高校生の夏。いつもの通学途中にあるケーキ屋さん&喫茶店。もう見るからに裏寂れているわけです。バスで通り過ぎるそのケーキ屋に「アルバイト募集」の紙が貼られていました。で、なにを思ったのかK子ちゃんは、そこでアルバイトすることを決め、面接をして合格。学校帰にそのケーキ屋で働き始めたのです。しかもその店は喫茶店が隣接してるわけですが、なんと高校生のK子ちゃんがケーキ屋と喫茶店も任されるという「えっ? いいわけ、そんなんで」状態(笑)。

だってケーキ屋も喫茶店も高校生の女の子ひとりに任せていいのかって話ですよ。しかもひとりで大変じゃない? なんて思っていました。あまりにもひとりじゃ心配だし、どんな感じで働いているのかも興味深々でしたので、学校帰りに遊びに行くことに。私ともうひとりのお友達と裏寂れたケーキ屋&喫茶店に行きました。

私「ねえ、この喫茶店、誰もお客さんいないね。誰か来るの?」
K子「あんまり来ないけど、たまに来るよ」
私「それじゃあ、なにか飲もうかな。このソーダちょうだいな」

ところがK子ちゃんは、「どれかな?」なんて言いながらカウンターで飲み物を探しています。店を切り盛りするのにレクチャーとか受けてないんかい! って話ですが、「あ、あった。ソーダーおまたせ~」。私と友達はありがとうと言って、ふたりでそれぞれソーダを飲みながら同時に、「まっずぅぅ~い! 何これ、全然甘くないじゃん」とむせかえりました。

K子ちゃんは「あ、ここにソーダーの作り方書いてあった。メロンシロップ入れるんだった」なんて言ってました。よかったよ、お客さんに出す前で(笑)。今なら私もペリエとか大好きですし、家には常備して毎日飲んでいますが、1990年代初頭はそ~んなオシャレな炭酸水はないもので、「炭酸水=甘いもの」と思ってはばからない高校生時代でした。そりゃあむせかえります。

そんなこんなで一生懸命働いていたK子ちゃんの時給はいくらだったでしょうか? 800円でアルバイトしていた時代ですよ。な~んと「480円」。ケーキ屋と喫茶店まで任されてその値段(笑)。それって当時でも国が定めてる最低賃金を大きく下回ると思うのですが……。あの夢をいっぱい膨らませていた高校生の夏。アルバイト代で何買おうか? なんてウキウキしていたあの時代に、なぜ480円でアルバイトしたのか気になり、本人に聞いてみました。

K子「ここのケーキ屋さんはね、小さいころから何か特別なときがあると、お父さん、お母さんが買ってきてくれた夢と思い出のケーキ屋さんなの。だからアルバイトしてみたかったんだ」

彼女はその理由を目をキラキラさせながら話してくれたっけ。たぬきの顔のケーキとか、ときどきイチゴショートケーキの苺が傷みかけていたケーキでも子ども心には、特別なときにしか食べられない夢のケーキだったんですね。けれど、彼女が夏のしばらくの間アルバイトをした後、ほどなくそのお店はつぶれました。それでも480円の時給と裏寂れたケーキ屋&喫茶店は、今でも彼女と笑い話としてときどき話題になります。今年の夏の思い出はどんな感じになるかしら? では、また次週お会いしましょう。
See you soon love xx.

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薬膳ランチ。体の浄化に効きそうなランチでした。食べ物で暑い夏を乗り切ろう!