現在、YouTubeには芸能人やテレビ制作会社が続々と参入している。コンテンツは飽和し、YouTubeはレッドオーシャンになったと見る者もいる。そうした環境のなかで、気鋭の動画クリエイター集団「だいにぐるーぷ」は今後どのような戦略で展開していくのだろうか。また、これからYouTubeを始めるなら、何を意識して挑戦すればいいのだろうか。

  • だいにぐるーぷメンバー

    だいにぐるーぷメンバー

3回目となる今回は、YouTubeというメディアにおける今後の展望と、YouTuberを目指す人へのアドバイスについて聞いた。

■YouTubeはNetflixやプライムビデオに近いメディア

山田井 : 2020年に入ってからYouTubeはますます盛り上がっています。芸能人や制作会社が続々と参入し、テレビクオリティの動画も増えてきました。

西尾 : そうなんですよ。もう、大困惑してますよ(笑)。

飯野 : マジで勘弁してほしいです(笑)。

岩田 : そこは僕らとしても差別化しないといけないと考えています。

山田井 : どう差別化するのでしょう。

岩田 : テレビとYouTubeは媒体特性がまったく違います。たとえば、テレビ的な編集だとテロップを多く入れて、とにかくわかりやすさを重視します。それは、テレビがチャンネルを変える仕組みだからです。チャンネルを変えて、番組を途中から見始めた人に対して、今何をしているのかという状況を一瞬で伝えないといけない。だからテレビはわかりやすい編集をするんです。

山田井 : たしかにテレビ系の制作会社がつくったと思われる動画も、そのような編集になっていることが多い印象です。

岩田 : それに対して、YouTubeは何の動画なのか、タイトルやサムネイルである程度わかった上で冒頭から視聴するメディアです。どちらかと言えばNetflixやプライムビデオに近いんです。だから、編集やテロップについてはあまり過剰にならないほうが良いと僕らは考えています。できるだけシンプルな編集を心がけて、没入感を強めることでテレビ的な動画とは十分差別化できるはずです。

  • 没入感を意識して、動画毎にコンセプトのある編集を実施しているという

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■今後の目標は「マネタイズの拡大」「動画のクオリティ向上」

山田井 : 今後、どんな動画を制作していきたいと考えていますか?

土井谷 : スケールを大きくしていきたいですね。今まで撮影できなかったような場所、たとえばひとつの町全体を使って撮影してみたいです。どこにカメラを振っても、その世界観のなかにいられるような動画をつくりたいですね。

須藤 : 僕はバトルロワイヤルものとかやってみたいかな。でっかい無人島で、モノホンの救援物資を飛行機で運んだりして、本当のサバイバルを!

西尾 : また辛そうな撮影だな……(笑)。

須藤 : やったら帰りたくなるんだけど(笑)、やる前はそういうほうが盛り上がるんだよね。

加藤 : オレはあまり考えたことないけど……旅系の動画とかやってみたいな 。

飯野 : 加藤、それ全部の取材でずーっと言ってるよね(笑)。

加藤 : のんびりしたいのよ(笑)。

土井谷 : もう旅行してこいよ!

西尾 : しかも加藤、オレらのプライベート旅行にはこないだろ(笑)。

山田井 : (笑)

岩田 : 動画以外の活動で言うなら、マネタイズの接点をもう少し増やしたいですね。今は動画の広告収益に頼っているのですが、グッズ販売やタイアップなどを増やしていきたいです。

もうひとつ、僕らがもっとも大事にしないといけないのは動画のクオリティ。今後は別のクリエイターのほうとも一緒に作品をつくっていけたらと考えています。

西尾 : アニメーションをつくっている立場から言うと、テレビやNetflixとは違った映像表現に挑戦してみたいと思っています。CGなんかを使うとこれまでにない表現もできそうなので、そういう意味でも岩田が言ったようにいろいろなクリエイターとコラボレーションしたいですね。

■YouTubeはレッドオーシャンだが、まだまだチャンスのある世界

山田井 : YouTuberになりたい人へエールやアドバイスをお願いできますか。

岩田 : この記事を読んでくれて、それでもYouTuberになりたいって言うなら歓迎します(笑)。YouTubeはもうレッドオーシャンだって言われていますが、それでも若い人が才能を発揮するには良い場所だと思います。

テレビの場合は、ADからスタートして、自分の番組をつくれるのはだいぶ先になってしまいます。しかしYouTubeでは、若い感覚を持って動画をつくれる機会が多くあります。

西尾 : YouTubeは普通じゃ味わえないものを味わえる世界です。やるなら楽しんでもらいたいですね。

飯野 : 本当にやりたいなら期限を決めて本気で挑戦してみるといいですね。ダメなら他の道もありますから……。だらだらやって腐ってしまった人たちもたくさん見てきたので……。

須藤 : (笑)。

飯野 : ……まあ、楽しい仕事なんで(笑)。思い切り挑戦してもらえたらと思います。

加藤 : 僕個人の意見ですけど、あまりおすすめはしないですね。

西尾 : おい!(笑)

加藤 : 特に最初から収益を求めるならやめたほうがいいかな。オレはまあ、そういうことをあまり考えてなかったから楽しくやってきたけど、収益を求めてしまうと楽しくないんじゃないかな。楽しめるかどうかで決まると思います。

山田井 : 岩田さんがおっしゃったようにYouTubeはコンテンツが飽和しています。そのなかで成功するにはどうすればいいでしょうか。

須藤 : 僕が見る限りですが、今のYouTubeって、そんなに編集に凝らなくてもいいのかなと思います。

僕が見ているチャンネルでものすごく伸びているVLOGがあるんですけど、編集技術はそれほどでもないんです。ただ、なかなかないコンテンツを発信しているからすごく人気があるんです。

土井谷 : 何が伸びるかなんて人それぞれでわからないんです。数撃ちゃ当たるという感じで、いろいろやってみれば当たるかもしれない。今成功している人も、たまたま当たったってことは多いと思います。

山田井 : 最後にファンへのメッセージをお願いします。

岩田 : YouTubeだからこそできる企画をつねに模索しています。視聴者さんとのコミュニケーションから生まれた企画なんかもあるので、ぜひ協力していただけたら嬉しいです。

飯野 : 動画に対するレスポンスは参考にもなるし、励みにもなっているので、良くても悪くても反応をもらえたらと思います。

加藤 : オレは……特に言うことはありません。

須藤 : むちゃくちゃだなお前!(笑)

飯野 : そんな「ファンへのコメント」ってインタビューで前代未聞だよ(笑)。

加藤 : えーと、じゃあ、これからもよろしくお願いします!

全員 : (笑)

芸能人や制作会社が続々と参入し、YouTubeの雰囲気は大きく変わりつつある。厳しさを増す環境のなかで、だいにぐるーぷは今後、どんな進化を遂げていくのか。

YouTubeというメディアを知り尽くした彼らが次に仕掛けるエンターテインメントが今から待ちきれない。