25日、かまいたちがフジテレビ元旦恒例の演芸特番『新春!爆笑ヒットパレード』の新MCに就任することが発表された。

フジが1968年から放送している長時間のネタ特番であり、昭和時代から元旦の「めでたい」「初笑い」というムードを感じさせる希少な番組。これまでコント55号、横山やすし・西川きよし、ビートたけし、明石家さんま、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、笑福亭鶴瓶、爆笑問題ら、そうそうたる芸人たちがMCを務めてきた。

2009年以降は15年にわたってナインティナインがMCを務めてきただけに、ここにきて、かまいたちが「次の顔」として起用されたことになる。これは「当然の起用」なのか、それとも「抜てき」なのか。その狙いや背景をテレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • かまいたちの山内健司(左)と濱家隆一

    かまいたちの山内健司(左)と濱家隆一

思い切った抜てきではなく「満を持して」

まず今回の発表にかかわる総合演出のフジテレビバラエティ制作センター・角山僚祐氏のコメントを確認しておきたい。

「15年もの長期間、総合司会を務め上げられたナインティナインさんには感謝しかありません。『爆笑ヒットパレード』の司会というのは、年末の超多忙期間を駆け抜けた直後の元日に8時間の生放送を盛り上げるという、とてもハードルの高い仕事だと思っています。その苦労や大変さを微塵も表に出さず元日から日本列島に笑いを届け続けたお二人、本当にお疲れ様でした」

「そしてそのバトンを引き継ぐのはかまいたちさんです。僕は『THE CONTE』という番組で一緒にお仕事をさせていただいていますが、コントはもちろん、受けのトークや芸人さんへの愛あるイジりも天下一品だと思っています」

ナインティナインへのねぎらいからは「元旦8時間生放送の難しさ」、かまいたちへの評価からは「受けのトークや愛あるイジりなどへの期待」がうかがえる。自身が手がける『THE CONTE』は20組前後の芸人が集うコント特番だが、かまいたちはそこでMCを務めてきたことからも信頼が厚いのだろう。

さらに他局の番組を見ても、かまいたち起用の必然性が見えてくる。かまいたちは今年10月12日に放送された『お笑いの日』(TBS系)で前年までのダウンタウンに代わって初めてMC(前半部分)を務めた。これは松本人志の休業に伴うものであることは間違いないが、多くの芸人からかまいたちが選ばれたことは、まぎれもない事実。フジとしても昨夏、千鳥、ダイアンとともに長時間生放送の『FNS27時間テレビ』を任せたという経緯がある。

その意味では決して思い切った「抜てき」ではなく、満を持して「かまいたちが単独MCを務める時代に突入した」と言っていいのではないか。

逆に今秋、かまいたちが事実上のリーダー格を務めた『ジョンソン』(TBS)はわずか1年で終了したが、この番組はモグライダー、見取り図、ニューヨークと横並びのコンセプトだった。「かまいたちの評価はまったく落ちず、むしろ単独で前面に出したほうがいいだろう」という思惑が見て取れる。