今年も『24時間テレビ46 愛は地球を救う』(日本テレビ)が、26・27日に放送される。テーマは「明日のために、今日つながろう」で、“メインパーソナリティー”はなにわ男子、“チャリティーパーソナリティー”は芦田愛菜、有働由美子、小泉孝太郎、“総合司会”は羽鳥慎一、水卜麻美、“24時間テレビサポーター”は徳光和夫、生放送の会場は両国国技館。チャリティーマラソンやスペシャルドラマなどの内容も含め、大枠はほとんど変わっていないが、ここまでさまざまな角度から逆風が吹いている。

まず、メインパーソナリティーのなにわ男子が所属するジャニーズ事務所で性加害騒動が勃発。さらに、7月22・23日に放送された『FNS27時間テレビ』(フジテレビ)の「100kmサバイバルマラソン」でチャリティーマラソンの意義を問われ、系列局の中京テレビでメインパーソナリティーを務める美 少年のメンバーにスキャンダルが発覚した。

例年以上に否定的な声が上がっているからこそ、放送前にチャリティー番組を長時間放送する意義について、テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 『24時間テレビ』

    『24時間テレビ』

■視聴率と募金額は依然として高水準

まず『24時間テレビ』を取り巻く人々の印象や認識を挙げておこう。

視聴率は相変わらず、ほぼ各時間帯トップの好結果を残していて一定のニーズを裏付けているし、キャッシュレス募金が定着して昨年も10億円に迫る募金が集まった。これだけで「令和の今なお、テレビがチャリティー番組を放送する意義はある」と言っていいだろう。

しかし、その一方で例年通りの批判に加えて、長時間の生放送番組にしてはネット上の動きが活発とは言えない感があったのも事実。以前からファンだけでなくアンチの多い番組ではあったが、昨年は「無関心層が増えたのでは」という声も上がっていた。今年は無関心が進むのか、それとも前述した逆風から批判を集めてしまうのか。いずれにしてもネガティブな声を封じることは難しそうだ。

これまで『24時間テレビ』のアンチが不満を漏らしてきたのは主に「出演者のギャラ」「感動をあおる恒例の演出」「真夏に長距離マラソン」「ジャニーズありき」の4点。これらに日テレからの明確な回答がないことが、「チャリティーは視聴率を得るための戦略だろう」という疑念を抱かせている。

しかし、前述したようにその4点があるからこそ約10億円もの募金を集められ、それによって救われている人々がいるのだから、放送意義はあるのだろう。「純然たるチャリティー番組ではなく、ビジネスやエンタメのにおいもすることをどうとらえるか」によって『24時間テレビ』の見方が変わってくる。

それは番組以前に「募金する人はいるし、しない人はしない」という当たり前の2択と同じなのかもしれない。本来、募金しない人は無関心でいればいいはずだが、「24時間も生放送されていると思わず見てしまう。見るといろいろ不満を言いたくなってしまう」のも、テレビのチャリティー番組が難しい理由の1つだ。