【前回までのあらすじ】
初めての一人暮らしで、無謀にも内装を全部自分で作ることに決めた私。友人たちの力を借りて、壁塗りや床にフローリング張りなどを一気に仕上げました。その後は細部を仕上げつつ、たくさんの友人たちを招きながら楽しく暮らしています。
ゴールデンウィーク期間の内に住めるまでに内装を仕上げ、細部については気に入った材料が見つかるか、「ここに、これが欲しいな」と気づいたタイミングで、のんびりと徐々に付け加えていきました。その一部を紹介させていただきます。
床にはタイルを
材料の面でフローリングや壁の塗料と同じぐらいにこだわったのが、「タイル」でした。キッチンから脱衣所に続く水回りの床は、ブルーのタイル仕上げにしたいと決めていたものの、ホームセンター等ではなかなか"しっくり"くるタイルに出会うことができず、家に住み始めてしばらくは、むき出しの板の床のままにしておきました。
その間、街や飲食店の床・壁のタイルを観察し続ける、傍からから見ると相当怪しげな日々を過ごし、ようやく理想のタイルに出会えたのは、いつも通っている美容室で教えてもらった「アドヴァン」という建材屋さんの原宿にあるショールームでした。そちらで実物を確認し、色と光沢や必要な量を確認し、その会社のネットショップで購入したモザイクタイルをDIYで貼りました。
タイルを貼るのはとても簡単です。
(1)モザイクタイルが敷き詰められているシートを、スペースにあわせてカットする
(2)シートを専用の接着剤で床に貼る
(3)接着剤が乾いてからタイルとタイルの隙間に「目地材」を塗る
(4)タイル表面についた「目地材」は濡れた布で拭き取る
(5)あとは乾くのを待つのみ
スペースが狭かったこともあり、2時間ほどで作業は終わりました。
壁にはフックを
住んでいる内に「ここにフックがあればなぁ」「棚があればなぁ」と考え始めるもの。おそらく多くの人が一度はそう思った経験があるのではないでしょうか。私の場合、その"プチ不満"も、一つひとつDIYで解消していきました。
始めに設置したのは、玄関脇の壁に上着やバッグを掛けられるフック。壁に下穴を開けてから、雑貨屋さんで買ったフックをネジで固定するのですが、実は最初に取り付けた際は、フックがすぐに外れてしまい、どうしたものかと頭を抱えました。
というのも、私の部屋の壁は非常に柔らかい「石膏ボード」というものが貼られているため、ネジや釘が打ちやすい反面、少し重量のある物を掛けると、重みでぽろぽろと壁が削れてフックが外れやすいのでした。ひどい時は、寝ている時にコートを掛けているフックが外れてしまい、「バサッ」という大きな音がして、「泥棒!?」と飛び起きたこともありました(笑)。
そこで、いろいろ調べて行き着いたのが「アンカー」という便利なパーツ。壁に空けた穴にまずそのアンカーをねじ込んで固定し、そのアンカーの穴の上から肝心のフックを止めるというものです。石膏ボードの壁でも、これでばっちりネジが止まります。
また、置き場所に困りがちな鍵も玄関の壁につけたフックに掛けています。写真の真鍮のフックは私のお気に入り。ニューヨークに旅行に行った際、ブルックリンのフリーマーケットで買ったハンドメイドのアイテムで、鍵を加工して作られたものです。外出から帰ってきて鍵をここに掛ける度に、旅行の思い出が蘇ります。ちなみにこのフックには重いものをかけないので、アンカーは使わずに済みました。
収納も欲しい
フックと同様に、住む内に欲しくなってくるのが収納です。私の家、間取り的にはなんと収納はほぼゼロ! シンクの下に食器や調理器具が仕舞えるくらい。そこで、本格的な棚ではないものの、フック設置を応用して、簡易的な収納はちょこちょこと設置していきました。
天井から吊りまくる
壁が埋まってくると、次に目をつけたのは天井。「洋灯吊」というフックを天井に取り付け、あらゆるものを天井から吊ってきました。
流木もネットで購入 |
一番重宝しているのが、洋服を吊っているラック。洋灯吊からロープを下げ、そこに適当な長さにカットした流木を通しているだけの簡単な作りです。冬場はコートも掛けていますが、今のところ落っこちてきたことはありません。
流木はネットやインテリアショップで購入できます |
実はこの流木、自分で拾ってきたのではなく、ネットで購入したもの。海が近くにあれば拾ってくるのも悪くはないですが、なかなかそうも行かない&汚れていたりするので、きれいに漂白済みの流木をネットやインテリアショップで購入するのがオススメです。
ちょっと変わった挑戦では、天井に麻のネットをとりつけて、室内ゴーヤ栽培をしたことがありました。日当たりのいい部屋とは言え、屋外ほどの日照はないので育ちはいまいちでしたが、かわいい小さなゴーヤをひとつ収穫することができ、満足でした。
秘密基地で暮らしているみたい
家には毎週末のように様々な友人たちが、面白がって遊びに来てくれます。自分にとってフィットしている家であることはもちろんなのですが、作る段階からたくさんの人の協力があってこそ成立した今の暮らしでもあるので、すごくオープンな意識で日々生活しています。友だちと一緒に作った秘密基地を、少しずつ自分仕様に変えながら暮らしているような、そんな気分かもしれません。
家に友人が遊びに来たり、何かしらの取材に来ていただいたりした際には、黒板ペイントした梁にチョークでコメントを残してもらっています。うれしいことに、その黒板もいっぱいになってきてしまいました。そろそろ塗り広げなくてはなぁと思っています。
全7回で紹介してきた、「よくばりな暮らし」はいかがでしたでしょうか? DIYはそれ自体が目的ではなく、心地よく自分らしく暮らすためのひとつの手段だと思います。また、安全さえ確保できれば、決まった「正解」はありません。読んでいただいたみなさんも、ひとりで頑張りすぎず、自由な発想で過程を楽しみながらDIYを生活に取り入れてみていただければ幸いです。
著者プロフィール: 木村かさね
都内企業に勤める会社員です。初めてのひとり暮らしをきっかけに、自宅内装を全面的にDIYしたことが話題となり、これまでTVや雑誌等多くのメディアで紹介いただきました。