前回までのあらすじ】
初めての一人暮らしで、無謀にも内装を全部自分で作ることに決めた私。DIYしてOKな部屋を借り、数々の失敗を繰り広げつつなんとか天井と壁を塗装。その合間に行ったのが、最大の難関であるフローリングを床に張る作業でした。

今回のメインテーマは「フローリングを床に張る」です

強力な助っ人登場!

こだわり抜いた末に見つけ、大量に届いて実家の親を驚かせた無垢フローリングを、ついに床に張る日が! 壁の塗装は自分&友だちでなんとかなるとして、フローリングを張るのはちょっと難易度高めということで、第2回でも紹介した、「DIYサポート」というサービスを利用しました。

「DIYサポート」では、登録している信頼のおけるプロの方が家に来てくれます。ですが、全ておまかせするのではなく、ワークショップ形式で「教えてもらいながら自分で作る」というスタイルのサービスです。

たまたまスケジュールを調整して我が家に来てくれたのは、まるでバンドマンのような出で立ちの素敵DIYお兄さんでした。今となってはものすごく売れっ子の一級建築士さんなので、その時に家へ来てもらえたのは奇跡!

素敵DIYお兄さんと一緒に、この長さ182cmの無垢フローリングをカットしていきます

謎道具をそろえました

DIYお兄さんは、私の部屋づくりを実際に手伝ってくださった人の中で、唯一のプロ!(笑) 言うまでもなく非常に貴重&頼れる存在です。フローリング張りに関して必要な道具は事前に教えてもらえたので、当日までにそろえておきました。教わるがままにそろえた道具は以下の通り。

軍手、メジャー、直角定規、鉛筆、電気丸ノコ、紙やすり、カートリッジタイプの接着剤、コーキングガン、ゴムハンマー、フロア釘、インパクトドライバー、かなづち。

そこそこ多い!!(笑) そして、普通に生きていたら出会わないであろう、完全に謎の道具もチラホラ…。

フローリング張りの工程は大きく3つに分けることができます。

(1)フローリングをカットする
(2)接着剤を床に塗り、フローリングを貼る
(3)釘を打って完全に固定する

それぞれの工程に沿って、どの道具を使っていったのか説明したいと思います。

丸ノコを使ってカットカット!!

まずは、板のカットです。「メジャー」で測ってカットする箇所に印をつけ、その印を起点にして、フローリングを横切るように「直角定規」でまっすぐに線を引きます。そして、そのまっすぐな線をなぞるように、板をカットしていきます。

「直角定規」で真っ直ぐに線を引いていく

線を引き終えたら、安定した台(私はカット前のフローリングが入った箱を使いました)の上に板を乗せ、利き手と逆の手でフローリングを押さえ、利き手に持った「電動丸ノコ」でフローリングをカットします。カットした面がザラザラで気になった場合は、紙やすりで整えます。

フローリングが入った箱を使いながら、フローリングを「電動丸ノコ」でカット

この電動丸ノコ、ホームセンターで一番安いもの(3,500円くらいで買えて驚きました)を買い、十分活躍してくれました。私の場合はラッキーなことに、お兄さんに教えてもらいながらでしたが、説明書を読んで使えば女性でも案外簡単に使える道具です。慣れてしまえば、普通のノコギリよりも楽に木材をカットできます。ただ、危険な刃物であることは変わりないので、人や物は遠ざけ、必ず軍手をはめて使用してください。

美しい床を作る秘訣は「リズム」

リズムと言っても、「リズミカルに板を切る」的な意味ではありません(危ないので、くれぐれもカット作業は慎重に!)。カットを部屋のサイズに合わせて進めていく内に、板と板の継ぎ目が隣の列とそろってしまったり、等間隔になってしまったりする場合があります。

継ぎ目がそろわないようにする=「リズムを変える」ことで、美しい床に仕上がります

それ自体致命的なミスではないのですが、仕上がった際の美しさに欠けるので、カットする位置を調節して、継ぎ目がそろわないようにすることを、師匠・DIYお兄さんは「リズムを変える」と呼んでいました。無骨なDIYの中にありながら詩的な表現で、今でもよく覚えている言葉です。

謎の道具「コーキングガン」が大活躍

言われるままに買ったミステリアスな道具「コーキングガン」。実は、専用の接着剤を押し出すための道具でした。"ガン"という名前の通り、金属製で拳銃のような作りになっています。歯磨き粉のようなカートリッジタイプの接着剤をセットして、引き金の部分を人差し指で引くことで、適量の接着剤が押し出される仕組みです。

接着剤は床に塗り、そこにフローリングを置いていきます。置いたらゴムハンマーで斜め30度くらいの角度からフローリングを叩いて少しずつ動かし、フローリング側面の人工的な凸凹同士がかみ合わさるように調整をします。

敵はまさかの「音」でした

ある程度接着剤が固まったタイミングで、「インパクトドライバー」と「かなづち」を使って「フロア釘(床用の釘)」を打ち付け、フローリングを床に完全固定していきます。お兄さんの指導のもと、その工程にとりかかったのですが、ど素人の私が想像していた以上の大きな音がしてびっくり!

しかもこの釘打ち工程、慣れない身ではかなり時間がかかります。私は勝手に、お兄さんが手伝ってくれるその1日だけで床張りを終わらせる気満々だったのですが、そのペースでは絶対に終わらないと気付いて途方に暮れました……。

一か八か! 素人DIY最大の決断!

「住むのは自分だし、釘なしでいいです!」。私がこう言い放つと、お兄さんはあっけにとられた表情でした。私が言ったのは釘を打たず、接着剤のみの固定でOKという意味です。本来釘打ちは必須で、省くと後々にフローリングがずれたり、湿度変化の影響を受けて板が浮いてきてしまう(「床が暴れる」と言います)のだそう。

私は釘を打たず、接着剤のみで固定しました

ただその時、接着剤だけでも素人目では板が固定されていたことと、購入したフローリングが無垢とはいえ素直に真っすぐな板だったため、かかる時間・手間と天秤にかけて、自分なりにそう判断したのでした。ほぼ素人の"勘""思いつき"の行動なので、正直あまりオススメできる方法ではありませんが、我が家の場合ラッキーなことに、張ってから数年経つ現在もフローリングは大人しく床に収まっています。

短所はチャームポイントに

素人床張りにとって釘打ち同様に難しいのが、端の処理です。計測上は狂いなく図っても、カットの際どうしても手元が狂ってしまうため、壁に近い部分のフローリングは「切りっぱなし」のようなかなりラフな状態になります。

おそらくみなさんのお住いは、「巾木」というパーツで床と壁の接合部分が隠されていると思いますが、それを張るとなるとまた大変。そこで面倒くさがり屋の私は、あえてフローリングを短めにカットして、壁との間に距離を開け、空いた部分には貝殻やタイルを敷き詰めました。

端には貝殻やタイルを。土壇場のアイディアでしたが、なかなか気に入っているポイントです

荒削りながら塗装もフローリング張りも終わり85%は完成! 体中ペンキと木屑まみれ! DIYに明け暮れたゴールデンウィークを使いきったタイミングで、無事新居での生活を始めることができました。その後は暮らしながら細部を整えていきます。

(つづく)

著者プロフィール: 木村かさね

都内企業に勤める会社員です。初めてのひとり暮らしをきっかけに、自宅内装を全面的にDIYしたことが話題となり、これまでTVや雑誌等多くのメディアで紹介いただきました。