前回までのあらすじ】
初めての1人暮らしで、無謀にも内装を全部自分で作ることに決めた私。DIY物件専門不動産サイトを通じて無事部屋を借りることができ、材料もなんとかそろえて、いよいよ人生初DIYの開始です!

ここからDIYが始まります

勝手にDIYするのはNG

私が借りた部屋は"DIY可能物件"と言って、原状回復義務のない(ざっくり言うと、その家から引っ越す時に、借りた時の状態に戻さなくてもいい)ものでした。その代わり私の借りた部屋の場合は、DIYをする前に管理会社に工事内容を連絡して、許可をもらう必要があります。

一例として、私が提出・受理された申請は、「天井 ペンキ塗装」「壁(ブロック塀) ペンキ塗装」「壁(ブロック塀以外) 珪藻(けいそう)土塗装」「床 フローリング貼り」「トイレ 便座つけかえ」の5カ所でした。

事前にDIYをする場所とその内容を管理会社に説明する必要がありました

DIYに没頭するゴールデンウィーク

ゴールデンウィークと有給を組み合わせて、4月29日~5月6日の8日間、丸々休みをとりました。連日家造りに集中できたことと、たくさんの友人たちの手伝いのおかげで、住むために必要なリノベーションは、その期間で終わらせることができました。ちなみに、8日間の使い方は下記の通りです。

1日目: 宅配便で届く道具・材料の受取
2日目: 天井と壁の塗装(ペンキ・珪藻土)
3日目: 壁の塗装(ペンキ・珪藻土)、不足した材料の買い出し
4日目: 実家からフローリング(第2回参照)と生活道具を運び出し、本格的に引っ越し
5日目: フローリング張り、道具が足りなくて買い出し
6日目: 休憩日
7日目: 天井(梁)の塗装(ペンキ)
8日目: トイレの塗装(ペンキ)

説明と待機もDIYのうち

1日目は、さまざまなネットショップで買い集めた材料や道具が五月雨式に宅配便で届くので、それを受け取る日でした。ネットでレンタルした脚立や、珪藻土と左官セット(第3回参照)、フローリングを張るための道具、友人たちと着る作業着などです。

面白かったのは、脚立を持ってきてくれた宅配便ドライバーさんの反応。むき出しの脚立を届けること自体がまずレアなのに、玄関のドアが開くと、部屋は家具がないどころか床も壁もありのままむき出しの状態。

しかも、うれしそうに脚立を受け取るのは、どう見ても普通の20代女性(私のこと)。ドライバーさんの頭に、大きな「?」が浮かんでいるようだったので、自分で内装を作るのだと、受取のハンコを押しつつ説明しておきました。

また、宅配便屋さんが来るまで部屋で待っていた際、椅子などなく床もフローリングを張る前でチクチク……。しかたなくコンビニで新聞を買って部屋の隅に敷き、体育座りで待機という座敷わらしスタイルになり、思わずひとりで笑ってしまいました。

DIYはいろいろな材料や道具を使うので、注文した物を待つ時間も、先の宅配便ドライバーさんに対してのように、それを買う経緯を説明することも、楽しいと思える瞬間だと思います。

手始めに天井を塗ってみる

2日目以降は友人たちがうちに来てくれて、天井と壁を塗る作業です。脚立を立てて、まずは天井から。天井に凝ったDIYは大変だと思ったので、普通に白のペンキで塗ることに。道具はスポンジローラーとトレイがセットになったものを使いました。

トレイにペンキを適量流し入れ、スポンジ部分に馴染ませてから塗っていきます

音楽をかけたり、必要以上におやつ休憩したりと、文化祭気分で楽しく塗っていたのですが、同時にかなりハードな工程でもありました。というのも、不安定な脚立に載りながら上を向いての作業ですし、スポンジのようなローラーからペンキを染み出させつつ塗る感じなので、けっこう力が必要なのです。男性たちはともかく、女子と私は首が疲れて1時間後にはぐったり……。

脚立に載って天井をコロコロ塗る友人と、それを見守る先輩

天井はもっと楽に塗れたのに……

DIYに小さな失敗はつきものです(開き直って、それが面白みでもあると思っています)。この天井ペンキ塗装もそのひとつ。後から人に聞いて知ったのですが、実はローラーの柄の部分に穴が開いているものがあり、そこに下の写真のような専用の長い棒を接続できるようになっているのです。

最近知った便利な道具

つまり、「脚立を使わなくても天井は塗れた」という衝撃の事実! 最近、友人宅のDIYをお手伝いした時に使ってみましたが、拍子抜けするくらい、すっごく楽でした(苦労してうちを手伝ってくれたみんなごめんなさい……)。

ただ、長い棒を使う方法だと部屋の隅など細かい部分は塗りきれないので、広い面はローラーに長い棒を取り付け、床に立って一気に塗る、部屋の隅など細かい部分は刷毛(はけ)などを使って、脚立や椅子に乗って塗って仕上げる、という使い分けをオススメします。

塗る前に忘れてはいけないこと

話が前後してしまいましたが、実は塗る前に必要な「養生(ようじょう)」という工程があります。養生とは、間違って塗料をつけたくない場所(コンセントの差込口・床・家具など)を覆い隠すことです。私は、ビニールシートと養生テープが一体になっているものを使って床などの広い面を隠し、細かい部分はマスキングテープを貼っておきました。

みんなで手分けして、床やドアを養生中

養生テープとフィルムが一体になっているタイプは便利に使える

また、独特のにおいで気分が悪くなるのを防ぐのと、乾きを早めるために、ペンキを塗る時は換気をしながら塗ることをオススメします。それを考えると、気候が良く湿気が少ない春と秋がペンキ塗装に適しているように思います。

コンセント差込口はマステでがちがちに養生。それにしても下手くそ(笑)

白ペンキを天井に塗ることからスタートしましたが、実はまだ他にも塗る材料を用意していました。「珪藻土」と「ミントグリーン色のペンキ」「黒板ペンキ」の3種類です。内装DIYの代表とも言える塗装作業。失敗も多々ありつつ、この後もまだまだ続きます。

(つづく)

著者プロフィール: 木村かさね

都内企業に勤める会社員です。初めてのひとり暮らしをきっかけに、自宅内装を全面的にDIYしたことが話題となり、これまでTVや雑誌等多くのメディアで紹介いただきました。