前回は主に本体の外観を中心に製品をチェックしてきた。今回はPCとしてのスペックやパフォーマンス上の特徴、ソフトウェアなどについて見ていくことにしたい。

エムエスアイコンピュータジャパンの「X-Slim X340 Super」

CULV版Core 2+Intel GS45を採用

本製品は、CPUにIntel Core 2 Solo U3500を採用している。このCPUは6月に正式発表された、CULV(Consumer Ultra Low Voltage)版と呼ばれる新しいモバイル用CPUだ。従来のモバイル版Core 2よりも、薄くて軽いモバイルノートを安価に実現できることで注目を集めている。

CULV版のCore 2 Solo U3500を採用。1.4GHzで動作する

Core 2 Solo U3500は、その名のとおりシングルコアのCPUで、動作クロックは1.4GHz。ネットブックに搭載されているIntel AtomのようにHyper-Threadiingを備えてはいないので、OSが認識する論理コアも一つとなる。とはいえ、アーキテクチャが異なるので、Atomと比べれば、相当に高いパフォーマンスが期待できる。

チップセットはMobile Intel GS45 Express+ICH9Mを採用。Intel 4シリーズにラインナップされるチップセットで、ネットブックのチップセットであるMobile Intel 945に比べてパフォーマンスが高いの特徴。とくに、動画再生支援が充実しているのが、このクラスの製品にとっては大きなメリットとなるだろう。

メモリは2GB。モジュール1枚のためシングルチャネルでの動作

HDDは320GBで、今回試した製品には東芝製のHDDが搭載されていた。システム用に約50GB、データ用に残りというパーティション分割がなされており扱いやすい。なお、Dドライブには、バンドルソフトの一部のセットアップファイルも用意されているほか、不可視領域にはリカバリ用のデータが収録されており、HDDリカバリが行えるようになっている。

HDDは320GB。出荷状態は、データ領域となるDドライブを多めに確保したパーティション分割がなされている

ちなみに、光学ドライブを別途用意する必要はあるが、リカバリメディア作成ツールも用意されているので、HDDリカバリだけでは不安な人は活用すると良いだろう。

リカバリはHDDリカバリのほか、リカバリメディアを作成することができる。もちろんUSB接続の光学ドライブが必要となる

このほかのバンドルソフトについて簡単に触れておくと、Adobe Reader、Norton Internet Securityといったメジャーなソフトのほか、上記のリカバリディスク作成にも関係するDVDライティングソフトのBurnNow、英語版にはなるがメディア管理ソフトのMAGIX Goya Baseなどが付属している。

Webカメラを活用したツールも用意されている。一つはEasy Faceと呼ばれる顔認証ソフトウェアで、Webカメラで撮影された自分の顔をキーとして登録しておき、顔をカメラに写すだけでログインできるといった仕組みを持つアプリケーションだ。認識率も悪くはなく、パスワードの入力の手間が減るのはメリットになる。こうしたアプリケーションのビジネス利用においては企業ポリシーにもよるだろうが、個人利用の範囲では十分に便利に使えるツールという印象だ。

Webカメラを使った顔認証ツールである「Easy Face」。複数枚の顔写真を撮影して登録しておくことで、Windowsログオンなどに顔認証が利用可能になる

このほか、CrazyTalk CamSuiteというWebカメラツールもバンドルされている。非常に多機能なツールで、Webカメラで撮影された映像のキャプチャや録画のほか、映像にデコレーションを施すこともできる。果てはメディアファイルやデスクトップ画面の共有といった、Webカメラツールの枠を超えた機能も提供されている。とくにデスクトップ画面の動画撮影機能はかなり便利なツールだ。

Webカメラと連携してさまざま機能を利用できる「CrazyTalk CamSuite」

CrazyTalk CamSuiteはデスクトップ画面の共有機能なども備えた実用面でも魅力あるツールになっている

さて、最後にパフォーマンスであるが、ここではPCMark05、3DMark06、バッテリ駆動時間の3テストを実施した。バッテリ駆動時間は640×480ドット/1MbpsのWMV9ファイルを連続再生した際のもので、液晶輝度は最大にして実行している。

性能の比較には、こちらの記事にあるHP Mini 2140のデータが参考になるのではないかと思う。液晶解像度が同じ1,366×768ドット、OSも同じWindows Vista Home Premiumであるが、ハードウェアプラットフォームとしてHP Mini 2140はネットブックと同等のものが採用されている。ただし、リンク先のHP Mini 2140はSSDが搭載されているのでHDD性能の比較には適さない。

バッテリ駆動時間 2時間01分23秒

結果は、CPU、メモリ、グラフィックスのいずれも、X340 SuperのCore 2 Solo+Intel GS45の環境が上回る結果となっている。CPUについては先述したとおりHyper-Threadingがサポートされないわけだが、論理1コアであってもAtom N270以上の性能は軽く出せることが分かる。

グラフィックもDX 10に対応しており、3DMark06の全テストを実行できるうえにスコアも高い。もっとも、これで最新の3Dゲームを十分に楽しめるかというと、そこまでの性能とはいえず、あくまで相対的に高い性能を持っているということに留まる。このグラフィックコアの魅力は先述のとおり、やはり動画再生支援の面が大きいだろう。

バッテリ駆動時間はほぼ2時間。輝度最大で動作再生をし続けるという条件は、最低でもこのぐらいの駆動時間は期待できるという目安になると思うが、4セルのバッテリで2時間ならまずまずの結果といえるだろう。

ちなみに省電力機能として、Ecoモードと呼ばれる機能を備える。これは、あらかじめ用意された電力設定のプリセットを、Fn+F5キーで切り替えられる機能だ。カスタマイズができないのが惜しいところだが、GamingモードやOfficeモードなどのプリセットが用意されており、利用シーンによって切り替えて利用するものになる。

Fn+F5キーを押すことで、省電力モードを切り替えられる。右下のアイコンで、省電力の度合いをチェックしつつ変更できる

さて、次回は、RTM版が完成したことで話題の次期OS「Windows 7」を、本製品にインストールしてみることにしたい。