「所変わればトイレも変わる」。人間的生活をおくる上で不可欠なトイレには、その国独自の特徴があるのではないでしょうか。この連載では、「世界のトイレ」をゆるーく紹介していきます。今回は中東「ヨルダン」のトイレ事情を、日本に留学経験のあるヨルダン人のアリーさん(仮名)に聞いてみました!
トイレマークの表記
まずは公共施設のトイレ。マークと表記はこんな感じです。
アリーさん「トイレの表記は『daura al-miyah』や『bait al-maa』と書かれます。直訳すると、『水の部屋』『水の家』といったところでしょうか。また、元は公衆浴場を指す『ハンマーム』という言葉で呼ぶこともあります」
右から左へ書くアラビア語、トイレの表記ももちろん同様です。写真の上部には、礼拝所の案内が書かれています。アリーさんによると「イスラム教では礼拝の前に手や口、足を水で清める必要があります。水を使う両施設は近くに置かれることも多いですね」とのこと。
トイレマークについては、「男性が左、女性が右」に描かれることが多い日本とは逆に、「男性が右、女性が左」の表記。アリーさんは「考えたことがなかったけど、そう言えばこの向きに描かれているのをよく見ます」とコメントしています。
個室はどうなっている?
続いては個室を見ていきましょう。ヨルダンのトイレで特徴的なのは、便器の横にあるホース。これはどうやって使うのでしょうか?
アリーさん「これは、おしりを洗うためのホースです。日本の『ウォシュレット』のようなものですね。用を足した後は、このホースを使って、手動でおしりを水で洗い流し、トイレットペーパーで拭きます。結構気持ちいいですよ(笑)」
ホースはおしりを洗うためのアイテムでした! アリーさんいわく「結構昔からある」とのこと。確かに、水でおしりを洗うとすっきり爽やか。昔のTOTOウォシュレットのCM「おしりだって、洗ってほしい。」の通りです。
(編集部注:ウォシュレットはTOTOの商標登録)
ただし、水圧については「チョロチョロのときもあるし、激流のときもあります。トイレによりますね」(アリーさん)とのこと。トイレだけに、ベストな水圧にめぐり合えるかは「運」次第、かもしれません。
ヨルダンでは、トイレットペーパーは流さず、個室内のゴミ箱に捨てるのが一般的だそう。うっかり流すと詰まってしまうこともあるので、トイレを使うときは気をつけましょう。
家庭のトイレは風呂場とセットが主流
続いて、家庭のトイレを見てみましょう。こちらはアリーさんのご自宅です。前回の「中国編」と同じように、バス・洗面台と一緒に設置されることがほとんどだそうです。トイレタンクの横には、先ほどと同じくおしり用ホースがあります。
アリーさん「大体どこの家のトイレにもホースはついています。また、風呂や洗面台などの水まわりはほとんどがセットです。日本のトイレはレバーで流しますが、ヨルダンではプッシュで流します」
日本では水を流すためのレバーハンドルがトイレタンクの横についているものが一般的。でもヨルダンでは、プッシュボタン式がトイレタンクの上部についている形式が多いよう。「ボタンが半分に分かれていて、押し分けることで『大』と『小』の水量を調節できるタイプもあります」(アリーさん)とのこと。
以上がヨルダンのトイレ事情。日本のトイレを使った海外の方が「ウォシュレットと温かい便座に感動した」というエピソードを聞くことがありますが、この国には独自のおしり洗浄システムがありました。アリーさんによると、周辺国でもよく見かけるとのことですので、仕事や旅行などでその地域に行かれた際は、おしりを洗ってみてはいかがでしょうか。