新型コロナウイルスの感染拡大から1年が過ぎ、日本でもワクチン接種が開始されようとしている。最近では日本国内で第3波が押し寄せ、首都圏や京阪神などに発出された緊急事態宣言も1ケ月間の延長を余儀なくされ、桜の開花前まで続くこととなった。
新型コロナウイルス対策の国別ランキング
いかんせん、初めて直面するような危機でもあり、政府の政策に対しては賛否の声があり、現在のところ、東京五輪の行方も決まっていない。
一方、日本と同じように世界でも新型コロナウイルスは猛威を振るい、各国国民は制限された中での生活を余儀なくされている。では、実際のところ各国はどの程度効果的に新型コロナウイルスに対処できているのだろうか。ここに、1つ興味深いランキングがある。
オーストラリアのシンクタンク「ローウィー国際政策研究所」は1月下旬、世界各国が新型コロナウイルス問題にどの程度効果的に対処できているかを数値化し、ランキングを発表した。同研究所は著名なシンクタンクであり、筆者も以前インドでの国際会議の席でそこの研究員と一緒になったことがあるが、新型コロナなど国際問題への研究・分析で優れている。
日本は45位にランクイン
同ランキングによると、世界98ケ国中、ニュージーランドが首位となり、以下、ベトナム、台湾、タイ、キプロス、ルワンダ、アイスランド、オーストラリア、ラトビア、スリランカがトップ10となった。
ニュージーランドや台湾は、新型コロナウイルスの感染拡大が大々的に報道され始めた時から水際対策など予防措置を徹底し、国内の感染者数が押さえ込まれている。一方、順にブラジル、メキシコ、コロンビア、イラン、米国がワースト5となり、日本は45位にランクインとなった。
欧米諸国ほど日本の感染者数・死者数は多くないが、ローウィー研究所のランキングではコロナ対策の優等生ではないことが分かる。このランキングは、人口100万人当たりの感染者数や死亡者数、陽性率などを基に試算されている。また、中国に関しては公開情報がないため、ランキングの対象外となる。
日本のリモートワーク環境と諸外国との比較
他にも面白いランキングが公表されている。1月に多くの外国メディアが報道した「Digital Nomad Index(リモートワークのしやすさ)」の国別ランキング(85ケ国対象)によると、2021年はカナダがトップとなり、以下、英国、ルーマニア、スウェーデン、デンマーク、フランス、オランダ、オーストラリア、スイス、ドイツがトップ10となった。
一方、ナイジェリアやミャンマー、ガーナ、ケニア、スリランカ、カンボジアなどが下位10位にランクインする結果となっている。ちなみに、日本は85ケ国中33位だった。このランキングは、インターネットやブロードバンドの回線・通信速度、家賃の安さなどリモートワークに重要な複数の項目をもとに試算されている。
コロナ禍によって国や都などはリモートワークを強く推進しているが、Digital Nomad Indexのランキングからみると、日本は決してリモートワークの環境が整っているとは言えなさそうだ。
働き方の多様性
また、Digital Nomad Indexでは多くの欧米諸国がトップ10となったが、長期休暇や女性の社会進出、男性の育休などが発達しており、働き方の多様性が進んでいることも関係しているだろう。
日本では、若い世代は働き方の多様性を重視する人が少なくないが、50代や60代以降のいわゆるバルブ世代の人々の間では依然として「会社でのデスクワーク=仕事」という考え方が根強い。そういった日本の環境や文化もこのランキングからは想像できる。
いずれにしても今回紹介した2つのランキングは、コロナ禍の日本のライフスタイルを改めて評価する上で役に立つ情報だろう。