我々は交通手段として日常的に車やバス、飛行機を使っているが、それらを動かすには石油が必要だ。東京や大阪など都会であれば電車が発達しているが、地方では車なしでは生活できないのが現状だ。
要は、石油なしに地方での生活は成り立たない。また、北海道や東北などの寒い地域ではストーブを使う人が多いが、これも石油なしには温まることはできない。石油は日常生活の生命線である。
日本では石油はほぼ取れず、海外から持って来るしか方法はない。日本がどの国から多く石油を輸入しているかといえば、現在ではサウジアラビアが1位、UAEが2位など、その9割は中東からタンカーに乗って輸送されている。しかし、今年に入って中東では緊張が高まっている。
UAEの情勢が懸念される
日本でもビップな国として有名なUAEの首都アブダビで1月17日、国営石油会社の燃料貯蔵施設や国際空港の近くにミサイルやドローンなどが着弾して火災となり、インド国籍やパキスタン国籍の3人が犠牲となった。
攻撃したのは内戦が続き、中東では最貧国と言われるイエメンの親イランの武装組織フーシ派という組織だ。UAE政府はフーシ派への報復を同日に宣言し、既にイエメンにあるフーシ派の拠点を空爆したという。
UAE政府によると、フーシ派は31日にも同国に向けて弾道ミサイルを発したが、UAE軍が上空でそれを事前に撃墜したので被害者は出なかった。
しかし、弾道ミサイルの破片が上空から落ちてきたという。フーシ派は声明の中で、今後もUAEへの攻撃を続ける意思を示し、UAEに展開する外国企業に対して撤退するよう警告した。UAEに進出する日本企業も多いが、アブダビだけでなく最大都市ドバイも当然ながら攻撃対象となるので、今後の情勢が懸念されている。
また、フーシ派は長年サウジアラビアに対して同様の攻撃を繰り返している。
サウジアラビアの首都リヤドや第2の都市ジッダにある国営石油会社サウジアラムコが所有する石油施設などは何度も受け、破壊や火災の被害を受けている。
サウジアラビア政府は経済の生命線である石油施設を防御する対策を強化しているが、フーシ派は1,000キロメートル以上も離れたUAEやサウジアラビア東部を攻撃できる能力を保持しており、予断を許さない状況が続いている。
石油価格が突然上がる危惧
以上のように、今日、日本の石油輸入先第1と第2の国で動揺が走っている。仮に、サウジアラビアやUAEが大規模な攻撃があれば、石油価格が突然上がるだけでなく、それが長期化する可能性が十分にあり、我々の日常生活を直撃する。今後の中東情勢は日本の日常生活と密接に関係しているのだ。