テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。
今回は、書評ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大氏が、「優れたアイデアを生むためのテクニック」についてお話します。
書評家・ビジネスプロデューサーの徳本昌大です。今日はアイデアのつくりかたについて学ぼうと思います。アンドリー・セドニエフの「考えて休む」というメソッドを身につけることで、よりアイデアを生み出せるようになります。
アイデアづくりの基本とは?
アイデアを生み出す方法を知りたければ、巨人の肩の上に乗るべきです。先人たちはアイデアを生み出す方法をいくつも紹介していますが、ノーベル文学賞を受賞したバートランド・ラッセルは、真剣にアイデアを考えた後は、いったんその思考をやめ、日常生活に戻るとよいと言います。
「たとえば、かなり難解なテーマについて書かなければならないとき、そのための最もいい方法は、数時間か数日間それについて一生懸命に考え、そのあとで作業を意識下で継続するよう潜在意識に命令をくだすことだ。数カ月後、そのテーマに意識的に戻ったとき、私はその作業が完了していることに気づく」(バートランド・ラッセル)
私たちの脳は休んでいる間に、潜在意識を活用し、新たなアイデアを生み出しています。
古代ギリシャの科学者・アルキメデスは風呂に浸かった時に王冠の体積を測る方法発見し、「ユーレカ」と叫んだことは有名です。このように必死に考えた後で、ボーッとする時間を持つことがアイデアづくりでは効果的です。 アイデアのつくりかたの中でジェームス・W・ヤングはアイデアや発想が生まれるまでを下記の5段階のプロセスに分けています。
1.情報を集める
2.情報の咀嚼-徹底的に考える
3.手放す-考えるのを止める
4.ユーレカ! アイデアが思いつく
5.アイデアを具体化していく
このように、「休み」をうまく取り入れることが良いアイデアを生むために有効なのです。では、「考えて休む」を実践するための、4つのステップをご紹介します。
「考えて休む」の4つのステップ
(1)解決したい問題について30分か60分、あるいは数時間、できるだけ一生懸命に考えて、どんなにばかげた内容でもいいから、浮かんだアイデアをすべて書きとめます。この最初の思考の段階で、アイデアを生みだすだけでなく、どんなアイデアを必要としているかを潜在意識に知らせることができます。
(2)最初の数時間以内に適切な解決策が見つからない場合は、その問題についてはすっかり忘れて日常生活に戻ります。
(3)あなたが問題について意識的に考えるのをやめても、潜在意識はそれについて不眠不休で考え続けます。
「あなたの超高速の創造的な右脳は無数の思考を処理し、散歩や入浴や睡眠のさなかにアイデアを思いつく。潜在意識は非常に独創的で成功するアイデアを生みだすことができる」(アンドリー・セドニエフ)
いったん潜在意識があなたに代わってアイデアを生みだすようになったら、いつ何時どこにいようと、それを書きとめるようにします。
(4)自分の課題についてときおり2分から5分くらい考えます。そのあいだに新しいアイデアを生みだすだけでなく、創造的な右脳を再び活性化し、自分がその問題について意識的に考えていないときでも活発に考えさせることができるようになります。
意識的に考えない時間を持とう
アンドリー・セドニエフは、「考えて休む」テクニックをビジネスでも徹底活用すべきだと言います。
「考えて休む」テクニックは、ビジネスを成功に導くすぐれたアイデアを生みだすのに役立つ。このテクニックを使ったあとですぐれたアイデアが浮かばないなら、十分な時間が経過していないか、アイデアを生みだすだけの十分な原材料を持ち合わせていないためにさらに探求する必要があるか、どちらかである
意識的に考えない時間を持つことが、私たちに大きな効果をもたらします。 一生懸命に考えることは重要ですが、あまり根を詰めても意味はありません。思考にある程度の時間を使ったなら、一旦、その問題を忘れて別の活動に移りましょう。
実は、分析的な左脳は創造的な右脳に代わってプログラムを設定し、それが脳のなかで一時も休まずにその問題について考え続けています。その問題に意識的にフォーカスしていないとき、創造的な右脳は脳のなかにある無数の思考のつながりをつくり、もしそのひとつがおもしろそうなら、「これは大発見だ! 突破口を開く画期的なアイデアが浮かんだ」と考えます。
潜在意識が問題について長い間考えれば考えるほど、より多くのつながりをつくり出し、優れたアイデアが生みだされる可能性が高まります。多くの科学者は「問題について意識的に考えていないときに優れたアイデアが生まれる」と主張しています。
徹底的に思考した後には日常生活に戻り、時々その問題について考えることで、創造的な右脳が活発に動いてくれます。偉大なイノベーターが優れたアイデアを生みだしつづけるのは、他の人たちより一生懸命に働いているからではなく、効果的な思考のプロセスを活用しているからなのです。より良いアイデアを生み出すために、「考えて休む」というテクニックを身につけましょう!
参照:「IDEA FACTORY 頭をアイデア工場にする20のステップ」(著 アンドリー・セドニエフ、出版 ディスカヴァー・トゥエンティワン)