テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。
今回は、業務可視化組織改善ツールを提供するQasee代表取締役CEO村田敦氏が、業務改革・DX化が進まない企業に共通する課題についてお話します。
長引く新型コロナウイルスの影響により、テレワークやフレックス勤務といったフレキシブルな働き方を余儀なくされている今、これまでの業務フローやプロセスを根本から見直し、より社内のパフォーマンスの向上を目指されている企業も多いのではないでしょうか。 その中で、今回は、業務改革・DX化が進まない企業に共通する課題についてご紹介いたします。
業務改革・DX化を担える人材が社内に不足している
業務改革・DX化を強力に押し進める上において、最新のデジタル技術、ソフトウェア動向、ITの知識を持つ人材が社内にいる事は欠かせません。
社内で優れた様々なデジタル技術の導入が進んでいても、技術を活用して実現できるビジネスモデル案を描き、具体化できる人材、そして実装までの工程管理ができる人材がいなければ、うまくDXが進まないのは明白です。
しかし、「デジタル人材」の確保については、圧倒的にその数が不足しており、外部からの調達も難しい状況です。その傾向は今後ますます拡大し、2030年に「デジタル人材」を含む専門技術人材(技術革新をリードしビジネスに適用する人材)は、170万人不足すると言われています。
こうした、デジタル人材を活用したDX化をそもそも念頭に入れずに、デジタル技術のみを先行して導入しているケースが少なくありません。
また、業務改革・DX化の推進は、プロジェクト単位で推進するものであるため、担当者が一人で進めることは困難であるということを認識しなければなりません。
下記図のとおり、自社には適切なデジタル人材が在籍していて、適切にプロジェクトとして役割分担がなされているのか一度確認してみるのもよいかもしれません。
業務がブラックボックス化している
次に、社内の業務がブラックボックス化している事が挙げられます。特に、少数精鋭の中小企業で退職率の低い会社で見られがちなケースです。
どこで・だれが・どのように業務に携わっているか、どのシステム・手順が使用されているかは、業務改革・DX化においては非常に重要です。
多くの会社で古くから残る「慣習」どおりに業務が行われており、手順マニュアルや、責任の所在、現プロセスを定義した理由等が不透明で、社内の誰に聞いても分からずブラックボックス化しているといった事がよくあります。
このブラックボックスの解明を進めることが非常に重要といえますが、このブラックボックスを解明していく事は、大変な時間と労力が割かれます。
ですが、効果的な業務改革・DX化を推進していく上では、避けては通れない道であるということを担当者は覚悟しなければなりません。
改革の優先度を決定できない
こちらもよくあるケースですが、いざ改革に着手しようとした際に、何から最初に着手すべきか決められない、分からないといった事があります。
どの業務プロセスからDX化を進めるべきか、経営課題・ビジネスインパクト・労務課題・生産性などを勘案し、データを元にした定量評価を実施した上で、定性評価を加えて重要度を決定する必要がありますが、多くの企業で、この優先度を決めることができないのです。
下記の図は、改革の優先度を決定する際の、マトリクスのイメージ図です。縦軸が重要度、横軸が緊急度ですが、このように実際に実行施策をマトリクス図に落とし込み社内で共通認識を持ち、改革を進めていくことはひとつおすすめです。
業務改革・DX化が進まない企業に共通する課題について、以下の3点を紹介しました。
- 業務改革・DX化を担える人材が社内に不足している
- 業務がブラックボックス化している
- 改革の優先度を決定できない
もし自社で、業務改革・DX化に課題を感じていたら、この3つのいずれかの課題が存在していないか一度確認してみてはいかがでしょうか。