テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。
今回は、書評ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大氏が、若手ビジネスパーソンに向けて『ポール・ゲティの大富豪になる方法』(ジャン・ポール・ゲティ 著、長谷川圭 訳、パンローリング)という書籍を紹介します。
書評ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大です。今回は、伝説の経営者であり石油王のポール・ゲティの習慣術を紹介します。
経営者こそ、良い習慣を身につけるべき
ゲティは、経営者こそ習慣術を大事にすべきだと述べています。
まずは、彼の習慣に関する言葉を『ポール・ゲティの大富豪になる方法』から引用します。
「繰り返しの行動がいつしか習慣になり、時にはそれがとてつもなく強い力を持つようになる。しかし人間には、自らの行動を自由に制する能力もある。つまり、自身の習慣を形づくり、それが望ましくないものになったときには対処したり捨てたりする力が備わっている。ビジネスの世界ほど、習慣のパターンが重要になり、習慣の力がはっきりと目に見える場所はない。習慣こそ、実業家が成功できるかできないかを決める最も重要な要素なのである」
一般的に良い習慣には"育む"、悪い習慣には"陥る"という表現が用いられますが、良い習慣を習得することがいかに難しいかがこの表現からわかります。
良い習慣を手に入れるためには、不断の努力が求められます。ただ、良い習慣を身につけることは難しいだけで、不可能ではありません。悪い習慣を良い習慣に置き換えることで、ビジネスでも成功できるようになります。
ゲティは、仕事の速さ、あるいは遅さは基本的に習慣の問題だと捉え、時間を守ることが経営者には欠かせないと言います。時間を守るという好ましい習慣は、誰にとっても重要ですが、とりわけ経営者には欠かせません。
ディナーに招待されるたびに遅れてくる者は、ホストやほかのゲストにとって迷惑でしかありません。こんなことを続けていたら、そのうち相手にされなくなり、経営者にとって大切なネットワークを築けなくなります。
ゲティはスピードを優先すべきだと言います。
「習慣的な速さはあらゆる経営者にとって特に貴重な資産だと言える。『時は金なり』という古くさい格言は現在でも有効であるばかりでなく、過去のどの時代よりも今こそ重要な意味を持つ。ペースが速く、複雑さを増した現代のビジネスでは、1時間どころか1分たりとも無駄にできない。経営者と経営幹部は極めて厳しいスケジュールで活動することが求められている」
会議やアポイントに遅刻しないように、5分前にはビジネスがスタートできるように、余裕を持って行動しましょう。そのためには、朝から慌てないように行動すべきです。早起きの習慣を身につけることで、時間をコントロールできるようになります。
ゲティは、「経営者や経営幹部は定期的に時間を作って、自分たちが仕事の際にどんな行動を習慣と呼べるほど頻繁に行っているかを調べてみるといい」と述べています。悪い習慣を紙に書き出し、評価を下しましょう。その中のいくつかは悪い習慣だとわかるはずですから、それらを改善していきます。
項目のいくつかは"良くも悪くもない"あるいは"良いか悪いかわからない"と思えることがあります。それらに対しては、ポジティブな習慣に変えることができないか、客観的に検討してみましょう。
例えば、金曜日の夕方に会議をするという習慣が良い結果をもたらしていないとします。この場合、会議をやめるという選択をするのはよくありません。社員が休みを意識する金曜の夕方に会議をするのをやめ、会議に適した曜日と時間を選べばいいのです。
リストの中にポジティブな習慣が見つかった場合、それらをさらに有益に、生産的にする努力を怠らないのが優れた経営者です。
例えば、節約する習慣が身についていて、常にコストの削減を意識しているのなら、その努力を倍にして、出費を抑えて利益を増やす方法をもっとたくさん見つけるよう心がけましょう。
ゲティが言うように、経営者は習慣の力を信じ、自分の行動をコントロールすべきです。経営者は時間を守る、人との約束を守る、節約を心がけるなどの良い習慣を身につけ、悪い習慣を見直すべきです。