仕事中なんだかイライラする、気分がのらないなど憂鬱な症状があれば、ストレスが影響している可能性があります。ストレスの解消方法として、お酒を飲む、甘いものなどお菓子をドカ食いしてしまうなど食事でストレスを発散させようとしてしまうことは、誰でも経験があるのではないでしょうか? 今回は、ストレス解消するための食事についてご紹介します。
1.ストレスが及ぼす体への影響は?
ストレスを感じると、体は自分を守るために、自律神経、内分泌、免疫機構などのさまざまな場所に影響を与えてしまいます。例えば、胃がキリキリと痛むなど胃痛を訴える人も多くいますが、ストレスによる影響で、自律神経が働き、胃酸の分泌が増えてしまっている可能性があります。痛みのほかにも、胸やけ、胃のもたれなどの症状も現れます。
自律神経にある、交感神経と副交感神経は、通常バランスよく働いていますがストレスがあると交感神経が活発になり、副交感神経の働きが弱くなります。副交感神経は消化を促進する働きがありますので、消化吸収がうまくいかずに栄養の吸収もいつもより低くなってしまう可能性も。
また、精神的なストレスは、体や心に不調をきたし、動悸、頭痛、手足のしびれなど自律神経失調症の症状が現れることもあります。
2.ストレスは甘いもので防げる?
甘いお菓子やドリンクは、糖質を多く含みます。食べると、糖質は脳のエネルギーとして使われます。ただし、砂糖を多く含むお菓子類は、血糖値を急激に上げてしまい、その後急激に下がります。血糖値が激しく変動することや、甘いものを食べ過ぎることで、血糖値を下げる作用のあるインスリンが多く分泌されます。そうすると、脳が糖分不足となってしまい、疲労、イライラ、精神が不安定になるといった症状につながってしまい、ストレス解消にはならないのです。
そして、ストレス解消にならないだけでなく、また、そのイライラから甘いものを食べるという悪循環に陥る可能性もあります。
3.ストレス解消にたんぱく質を!
ストレスを受けると、体は脳にある脳下垂体がホルモンを分泌して、体を防御しようと働きます。このホルモンは、副腎に指令して、たんぱく質を分解して、ブドウ糖を作り出す働きをします。体や脳にエネルギーを供給して、ストレスに対抗することができる体を作るのです。
このホルモンの分泌が長くなると、たんぱく質の分解が進み、免疫力の低下につながり、風邪をひきやすくなるなどの影響が考えられます。ストレスによって消耗するたんぱく質を補うこと、体づくり、免疫力を維持するためにもたんぱく質をしっかり補うことが大切です。
3食の食事に、魚、肉、卵、豆腐、大豆製品などにたんぱく質を多く含む食材を取り入れるようにしましょう。目安量は、生の食材の場合、1食分が指を含まない片手のひらサイズと手の厚みの量を意識してみましょう。
うどん、そばなど麺類や丼ものが好きな男性も多いのですが、そのようなメニューは炭水化物がメインとなりたんぱく質が不足しがちです。卵やお肉、魚、豆腐などたんぱく質がしっかりとれるものを選ぶとよいでしょう。野菜サラダやおひたしなどの小鉢料理を1品追加すると、バランスが整います。
たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あり、その種類によって働きが異なります。お肉だけ食べるなど偏ることがないように、肉、魚、卵、豆腐など様々な種類のたんぱく質を多く含む食品を摂りましょう。朝食に、納豆と卵を食べたら、昼食は生姜焼きや肉野菜炒めなどお肉を食べ、夕食は焼き魚や刺身など魚介類を食べるという風に、いろいろな食材からたんぱく質が摂れるように食材や外食メニューを考えて食べるようにするのがオススメです。
仕事をしていく中でストレスは誰もが向き合っていかなくてはいけないものです。食事をなるべく同じ時間に食べて、睡眠をしっかりとるといった生活習慣を見直すことも大切です。甘いものや菓子類を食べ過ぎてしまうときは、糖質に偏った食事になり、栄養が足りていない場合もあります。たんぱく質を意識して取り入れ、栄養バランスのとれる食事を目指していきましょう。
筆者プロフィール: 岡田明子
管理栄養士。同志社女子大学管理栄養士専攻卒業後、高齢者施設に勤務し、利用者の食事管理を行う。その後ダイエットサプリメント会社の立ち上げに関わり、自身の13kgのダイエット成功経験をいかして「食べてキレイに痩せる」ダイエットメソッドを確立。独立後は、ヘルスケア関連を中心にレシピ監修や商品開発、講演や執筆活動、テレビなどのメディア出演などを務める。2014年に一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)を設立し、栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康事業のサポートとヘルスケア分野で活躍できる人材育成を行っている。著書に『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(KADOKAWA/角川マガジンズ)など。