運動をしているわけではないのに足がつる、まぶたがピクピクとけいれんする、なんだかイライラするなどの症状がある場合は、カルシウムが不足している可能性があります。カルシウムは、人の体にもっとも多く含まれるミネラルといわれており、骨や歯を作るために大切な栄養素です。カルシウム不足を解消して、仕事に集中できる体づくりを目指しましょう。
日本人はカルシウム不足!?
毎日3食の食事をとっていても、カルシウムは不足しやすいミネラルといわれています。日本人に必要なカルシウムの所要量は、1日あたり600mgですが、20~50代といった働き盛りの年代の人たちは、カルシウムが不足している傾向にあり、なかなか必要量に届きません。カルシウムが不足した状態が続くと、骨がもろくなる、骨が変形してしまうなどの影響が出ます。骨粗しょう症になる可能性もありますので、十分にとっておきたいミネラルです。
イライラの原因はカルシウムが足りていないかも。
カルシウムが不足すると、体にさまざまな影響が出ます。カルシウムは、ほとんどは骨と歯に存在しているといわれていますが、残りは血液や筋肉にあります。神経の苛立ちを抑えるトランキライザーと呼ばれる精神を安定させる働きや、出血の予防、心臓の筋肉を規則正しく収縮させて活動する作用など、私たちの体に役立つさまざまな働きがあるのです。そのため、カルシウムが不足すると骨からカルシウムを放出させ、血液中のカルシウム濃度を一定に保とうとします。
常にカルシウムが不足していると、どんどん骨のカルシウムが失われてしまい、骨の質が悪くなります。さらに、腰痛や肩こりの原因にもなり、血行や血液の状態が悪くなることから高血圧などを引き起こす可能性もあります。体のだるさやイライラ、怒りっぽくなることもカルシウム不足の影響が考えられます。カルシウム不足は、脳の血液中のカルシウム濃度を高めてしまい、脳の神経細胞がうまく働かなくなるためにイライラ症状が現れると考えられています。
カルシウム補給にチーズを。
カルシウムを補うためには、カルシウムを多く含む食品を毎日の食事に取り入れていくことが大切です。牛乳、チーズなどの乳製品、小魚、モロヘイヤなどの青菜、がんもどきなどの大豆製品、ひじきなどの海藻類、ごまなどに含まれています。
カルシウムは食品によって吸収率が異なり、牛乳や乳製品が約50%、小魚が約30%、青菜類が約18%です。調理の必要がなく、そのまま食べられるチーズは吸収率もよく、カルシウム補給に最適。持ち運びしやすい個包装の商品も数多くありますので、お好みのチーズを10時や15時の間食に取り入れるのもオススメです。
カルシウムを効率よくとるためには
女性の場合、出産で多量のカルシウムを失うほか、更年期を過ぎると、骨の成長を促すホルモンの分泌量が低下するため、骨粗しょう症の危険が高くなります。また、一人暮らしの男性もカルシウムの摂取量が低いといわれています。
肉類などのたんぱく質、塩分などナトリウムの過剰摂取はカルシウムの排出量を増やします。さらに、肉や加工食品に多く含まれるリンをカルシウムより2~3倍多く摂取することで、カルシウムの吸収を抑制してしまうのです。カップラーメンなどインスタント食品をよく食べる、外食が多い、バランスを考えずに好きなものばかり食べる、そんな傾向がある人は注意が必要です。
逆に、カルシウムの吸収を助けてくれる栄養素は「ビタミンD」。このビタミンDを多く含む鮭などの魚介類、キノコ類、卵などを食事に取り入れることで効率よくカルシウムを摂るようにしましょう。鮭のチーズ焼きなどはカルシウムとビタミンDがとれるオススメのメニューです。
ビタミンDは、紫外線によって皮膚で合成されます。一日中ビルの中で仕事をして、休日は外出せずに家の中で過ごすといった生活スタイルの人は、日光にあたる機会が少ないですので、天気のいい日は外に出て、運動するように心がけましょう。意外と意識しないと不足しやすいカルシウム。カルシウムが多く含まれる食品を毎日の食事に取り入れて健康な体作りにつなげていきましょう。
筆者プロフィール: 岡田明子
管理栄養士。同志社女子大学管理栄養士専攻卒業後、高齢者施設に勤務し、利用者の食事管理を行う。その後ダイエットサプリメント会社の立ち上げに関わり、自身の13kgのダイエット成功経験をいかして「食べてキレイに痩せる」ダイエットメソッドを確立。独立後は、ヘルスケア関連を中心にレシピ監修や商品開発、講演や執筆活動、テレビなどのメディア出演などを務める。2014年に一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)を設立し、栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康事業のサポートとヘルスケア分野で活躍できる人材育成を行っている。著書に『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(KADOKAWA/角川マガジンズ)など。