忙しいのに眠たい、午後も会議があるのについウトウトとしてしまう、こんな状態が毎日続いていないでしょうか。趣味のゲームやテレビ鑑賞など自分の時間をつくりたくて睡眠時間を削っているという人も多いかもしれません。しかし、無理な生活は、体や心に負担をかけてしまいます。

睡眠が仕事に影響するワケ

睡眠が足りないと、脳の血流が悪くなります。脳に十分な血液が流れていないと、脳に必要な栄養であるブドウ糖の代謝が落ちてしまいます。そのため、脳の海馬、前頭葉の働きが低下します。

海馬は記憶、前頭葉は判断に関わる場所です。海馬の記憶は、一時的な記憶を長期記憶へと変えるために睡眠が必要になります。勉強中の人にとっては、夜に勉強したらしっかり睡眠を取ることで定着していきます。また、前頭葉は、ワーキングメモリーにも関わるところであり、複数の作業を効率よくこなしていくためには、大切な場所です。

そのため、睡眠が足りないと仕事中にボーっとしてしまったり、ケアレスミスが増えてしまう原因となります。これでは、本来の力を発揮できません。これは慢性的な睡眠不足だけでなく、一晩だけでも悪影響があるといわれています。睡眠をしっかりとることで、ミスを防ぐことができ、集中して仕事に取り組むことができるのです。

どのくらい睡眠をとればよいか?

睡眠時間は7~8時間が理想とされていますが、個人差があります。日中気だるい、あくびが絶えない、集中できないなど元気に過ごすことができなければ、睡眠が上手くとれていない可能性があります。そのためには睡眠の質を高めることも大切です。

自分の睡眠時間が合っているか確認する目安として、毎日、同じ時間に自然と気持ちよく目覚めることができるかどうかで判断できます。長時間眠っても大丈夫なときに、普段の睡眠時間より2時間以上長く眠ることができる人は、睡眠不足の可能性がありますので、体に出る倦怠感などの症状と合わせて、自分の睡眠時間を振り返ってみましょう。

睡眠の質を高めるためには納豆!

納豆は、良質なたんぱく質を含みます。また、納豆に含まれるレシチンは、脳の神経伝達物質の合成に欠かせません。そのため、記録力を高める働きのあるレシチンを夜に食べることで、効果が得やすいといわれています。

納豆には、精神を安定させ、催眠や鎮痛の作用があるセロトニンの材料となるトリプトファンを含みます。セロトニンの生成を助けることから、睡眠の質を向上させる効果が期待できます。また、納豆は、納豆菌によって作られる納豆独自の酵素であるナットウキナーゼを含みます。ナットウキナーゼは納豆のネバネバに含まれており、脳の血流をよくする作用があるといわれています。

このナットウキナーゼは、常温で繁殖するため、50℃を超えると徐々に失われます。熱々のご飯に乗せると、ナットウキナーゼの効果が消えてしまいますので、納豆の栄養を効果的に摂るためには、少しご飯を冷ましてから一緒に食べるようにしましょう。

睡眠不足を引き起こすのは、ストレス、運動不足、飲酒が3大原因といわれています。眠れないからといってお酒を飲むのは逆効果です。そして、寝る直前に夜食をとるのも、胃腸や内臓が活動する必要があるため、眠りが浅くなる原因となります。夕食は、納豆を取り入れて、消化がよく、バランスのよい食事をとり、十分な睡眠をとるようにしましょう。

筆者プロフィール: 岡田明子

管理栄養士。同志社女子大学管理栄養士専攻卒業後、高齢者施設に勤務し、利用者の食事管理を行う。その後ダイエットサプリメント会社の立ち上げに関わり、自身の13kgのダイエット成功経験をいかして「食べてキレイに痩せる」ダイエットメソッドを確立。独立後は、ヘルスケア関連を中心にレシピ監修や商品開発、講演や執筆活動、テレビなどのメディア出演などを務める。2014年に一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)を設立し、栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康事業のサポートとヘルスケア分野で活躍できる人材育成を行っている。著書に『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(KADOKAWA/角川マガジンズ)など。