男性の悩みとして、よく聞かれるのが髪の毛の問題です。髪の毛は、第一印象に大きな影響を与えるものなので、仕事に集中したい男性にとって、外見の大きな悩みとなりやすいでしょう。今回は、髪のトラブルにおすすめの食材をご紹介します。
どうして薄毛になる?
人間の髪の毛は、50~100本程度は、毎日自然に脱毛しますが、これが150本以上と多くなると、異常な脱毛として考えられています。原因は、大きく分けて4つに分類されるのが一般的です。
1つめは、血流が悪くなることで成長が鈍くなり、髪の毛が抜けること、2つめは、男性ホルモンによるもの、3つめは、皮脂が多く分泌され、皮膚に炎症が起きる原因となること、4つめは、頭皮が突っぱることで、血流が悪くなることです。
原因が一つではなく、複数になることもあると考えられています。ホルモンや遺伝、食生活、ストレスなど生活習慣なども薄毛の原因となります。
髪の毛が健康に育つために必要な亜鉛
髪が成長するためには、健康な頭皮が必要になります。頭皮の汚れ、皮脂の分泌過剰などは髪の成長を妨げるため、日ごろのシャンプーの方法など正しくヘアケアを行うことが必要になります。不規則な生活、偏った食生活は栄養のバランスを崩し、薄毛の原因につながります。日ごろの生活習慣を見直し、趣味や軽い運動をするなどストレスを上手く解消する方法を知っておくことが必要です。
亜鉛は、成長を促進し、正しく細胞を作ったり、たんぱく質の合成に関わったりと、私たちの体にとって重要なミネラルです。体の成長に欠かせないだけでなく、細胞の新陳代謝が活発な皮膚も亜鉛を必要とします。亜鉛が欠乏すると、肌のかさつきや傷の治りが悪くなるだけでなく、皮膚の状態が悪くなることで脱毛の原因となります。
また、食事を食べても味を感じない、若い人に多いといわれる味覚障害も亜鉛不足が原因といわれています。
亜鉛は吸収率が低い
亜鉛は、3食の食事をバランスよく食べられていれば、不足することはあまりないといわれていますが、肉を食べないなどの植物性食品に偏った食生活や、加工食品を多く食べる食生活を送っている場合は、不足する可能性があります。
亜鉛は、腸管からの吸収率は約30%といわれ、吸収率の低いミネラルです。また、穀類や大豆、豆類に含まれるフィチン酸、ほうれん草など青菜類に含まれるシュウ酸は、亜鉛と結合し、亜鉛の吸収を妨げてしまいます。
水産練り製品、肉の加工品、レトルト食品、インスタント食品、缶詰類などの加工食品に含まれる添加物にリン酸塩、ポリリン酸などがあるのですが、これらの添加物も亜鉛の吸収を妨げるといわれています。1人暮らしの場合、食事を作ることがなかなか難しい人も多いのですが、加工食品をよく利用する人は亜鉛不足に注意が必要です。
おすすめは亜鉛が多く含まれる牡蠣
亜鉛を豊富に含む食品は、魚介類や肉類などの動物性食品です。亜鉛の1日の推奨量は、成人の男性で10mgですが、牡蠣を2個(約70g)を食べると、9.2mgの亜鉛を摂ることができますので、ほぼ1日分の亜鉛を補うことができます。
また、牛肩赤身肉90gで亜鉛5.1mg、ラム肩肉90gで亜鉛4.5mgと1日の半分程度の量を摂ることができます。そのほか、豚レバー、うなぎ蒲焼き、いいだこ、そら豆、ほたて貝、納豆、玄米なども亜鉛が含まれています。
サプリメントで亜鉛を補う方法もあるのですが、一度にたくさん摂ると、吸収率が下がるといわれていますので、少しずつ数回にわけてとるほうがおすすめです。また、食品から亜鉛を摂る場合、過剰症の可能性は低いのですが、サプリメントは多く摂りすぎる場合があり、鉄や銅の吸収が阻害されるなどの影響が考えられますので注意が必要です。
薄毛の原因が亜鉛不足であれば、バランスよく食事を取り、日ごろの生活習慣を見直すことで改善が見られることも期待できます。睡眠時間、喫煙、お酒の飲み過ぎなど髪に悪影響がでる生活習慣を改め、たんぱく質、ビタミン、ミネラルと栄養素を取り入れるためにいろいろな食材を食べる食事を選択しましょう。
筆者プロフィール: 岡田明子
管理栄養士。同志社女子大学管理栄養士専攻卒業後、高齢者施設に勤務し、利用者の食事管理を行う。その後ダイエットサプリメント会社の立ち上げに関わり、自身の13kgのダイエット成功経験をいかして「食べてキレイに痩せる」ダイエットメソッドを確立。独立後は、ヘルスケア関連を中心にレシピ監修や商品開発、講演や執筆活動、テレビなどのメディア出演などを務める。2014年に一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)を設立し、栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康事業のサポートとヘルスケア分野で活躍できる人材育成を行っている。著書に『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(KADOKAWA/角川マガジンズ)など。