午前中の仕事も終えて、ホッとひと息つく時間であるランチタイム。ご飯を食べた後に、眠気が襲ってくる人も多いのではないでしょうか。午後の早い時間である1~3時の間は、人間の体内時計に合わせて、ちょうど眠くなる時間ともいわれています。午後からの仕事に集中して取り組むためのランチの摂り方についてご紹介します。
午後2時は眠気のピーク!
人間に備わっている生体リズムによって、日中の午後2時は自然に眠くなる時間になります。また、ご飯を食べた後は、覚醒と深くかかわりのあるオレキシンとよばれるホルモンの分泌が抑えられています。
・覚醒をもたらす「オレキシン」
オレキシンは、覚醒と食事を摂ることの制御にかかわるホルモンです。ご飯を食べると血糖値が上がります。血糖値が上がると、オレキシンをつくる神経細胞は働かなくなり、オレキシンがあまり作られなくなっていきます。オレキシンの量が減るため、覚醒がしにくくなり、眠気を増してしまうのです。
また、満腹になると、お腹が満足しているため、食を獲得しようと積極的に行動する必要がなくなります。空腹であれば、覚醒が高くなりますが、お腹いっぱいになると、覚醒が低くなっていくのです。
眠気防止のポイントは「血糖値上昇を防ぐ」
ご飯を食べると、血液中にブドウ糖が増えます。そのため、血糖値も上昇します。血糖値が上昇すると、血糖値を元の状態に戻そうとして、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンは、血液中のブドウ糖を筋肉や脂肪に取り込んで、正常な血糖値に戻す働きがあります。
血糖値が急上昇する食べ方をすると、インスリンも大量に分泌され、血糖値が急降下することで一時的に血中のブドウ糖が不足する状態に陥ることもあります。ブドウ糖が不足すると、脳に十分に栄養がいきわたらず頭がボーっとしてしまう原因のひとつと考えられています。
・食後に眠くならないランチは、糖質量を抑えること
血糖値の上昇にかかわるブドウ糖のもとになる糖質の摂取量をおさえることで、食後の眠気予防が期待できます。ご飯、麺類、パンなどの主食となるものは糖質を多く含むため、お腹いっぱい食べると眠気に襲われやすくなる原因となります。
野菜、きのこ、海藻など食物繊維たっぷりのサラダをまず食べる!
ランチで食事を摂るときは、野菜、きのこ、海藻など食物繊維を豊富に含む食材の入ったサラダをしっかり食べましょう。食物繊維は、小腸から大腸まで届きます。そのため、ブドウ糖の吸収を抑えて、血糖値を緩やかに上昇する効果があります。
また、食物繊維を多く含む食材から食べ始めることで、よく噛むことにもつながります。よく噛むことで、時間をかけてゆっくり食べることができ血糖値の急上昇予防になるほか、脳の満腹中枢を刺激して、満足感を感じやすくなり、食べ過ぎ予防にもなります。
・野菜の次はたんぱく質、最後にご飯を食べる
魚、肉、卵、大豆製品などのたんぱく質は野菜の次に食べましょう。最後に食べるご飯やパンも、白米より雑穀米や玄米、全粒粉のパンなどを選ぶことで、血糖値の上昇を抑えることができます。食後のデザートは糖質が多いため血糖値を急上昇しやすく、眠気予防のためにはあまりオススメできません。
・コーヒー1杯と20分の昼寝がオススメ
時間がとれるのであれば、20分程度の短い昼寝もオススメです。カフェインを含むコーヒーを1杯昼寝の前に飲むと、30分後に覚醒作用が働き、昼寝から目覚めやすくなります。長く眠ると深い睡眠となって目覚めた後、寝ぼけた状態になりやすく、仕事に取りかかりにくくなり、もともと必要な夜の睡眠が浅くなってしまいますので注意しましょう。
昼食後の眠気は、ランチの選び方や食べ方でコントロールすることができます。ランチ後に眠くなってしまう方は血糖値を急上昇させないために、食物繊維の多くとれる野菜料理を始めにしっかり食べるように意識していきましょう。
筆者プロフィール: 岡田明子
管理栄養士。同志社女子大学管理栄養士専攻卒業後、高齢者施設に勤務し、利用者の食事管理を行う。その後ダイエットサプリメント会社の立ち上げに関わり、自身の13kgのダイエット成功経験をいかして「食べてキレイに痩せる」ダイエットメソッドを確立。独立後は、ヘルスケア関連を中心にレシピ監修や商品開発、講演や執筆活動、テレビなどのメディア出演などを務める。2014年に一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)を設立し、栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康事業のサポートとヘルスケア分野で活躍できる人材育成を行っている。著書に『朝だから効くダイエットジュース』(池田書店)など。