異国エジプトで働いていた「おろぐちともこ」が、仕事を含む現地生活をマンガとコラムでご紹介。ピラミッドだけじゃない「エジプト」をお楽しみください。(毎週火曜更新予定)
【そのまんまエアコン】
非常に乾燥した砂漠気候のエジプト。地中海側は別として、カイロなどでは年に数回しか雨が降りません。だから毎日晴れ・晴れ・晴れ。日差しもギンギンに強く、カラッカラです。
外に出るときはいつも刺すような日差しを避けるべく、建物の陰に隠れて歩きます。エジプトは湿度が低い分、日陰に入ると案外涼しいのです。
その日も日陰から日陰へ渡るように歩いていたのですが、いきなり冷たい水のしずくが首筋にポトリ。予想外の事態に「ヒャアアア」と情けない声が上がります。
え!? まさか雨!!? こんな晴れてるのにそんなバカな!! と上を見上げたら、どうやら犯人はエアコンの室外機。中途半端な長さのホースから、排水が滴り落ちていました。
「なるほどこれが原因か」と納得したものの、よく考えるとおかしい。室外機のホースって普通、排水口とかダクトにつながってるものじゃないの……? さては暑さのあまり、まだ取り付け仕事が終わっていなけど稼働させてるのか。仕事が長引くエジプトだから、ありえなくは…ない……?
と思ったものの、よーく見ると、他の建物の外壁についている室外機からも水がしたたっています。エアコンによってはきちんと排水がしたたり落ちないようになっているのもありますが、結構な確率でそのまんま。もしかして、これがエジプト式?
確かに、ここまで日差しが強くて乾燥していると、真夏の暑い日なんかは、洗濯物も30分以内でカラッカラに乾いてしまうほど。室外機から水が落ちても簡単に蒸発してしまうのでしょう。わざわざ排水溝に流さなくたって、良いっちゃ良いか……うーん。
そう考えると、この仕組みのデメリットは上を気にしながら歩かなきゃいけないことだけ。手間もコストもカットできるし、暑くて乾燥した気候をうまく使ったアイディア(?)といえるかもしれません。
おろぐちともこ
大学時代古代エジプトを勉強していたためエジプトの地を踏むこと6回。7回目に踏み入れた2011年より数年間エジプトで働く。
現在はエジプト人による日本語雑誌を中心に、漫画を描いたりアシスタントをしたりと、国境を越えて活動中。至上の喜びは、素敵なカフェで水タバコの煙をゆらしながら、ぼけっとお茶をすること。生活記Blogつぶえじでは、現地の生活の様子を不定期に発信している。