異国エジプトで働いていた「おろぐちともこ」が、仕事を含む現地生活をマンガとコラムでご紹介。ピラミッドだけじゃない「エジプト」をお楽しみください。(毎週火曜更新予定)
【仕事の範囲は……?】
カイロでルームシェアをしていた時のお話です。
ルームメイトに仕事を探しているメキシコ人のセニョリータがいました。彼女はエジプト在住外国人向けの求人をネットで閲覧したり、履歴書を送ったり面接に行ったりしたものの、手応えは得られず……。「仕事が決まらないのー」とぼやくのをよく聞いていました。
そんなある日、明るい顔で帰ってきたセニョリータ。「仕事が決まるかも!!」と、うれしそうに報告してくれました。話を聞くと、裕福なエジプト人の家の子供たちにスペイン語を教える家庭教師の仕事が決まりそう、とのこと。スペイン語を教える資格も持っている彼女はとても喜んでいました。
そして数日後…なぜか彼女がどよ~んとした顔をしています。仕事も決まったし、元気ないのはなぜだろうと思い、「どうしたの?」と聞いてみました。すると彼女はさらにどよよよ~んとした顔で、「せっかく決まりかけた仕事だけど、やめるわ」との衝撃の言葉。ええええ何で!?
よくよく聞いてみると、家庭教師先の両親はお母さんもバリバリに働くキャリアウーマンだそう。「子供たちにスペイン語を教えつつ、ご飯を作って、寝かしつけて、その上掃除もしてほしいといわれたのよ! 泊まり込みよ!?」と憤慨する彼女。うーん…なるほど。「だから断ったの」という理由も納得です。
確かに聞いた限りだと、家庭教師の仕事の範囲を超えています。家庭教師兼シッター兼家政婦? あ、これってトリプルワークになるのかな??? いずれにせよハードであることは間違いありません。
そんなわけでセニョリータのエジプトでの職探しはまだまだ続くのでした。
おろぐちともこ
大学時代古代エジプトを勉強していたためエジプトの地を踏むこと6回。7回目に踏み入れた2011年より数年間エジプトで働く。
現在はエジプト人による日本語雑誌を中心に、漫画を描いたりアシスタントをしたりと、国境を越えて活動中。至上の喜びは、素敵なカフェで水タバコの煙をゆらしながら、ぼけっとお茶をすること。生活記Blogつぶえじでは、現地の生活の様子を不定期に発信している。