異国エジプトで、ダブルワークならぬトリプルワークをこなす"おろぐちともこ"が、仕事や現地生活をマンガとコラムでご紹介。ピラミッドだけじゃないエジプトをお楽しみください。(毎週火曜更新予定)

【職人技】

落ち着いた雰囲気の中で水たばこが吸えるお気に入りのカフェ。水たばこはフルーツや花などいろいろな種類の香りが楽しめることも特徴です。この日はリンゴの香りをオーダーしました。

好きな香りをオーダーすると、水の入ったガラス瓶とパイプがセットになった水たばこの道具が運ばれてきます。水たばこは、上部に炭を乗せる場所があり、炭で葉をいぶし、出た煙を一度水に通してから吸うのです。

普通の紙タバコと異なり、炭でじんわりといぶしていく水たばこ。係のお兄さんが慣れた手つきでトングを扱い、真っ赤に燃える炭をのせてくれます。炭が冷えてしまったときに、取り替えてくれるのもこの人です。

しばらく水たばこを楽しんでいたのですが、ついうっかり足で水たばこを蹴ってしまい、炭がコロコロと落下。炭がないと水たばこは吸えません。とはいえ、今の今まで赤く燃えていた炭。熱くて自力では戻せそうもない…。「まいったなー」と、水たばこ係のお兄さんを呼んだら、早速来てくれました。

オーダーではないので、ちょっと申し訳ない気持ちで「炭を落としちゃって…」というと、「オッケー」と返してくれたお兄さん。いつものトングで拾って乗せてくれるかと思いきや、何と、ヒョイヒョイっと指でつかみ、元の場所に。

「あれ、もしかしてそんなに熱くない?」と思い、炭の上に手をかざしてみたら普通に熱い! 素手でつかんでいましたが、私がやったら絶対にやけどすると思います。天ぷら屋さんが油の中に手を入れている、みたいな感じかも…。まさにプロの技を見た瞬間でした。

水たばこ。炭が落ちないようにアルミホイルでカバーすることもあります


おろぐちともこ
大学で古代エジプト史を専攻し、2011年よりカイロ在住。日々、エジプト人観察に励む。
現在はWebやエジプト人による日本語雑誌の漫画を執筆したり、デジタルアシスタントをしたりと、国境を越えて活動中。至上の喜びは、素敵なカフェで水タバコの煙をゆらしながらぼけっとお茶をすること。生活記Blogつぶえじでは、現地の生活の様子を不定期に発信している。