異国エジプトで、ダブルワークならぬトリプルワークをこなす"おろぐちともこ"が、仕事や現地生活をマンガとコラムでご紹介。ピラミッドだけじゃないエジプトをお楽しみください。(毎週火曜更新予定)

【炭係のお兄さん】
私がいつも行くお気に入りのカフェ。ここではお茶やちょっとした甘味、そして水タバコを提供しています。炭で草を燻し、その煙を水に通す水タバコはエジプトで大変人気があり、街中でたばこを楽しむ人々を見ることができます。

ゆっくり水タバコを吸うのが好きな私にとって、このカフェでの時間は至福のひと時…。水タバコにはいろいろな香りがあるので、その日の気分に合わせて楽しんでいます。今回はこのカフェに通い始めた時のお話。

まったりと水タバコを楽しみつつ、お茶のおかわりがほしくなったので注文をしようとあたりを見渡しましたが、オーダーを取ってくれるお兄さんの姿が近くに見えません。そこへいつも水タバコの炭を交換してくれるお兄さんの姿が見えたので「お茶をお願いしまーす」と元気良く言ったものの、素通りされてしまいました。

「え、無視された…?!」と微妙にショック。まだこのカフェに通い始めたばかりだから認められていないのかも、と思ったものの、よく考えると、彼がオーダーを取る姿は見たことないのです。

よくよくお兄さんを観察すると、やっぱり水タバコ関連のお仕事しかしていません。どうやら、お兄さんの仕事は水タバコを運んだり、お客さんたちのテーブルを周って炭を換えたりすること。水タバコに関してはなんでもやってくれますが、飲み物のオーダーを取ったり、お茶やコーヒーを運ぶのは彼の仕事では無いようです。

私のお茶オーダーも、彼は水タバコを運んだりするのが主な仕事なので、自分に掛けられた言葉ではなかったのだろうと思って素通りしてしまったのかもしれません。お店によってはドリンクのオーダーから水タバコの炭交換まで同じスタッフがすべてをこなすというところもありますが、ここは完全分業制。「水タバコ係」が一つの専門職としてなりたっているのだなあ…と感心したのでした。

ピラミッド近郊のホテルのカフェで水タバコを一服


おろぐちともこ
大学で古代エジプト史を専攻し、2011年よりカイロ在住。日々、エジプト人観察に励む。
現在はWebやエジプト人による日本語雑誌の漫画を執筆したり、デジタルアシスタントをしたりと、国境を越えて活動中。至上の喜びは、素敵なカフェで水タバコの煙をゆらしながらぼけっとお茶をすること。生活記Blogつぶえじでは、現地の生活の様子を不定期に発信している。