異国エジプトで、ダブルワークならぬトリプルワークをこなす「おろぐちともこ」が、仕事や現地生活をマンガとコラムでご紹介。ピラミッドだけじゃない「エジプト」をお楽しみください。(毎週火曜更新予定)

【座ったはいいものの…】

仕事でヘトヘトに疲れてしまったある日の帰り道。「座れたらいいなあ~」と思ってメトロの車両に乗り込みました。

サングラス越しに、疲れてボーっとした私の目に入ったのは、5人がけの座席に座っている4人の人影。「ちょっと太っているおばちゃんが4人…頑張ればもう1人座れそう…」と、ぼんやりとした頭に「座る」という選択肢が浮かんできます。

日本ではそんな場所に無理矢理座ることはしないのですが、ここはエジプト。狭いスペースに、たくましいおばちゃんが「ちょっとつめて!」とおしりをグイグイ挟んでくるのは日常茶飯事です。

狭そうだけど疲れてるし、「郷に入れば郷に従え」精神だ! ということで「ちょっとごめんなさいね」といいながら椅子に座ってみました。座っているおばちゃんたちも、詰めてスペースを作ってくれます。皆やさしい!

そんなこんなで、隙間にがんばっておしりを入れてみたはいいものの、やっぱり狭い。それもそのはず。サングラスを外してしっかりと両脇を見ると、座っているおばちゃん4人は、「ちょっと太い」おばちゃんではなく、「特大サイズ」のおばちゃんたちだったのです。そんなわけで、おばちゃん達が頑張って作ってくれた隙間は通常よりめっちゃ狭い…。私だって太ってるから、余計にきつい…!「ちゃんと確認してたら絶対無理やり座らなかったのに!」とボーっとしていた自分を恨みました。

絶妙なバランスでつま先に力を入れて空気椅子をしているようなポーズは、疲れきった体にはキツすぎました。ふくらはぎはプルプル震えるし、何の筋トレなんだこれは…。

おばちゃんたちの体格もいいし、私も痩せているわけではないのでこんなにキツキツなんだ…。仕事で疲れた体にムチを打つような座り方をしながら、「もっと痩せよう」と心に誓ったのでした。

お茶を注文したらなぜかお砂糖が4本もついてきました。これは太っても仕方がない…?


おろぐちともこ
大学で古代エジプト史を専攻し、2011年よりカイロ在住。日々、エジプト人観察に励む。
現在はWebやエジプト人による日本語雑誌の漫画を執筆したり、デジタルアシスタントをしたりと、国境を越えて活動中。至上の喜びは、素敵なカフェで水タバコの煙をゆらしながらぼけっとお茶をすること。生活記Blogつぶえじでは、現地の生活の様子を不定期に発信している。