さて、ここまでの連載で「指示の受け方」「報告の仕方」「7W2H1G」など、仕事ができるようになるフレームワークについてお話をしてきました。

これまでお伝えしてきた「フレームワーク」を使えば、新人だったとしても、仕事ができる人になれます。ですが、仕事をしていると「うわっ、困った! 」「しまった! 想定してなかった……! 」「いつも通りの方法だと、、間に合わない……」なんて緊急事態に遭遇することもありますよね。

せっかくフレームワークを使って、「あの人できるね! 」といわれるようになってきたのに、緊急事態では対応できなくて右往左往……なんて、もったいないですよね。実は、できる人は「緊急事態」でも、一躍ヒーローになれる「すごい対処法」を使って、乗り切っているのです。「すごい対処法」とは、いったいどんなものなのでしょうか?

■仕事での緊急事態……

仕事に「まさか! 」の出来事はつきもの。あなたも、これからの仕事人生で、こんな緊急事態を迎えてしまうかもしれません。

「パンフレットを発注する仕事、いつもお願いしている印刷業者が、臨時休業で納期に間に合わない! 」

「展示会のために印刷したチラシ、商品の値段が間違っていた…。明日使うのに…どうしよう! 」

「すごい大事な商談に同行したのに、上司に頼まれていた資料と全く違うものを持ってきてしまった! ! どうしよう……」

考えただけで「こんなはずじゃなかったのに……」と気持ちが落ち込んでしまいそうなトラブル。それによって、思っていたよりも仕事が進まなかったり、遅れてしまったり。自分のせいではなくても評価が落ちてしまうこともあるかもしれません。「TEAR:指示受けの仕方」を使って、しっかり指示の期待水準を確認していても、予期せぬ出来事で、思い通りに仕事ができなくなることは「よくあること」です。

「しまった! 予想してなかった……! 」「いつも通りの方法だと、、間に合わない……」という、仕事における「緊急時」って、多くの人が「うわ! やばい! 」「どうしよう! 」と思って、そこでフリーズ(思考停止)してしまいがちです。冷静に考えたら対処できることも、予想外の出来事に対応しきれず、後から自分を責めてしまうなんてことも。なので、まずは「一息」。そして、このヒーローが変身するときさながらの決め台詞を思い出してほしいのです。

■それは「思慮の砲台金次第! ならぬなら、止めるべし! 」

仕事における緊急事、一躍ヒーローになれるセリフは「思慮の砲台金次第! ならぬなら、止めるべし! 」

ん……? なんだそれは? と思うかもしれませんが、この台詞には、緊急事態に対処する「7つの視点」がまとめられているのです。

し:「質」質を変えられないか?

りょ:「量」量を変えられないか?

の:「納期」納期を変えられないか?

ほう:「方法」方法を変えられないか?

だい:「代替」代替案はないか?

かね:「金」お金で解決できないか?

しだい、ならぬなら

やめるべし! 今までの1~6が全部難しいなら、「諦める・やめる」ことはできないか?

■ この台詞を使ってみると…?

こんなケースで考えてみましょう。新商品を宣伝するために参加する「展示会」あなたはこの展示会で新商品を宣伝するためのチラシの発注を任されました。初めて任された仕事に、張り切りつつも、なんとか印刷の発注を終えたあなた。展示会の前日に納品されたチラシを確認すると…なんと、新商品の値段が間違っていました…! ! (ピンチ! )

「展示会のために印刷したチラシ、商品の値段が間違っていた…。明日使うのに…どうしよう! 」(フリーズ)

というようなトラブル、この台詞を使って解決してみましょう! 例えばこのように考えていくのです。

1、「質」

日付修正テープでやマジックで日付を修正できないか?

2、「量」

配る対象者を限定して、チラシの数を減らすことはできないか?

3、「納期」

イベントでチラシを使う時間を午後にしてもらうことはできないか?

4、「方法」

チラシで配ろうとしていたけど、SNS・WEB媒体を使うことはできないだろうか?

5、「代替」

以前作った資料で、今回も使えるようなものはないか?

6、「金」

特急印刷業者を探して、明日までに印刷できないか?

7、「やめるべし」

1~6がだめなら、この提案をなくす? (いや、今回は1~6、でいけそうだ! )

色々と考えた結果、「3、納期」チラシを配布する時間を午後にして「4、代替」午前中は以前作ったポスターを掲示し、「1、質」午前中にチラシを修正することで、なんとかイベントを乗り切ることができそう…!

このように、「思慮の砲台金次第! ならぬなら、止めるべし! 」と順を追って考えていくことで、ただやみくもに「どうしよう、どうしよう……」と慌てるのではなく、「何を考えるべきか」を明確にして対処することができるのです。

他の人が「しまったどうしよう! 」と右往左往しているときに、冷静に次から次へと解決のアイデアを出しながら、仕事を進める人はやっぱり「あの人、できるなあ~」と賞賛の目で見てもらえそうですよね…!(もちろん、告知形態が変わることは、事前に上司や同僚に相談し、承認をもらいましょう)

「思慮の砲台金次第! ならぬなら、止めるべし! 」

このような仕事中の緊急事態を身をもって経験した方も、これからの方も、今まさに「ピンチ! 」という方も「思慮の砲台金次第! ならぬなら、止めるべし! 」の決め台詞を唱えて、1つずつ考えてみてください。このフレームワークで解決方法を探せば、思った以上に新しいアイデアが湧いてくるはず。

そして、緊急事態を冷静に乗り切るあなたを見て、周りの人も「何か困ったことがあっても、しっかりと考えて乗り越えることができる人」として評価してくれるはず。それはきっと長い目で見たときに「あの人なら安心して仕事を任せられる」という信頼につながるでしょう。ピンチの時こそ「決め台詞」を唱え、冷静になって、対処してみてくださいね!

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。