LINEは、ライブ配信サービス「LINE LIVE」と「LINE LIVE-VIEWING」を3月31日にサービス提供を終了します。LINE LIVEとは、芸能人や一般人がライブ配信できるサービスで、2015年12月に開始しました。「LINE LIVEコイン」と呼ばれる「投げ銭」によって、配信者を応援する仕組みを取り入れています。一方のLINE LIVE-VIEWINGは2020年5月に始まったサービスで、有料のオンラインライブを開催できます。
LINE LIVEとLINE LIVE-VIEWINGの終了後は、LINEアプリ内で提供している縦型ショート動画機能「LINE VOOM」にライブ配信・視聴機能を持たせ、経営資源を集中するとしています。
LINEは月間ユーザー数が9,300万人(2022年3月末時点)といったように、多くの人が利用しているサービス。ですが、「LINE VOOM」はよく知らないというユーザーもいるのではないでしょうか。そこで、LINE VOOMについて解説しましょう。
縦型ショート動画サービスが大流行
縦型ショート動画といえば、2017年にサービスを開始した「TikTok」をまず思い浮かべることでしょう。TikTokは若い女性を中心に人気が高まり、リップシンク動画(口パク動画)やダンス動画で話題になりました。その後、年齢層が広がり、現在ではハウツーもの、Vlog、DIYなど、さまざまなジャンルの動画が投稿されています。
TikTokの魅力は、好みの動画を次々にレコメンドしてくれる「おすすめ」機能です。自分から面白そうな動画を探すのではなく、まるでテレビのながら見のように、TikTokがおすすめする動画を見ているだけで楽しめます。好みの動画は、TikTokのAIが動画の視聴履歴やいいねの傾向を分析して選びます。似たような動画だけでは飽きてしまいますが、TikTokは少し違った傾向の動画も出すため、サジ加減の良さで瞬く間に普及しました。
TikTokの人気を見てか、ほかのサービスも縦型ショート動画に乗り出します。InstagramとFacebookは「リール」を、YouTubeは「YouTube ショート」をリリースしました。そして、LINEは「LINE VOOM」を開始したわけです。
LINE VOOMはLINEで見られる縦型ショート動画
LINE VOOMは、LINEアプリの画面下メニュー「VOOM」から閲覧します。これまでは「友だち」としてつながっている人の投稿が表示される「タイムライン」でしたが、2021年11月にLINE VOOMとして生まれ変わりました。
LINE VOOMには、LINEがおすすめする投稿を表示する「おすすめ」タブと、友だちや自分がフォローしているアカウントの投稿を表示する「フォロー中」タブがあります。TikTokのように眺めるだけで楽しめる動画は「おすすめ」で視聴します。
「おすすめ」の投稿は、芸能人や企業の公式アカウント、クリエイターによるものです。「フォロー中」では、フォローしたクリエイターの投稿、友だちの投稿、24時間で消える「ストーリー」が表示されます。「フォロー中」の動画はタップすると全画面表示になります。
「おすすめ」を見て気に入ったアカウントがあったら、画面下にあるアカウント名をタップするとプロフィール画面が出て、「フォロー」できます。「いいね」やコメントは画面右のメニューからです。
自分もLINE VOOMに投稿したい場合は、プロフィール画面の下部にある「LINE VOOM投稿」からか、「フォロー中」画面の右下にある「+」ボタンから投稿を作成します。テキストだけでも投稿できますし、画像や動画を選ぶと編集メニューが表示され、加工してから投稿できます。動画にBGMを設定したり、トリミングしたりも可能です。
公開範囲は、「全体公開」にするとすべてのユーザーに見られます。プライバシーが心配な場合は「公開リスト」で公開範囲を限定しておくとよいでしょう。
LINE VOOMはクリエイターとして収益を上げられます。「マルチアカウント」機能を使って、普段利用しているアカウントと別にアカウントを作り、LINEが設定する収益化の条件をクリアすれば、投稿に広告を設置して収入を得られます。
LINEは2022年6月に「LINEクリエイターアカウント」を開始しました。これはLINE公式アカウントの新カテゴリーで、広告やグッズ販売、投げ銭などで収益化するものです。現在は著名人アカウントに先行提供しており、一般のクリエイターの「LINEクリエイターアカウント」開設は2023年の春ごろを予定しています。
LINE VOOMにLINE LIVEの機能が集約されれば、LINEクリエイターたちによる動画の投稿や、ライブ配信するアプリがLINEに統一されます。配信者がよりファンを獲得しやすくなるかもしれませんし、視聴者としても使いやすくなります。
LINE LIVEのサービス終了まで、まだ約2カ月あります。LINE VOOMがどのように変わっていくのか楽しみです。また、今までLINE VOOMを見たことがない人は、これを機に一度のぞいてみてはいかがでしょうか。