InstagramやTikTokなどのSNSには、エフェクトをかけた自撮りや「映え」を意識した写真がたくさん投稿されています。この状況に「ノー」を突き付けたアプリ「Poparazzi(ポパラッチ)」、アメリカのZ世代を中心に人気となっています。

Poparazziが「アンチセルフィ―」を宣言してリリースされたのは、2021年5月のこと。そのユニークさが注目を集め、一年後の2022年6月にはダウンロード数が500万回を超えています。公式ブログによると、アメリカを中心としたアクティブユーザーの95%が21歳未満、75%以上が14歳~18歳といったように、10代を中心に利用されています。若者の心をつかんだPoparazziとは、どんなアプリなのでしょう。

  • Z世代に人気の写真共有アプリ「Poparazzi」

Poparazziは、友だちを撮った写真を投稿する「他撮り」SNSです。セレブを追いかけ回して写真を撮る「パパラッチ」をもじった名称です。

友だちを撮影し、相手のアカウントをポップ(タグ付け)すると、相手のプロフィールページに掲載されます。自分のプロフィールページには友だちがタグ付けしてくれた投稿しか掲載されません。自分で自分のページに投稿できないのです。人物以外の投稿もできますが、それも誰かをタグ付けしなければなりません。

  • 自分のプロフィールページには友だちがタグ付けしてくれた投稿が並びます

もし友だちが気に入らない写真をポップしてきたら、削除できます。迷惑なユーザーもブロックできます。アカウントの非公開や、文章でコメントできないなど、Z世代でも安心して使えるように配慮されています。

  • 投稿を開くとポップしたアカウントが表示され、絵文字で反応できます

友だちを紹介したい若者たち

若者はそんなに自分の友だちを投稿したいのでしょうか。実は、Poparazzi以外のSNSでも、若者は自分の友だちを紹介して楽しんでいます。

Instagramのストーリーズでは、友だちを撮影して相手のアカウントをタグ付けする人たちが多くいます。「こいつほんと笑う」などのコメント入りで相手を撮影し、ストーリーズに投稿します。友だちを自慢したい気持ちと、今一緒にいることを周囲に伝えたいのではないでしょうか。

TikTokでは、「#友達紹介」というハッシュタグで自分の友だちを紹介するユーザーもいます。例えば、ダンスサークルの仲良し5人組で撮影して、「めちゃ大食いだけどスタイル良き」「黙っていればモテるのに」といったように一人ずつ紹介し、アカウント名を載せます。コメント欄には「こんなにかわいい人たちがそろってるの奇跡!」「〇〇ちゃんかわいい」などと書き込まれます。こうした流行は日本だけでなく、海外のユーザーも「Meet the friend」などの動画を投稿し、仲間や家族を紹介しています。

  • PoparazziのWebサイト

「友だちを投稿して楽しいの?」と思うかもしれませんが、Facebookのタグ付けを思い出してください。自分が誰かをタグ付けすると、その人のタイムラインに自分の投稿が載りますね。ちょっとうれしい気持ちになりませんか?

とはいえ、Facebookでは「プライバシーがばれるのでタグ付けされたくない」「人脈自慢みたいで不快」とタグ付けの評判は今ひとつ。ビジネスのために利用する人が多い大人と、友人と楽しむために使う若者では事情が異なりますね。

Poparazziはリアルの友だちがいなければ、自分の写真が投稿されません。リア充のSNSにも思えますが、学校やサークルで友だちと一緒にいることが多いZ世代には特に問題はなさそうです。

友だちが撮ってくれる写真には、自撮りでは撮影できない自然な表情や自分らしい仕草が写っているはずです。ありのままを共有するPoparazzi、まずは親しい友人と始めてみてはいかがでしょうか。