女子高生といえば、LINEやInstagramなどのSNSに夢中と思いがちですが、実はYouTubeも大好きです。プリキャンティーンズラボ byGMOが2018年10月に公表した「スマホに関する調査2018」によると、「利用するスマホアプリのジャンル」として第3位に「動画アプリ(84.8%)」が入っています。
記事によると、YouTubeやTikTokといった動画サービスを利用する女子中高生が前年より増えているとのこと。TikTok人気の急上昇ぶりは大きいかもしれませんが、YouTubeを見る女子たちもたくさんいるのです。
彼女たちがYouTubeで見る動画は、ミュージックビデオやお笑いなど、大手メディアでも発信されるものももちろんありますが、女子高生たちに取材すると「メイク動画を見る」と返ってきます。そのあたりは、前回「パパのおさがりを着る人も!女の子のファッション情報源は動画が中心」に書きましたので、ぜひ読んでみてくださいね。
咀嚼音に癒やされる!?「ASMR」動画
そして、女子高生に人気と噂されているカテゴリがもうひとつあります。それは「ASMR」という動画です。「ASMR」とは「Autonomous Sensory Meridian Response」の略で、人の聴覚や視覚を刺激する、ゾクゾクしたり、心地よくなる音を収録した動画です。音フェチ動画とも言われますが、視覚にも訴えてくるため、音と目で楽しむ動画といえばいいでしょうか。女子高生だけでなく、若い世代を中心に流行ってきているジャンルです。
ASMRにはいくつか種類がありますが、配信者がひたすら食べ物を咀嚼(そしゃく)する音を収録したもの、粘り気のあるものをかき混ぜる音、耳かき、ささやき声など、みんなが心地よく感じる音というよりは、人によって好みが大きく分かれる音が多いことが特徴です。ノートにガリガリと鉛筆で書く音やタイピングの音を、仕事や勉強中に聞くとスムーズに作業が進むから、とBGMとして聞く人もいるようです。
株式会社テスティーが「それちょう」で公開している調査データによると、10代男女の約4割がASMR音声を聞いたことがあるとのこと。なぜASMR音声を聞くかとの問いには、「リラックスできるためストレス解消(17歳男性)」、「ダイエット中とかだとなんか満足した気分になるから(15歳女性)」といった回答があったそうです。
ある女子高生は、食べ物を食べる音をメインに配信しているYouTuberが好きだと言っていました。その女性は非常に食べる様子が綺麗なので咀嚼音も不快ではなく、自分も一緒に食べているような気持ちになれるのだそうです。女子に人気のチーズハットグ(韓国式ホットドッグ)は、周囲がパリパリしていて中にとろけたチーズが入っているのですが、これを食べる様子がたまらないと言っていました。
私が最初に見たASMRはひたすらフライドチキンを食べる動画で、いったい何が楽しいのかわかりませんでした。でも見たこともないフルーツを食べる外国の人や石けんをガリガリ削る動画、スライムを延ばす音声など、色々な動画を見ているうちに「これはアリなのかも」と思い始めました。先ほどの調査では、「ASMR音声を聞くタイミング」として、「暇なとき」だけではなく、「寝るとき」や「くつろいでいるとき」もありました。刺激的な動画ではなく、単調な音や動作をなんとなくぼーっと見ているとリラックスできるのかもしれません。興味のある方はぜひ、YouTubeで「ASMR」と検索してみてくださいね。
著者プロフィール
鈴木朋子
ITライター・スマホ安全アドバイザー。SNSやスマホなど、身近なITに関する記事を執筆。10代のスマホカルチャーに詳しく、女子高生とプリクラにも出かける。趣味はへんてこかわいいiPhoneケース集め。著書は「親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)など20冊を超える。