コロナ禍で在宅する時間が長くなり、自然とスマホやパソコンに向かう時間も増えました。特に若者はオンライン学習やテレワークが続き、友人との交流もSNSの比重が大きくなっています。
野村総合研究所(NRI)が2022年2月に発表した「生活者年末ネット調査」では、友人との交流から情報収集までSNSの使い方に長けているZ世代(本調査では15歳~25歳)が、実はSNS疲れを感じている実態が明らかになりました。
SNS疲れを感じているZ世代は50%と半数。特にZ世代の女性は、61%もSNS疲れを感じています。Z世代女性がSNS疲れを感じる理由として、「友だちやフォロワーの投稿を見て自分と見比べてしまう(41%)」、「自分が投稿した内容にいいねや共感コメントが得られるか不安になる(39%)」なとが上位を占めています。全体としては、「他人同士の交流など、知らなくて良い部分まで見えてしまう」が高い傾向となっています。
「疲れるぐらいならSNSをやめればいい」と考えるかもしれませんが、そう簡単ではないのが現代。いまやSNSの連絡先しか知らない仲間も多く、退会すればリアルの付き合いも途絶えてしまうかもしれません。大人でも、住所や電話番号を知らないまま、友人知人とSNSだけでつながっている人は多いのではないでしょうか。
私はアンケートにあった「自分がどのような投稿をすればわからない」という理由が増えてきているのでは、と考えています。誰もが不快感を覚えず、そして「いいね」など共感を得られる投稿はかなり難しいもの。SNSでは毎日のように炎上事件が起きていますし、以前は投稿を楽しんでいた人でも「沈黙は金なり」と控えているのだと思います。
でもたまにはグチを言いたい、誰かに苦労をわかってほしい、うれしかったことをうれしいと言いたい――。世代を超えて誰しもが思うものです。そこで「匿名SNS」を使ってみてはいかがでしょうか。立場や役割から解放された世界で交流を楽しめます。
おすすめの匿名SNS
匿名SNSは、文字通り匿名で利用できるサービスです。好きなことをつぶやけば、知らない誰かが「いいね」やコメントなどの反応をくれるだけ。その場限りのゆるい交流が基本です。以下、匿名性の高いサービスを3つご紹介します(基本的にアプリで利用します)。
■ HONNE - ホンネ
「HONNE - ホンネ」は投稿ごとにアイコンが変わる、完全匿名のSNSです。知り合いには言いにくいグチ、雑談、食事の写真などを投稿できます。ユーザーの投稿には「いいね」とコメントで反応しますが、コメントは毎回アイコンが変わるので、同じ人物だと周囲に知られることはありません。
アンケート機能があり、「醤油ラーメンと味噌ラーメンどっちが好き?」などの質問を作成できます。アンケートの作成は有料です。
リアルの立場では話しにくい話題を振って、ユーザーとコメントで意見を交わすなどの利用法に向いています。掲示板のイメージに近いかもしれません。
■ つながらないSNS ilka(イルカ)
「ilka」はコメント欄を持たない匿名SNSです。投稿は250文字まで。投稿日時も表示されません。投稿に対してユーザーが「応援」、「共感」のボタンで反応できます。「スター」は投稿を保存したいときに使います。
匿名SNSのなかでは古くからあるためか、なんとなくのんびりした雰囲気があります。常駐しているユーザーが多いのか、ちょっとしたつぶやきでも反応をもらえます。
■ 月見言 - 匿名チャット/メッセージ
「月見言(つきみごと)」は「チル系匿名SNS」と題されている通り、月のイラストを見ながらのんびりとつぶやく匿名SNSです。反応は星のみでコメント欄はありませんが、投稿の返信をメッセージでもらえます。また、グループチャットに入って雑談できるのも特徴です。とはいえ匿名なので、その場にいる人とその場限りの話で盛り上がりたいときに向いています。
投稿には「感情」を付けることができ、有料オプションで感情のフィルタリングにも対応。怒りや悲しみに満ちた投稿はオフすれば、穏やかな投稿しか表示されません。といっても、アプリの雰囲気からか、ゆるい投稿が多めなので無料でも楽しめます。
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匿名SNSといっても、それぞれ集まっているユーザーに特色があります。一度使ってみて、自分に合いそうなムードのアプリを見つけてみてください。定番のSNSとは違う楽しみがあり、SNS疲れのストレスが吹き飛ぶかもしれません。
ただし、いくら匿名とはいえ、個人や団体を誹謗中傷したり、罵詈雑言を並べたりしてはいけません。法律に基づく発信者情報開示請求によって投稿元のユーザーを特定して、損害賠償や慰謝料を請求することが可能なのです。インターネット上のサービスすべてに言えることですが、節度とマナーを守って利用してください。