「そういえばClubhouseってどうなってるの?」――そんな質問をよく受けるようになりました。2021年1月末に巻き起こった音声SNS「Clubhouse」のブームはインパクトが強かったため、今は誰にも使われていないイメージになってしまっているかもしれません。
しかし、Clubhouseは音声交流を楽しむ人たちから支持され続けており、機能も少しずつ拡充しています。
2021年9月30日、Clubhouseは日本の報道関係者向けの発表会を開催しました。Clubhouseの共同創業者ポール・デイビソン氏は「当時は小さなチームであり、慎重にClubhouseのコミュニティを成長させようとした」と述べており、あの急速なユーザーの拡大は意図していなかったことがうかがえます。
この発表会では、「Clubhouseで開かれるルーム数は2021年初夏の時点で約30万だったものが、10月には約70万に増えている」と明かされました。世界では1ユーザーにつき、平均して1日70分ほど利用されていますが、日本のユーザーは113分と滞在時間が長いとのこと。日本のユーザーは世界で見ても熱心なのですね。
日本のユーザーを大切にしたいClubhouseは、サービスのすべてを日本語化することを決めました。Clubhouseは、現在すべて英語のサービスですが、2021年末までにアプリとコミュニティガイドライン、カスタマーサービスなどがすべて日本語で利用できるようになる予定です。さらに他の言語もサポートを予定しているそうです。
新機能も続々と
Clubhouseが登場した当初はiOS版のみでしたが、2021年5月にAndroid版がリリースされました。さらに招待制を2021年7月に廃止。「誰かClubhouseに招待して」との投稿がSNSをにぎわせ、メルカリで招待枠が売られる騒ぎもありましたが、現在は誰でも利用できるようになりました。
同じ興味や関心を持つ人とグループが作れる「CLUB」機能も加わっています。Clubhouseを見るとルームの名前にCLUB名が入っているケースが多く、活発に利用されていることがわかります。テキストメッセージを送信できる「BACKCHANNEL」機能もサポートされました。イベントの打ち合わせなどに便利ですね。
また、招待した人だけが参加できる「Wave」機能をリリース。これまでも人を限定したルームを開けましたが、Waveではオンラインの友だちに手を振るイメージでルームに招待できます。
録音を含めた記録を禁じているClubhouseですが、面白かった瞬間を30秒だけ録音して、SNSなどにシェアする「Clips」機能を実装しました。Clubhouseはルームが盛り上がっていても気づきにくいのですが、Clipsでシェアされた音声のおかげで、聞き逃すことがなくなるかもしれません。音声を公開する可能性があるルームは入室時にわかるようになっており、プライバシーに配慮している点は好感が持てます。
日本でも利用できる収益化機能をサポート予定
現在、各SNSがユーザーの収益化に関する機能を続々と追加しています。Clubhouseもすでに「Clubhouse Payments」という投げ銭による収益化の仕組みを整えています。残念ながら、今のところClubhouse Paymentsは日本では利用できません。
そこでClubhouseは、日本でもクリエイターが収益を得られる仕組みを2021年末までに用意するとしています。サブスクリプション形式、チケット制ルーム、投げ銭、奨励金など、さまざまな収益化の仕組みを検討中とのこと。どんな仕組みが導入されるにしろ、チャンスが広がるのは歓迎です。
Clubhouseのデイビソン氏は、「Clubhouseを始めてから音声のパワーをより感じるようになった。音声は人間の文化としてはもっとも古い媒体。フォロワー数やいいねにとらわれず、声を通して人間らしい交流を楽しんでほしい」と語りました。2021年8月にサポートされた空間オーディオも、よりリアルな交流を実現しそうです。
デイビソン氏が言うように、Clubhouseには魅力的な文章をつづることや写真・動画をセンス良く撮るといったハードルはありません。とはいえ、Clubhouseに参加してみて、プロが提供するラジオ番組や編集済み音声コンテンツは、クオリティが高いことに気づいた人も多いはず。ライブ配信を楽しむClubhouseがどのように成長していくのか、今後も楽しみです。