子どものSNSデビューが低年齢化しています。「トラブルに巻き込まれるのではないか」と心配する家族、「うちの子を信じているから大丈夫」とおおらかに見守っている保護者など、ご家庭によってさまざまでしょう。

実際に、SNSで事件に巻き込まれた18才未満の子どもはどれくらいいるのでしょうか。警察庁が2021年3月に発表したまとめによると、その数は1,819人。過去最多を記録した2020年から12.6%減となっています。

  • 子どものスマホデビューとSNSデビューが低年齢化しており、同時にSNSをきっかけとして犯罪に巻き込まれるケースも低年齢化しています

ただ、少女を自宅に住まわせるといった略取誘拐の被害は29人増の75人、殺人未遂が2人など、重大な犯罪へとつながる出来事が増えているのも事実。被害者は高校生がもっとも多いのですが、2020年よりは減っている一方で、小学生の被害者は84人と2020年から12人増えています。

SNS別での被害者数は、Twitterが最多で642人、次いでInstagram(221人)、学生限定SNS「ひま部」(160人)、TikTok(76人)、音声SNS「KoeTomo」(63人)と続きます。警察庁は被害者数が多い5つのSNSを公表しているのですが、TikTokとKoeTomoは今回初めて入りました。特に低年齢層に人気があるTikTokが犯罪に巻き込まれるきっかけになるなんて、心配ですね。

TikTokの安心安全対策は

こうした状況はサービス事業者側も把握しており、子どもたちを守るための対策を採っています。

TikTokは2021年2月から、全ユーザーに対して13才未満を利用禁止としました。既存のユーザーに対しても、アプリ起動時に生年月日を入力させることで確認しています。

  • TikTokの年齢確認画面

2020年4月からは、16才未満のユーザーにDM(ダイレクトメッセージ)の使用を禁止しました。さらに2021年から、(1)プライバシーのデフォルトを「非公開」に、(2)自分の投稿にコメントできる人を「友達のみ」か「オフ」しか選べないように、(3)自分の動画を他人がダウンロードしたりリミックスしたりできないように――と、制限を強めました。

TikTokは、親のスマホから子どものTikTok設定を変更する「ペアレンタルコントロール」機能も提供しています。TikTokの使用時間や、子どもの動画にコメントできる人の範囲を親のスマホから制限できるため、「いつの間にか子どもが設定を変えていた」ということもなく安心です。

また、TikTokではダンス動画など、自撮りを投稿する子どももたくさんいます。容姿に対する誹謗中傷も後を絶ちません。そこで、コメントを承認制にして、許可したものだけを表示する設定が追加されました。

コメントをする側にも、コメントする前に再考を促す機能を用意しています。AIによって、誹謗中傷に使われるキーワードが入っていると警告が出るのです。誹謗中傷で傷つく、または傷つけられることを事前に防げることは、お互いにとって大切ですね。

そして啓発のために、人気クリエイターによる動画を2019年8月から計38本作成。3月時点で3,650万回以上再生されているとのこと。TikTokらしい明るさと楽しさで子どもたちに訴える内容になっています。

  • クリエイターの聖秋流さんによる自画撮り注意動画

Instagramも安全対策を強化

大人の女性が「映える」ためのSNSだったInstagramも、今や若年層が親しい友人と交流する場としても使われるようになりました。投稿、ストーリーズ、ライブ配信、メッセージなど、Instagramの機能をフルに活用して楽しんでいます。

Instagramも、13才以上でなければ利用できません。新規ユーザーに対しては生年月日を入力するように促します。一部、13才未満の子どもが生年月日を偽って登録していることもあるようですが、「写真付き身分証明書をオンラインで確認」といった仕組みは、より多くの個人情報を取得することになるため、導入を見送っています。

その解決策として、InstagramはAIや機械学習でおおよその年齢を判別し、悪意を持つ大人から子どもを守る機能を提供しています。(1)大人は自分をフォローしていない18才未満のユーザーにメッセージを送れない、(2)すでにつながっていても不審な行動をとっている大人とメッセージを交わしている場合は子どもに警告を表示する――という機能です。警告画面では制限やブロックもできます。

  • 不審な大人とメッセージを交わしている子どもに警告を表示

さらに、18才未満のユーザーがアカウントを作成するときは、非公開アカウントを推奨しています。Instagramには活躍中の若きクリエイターもいますし、未来への足がかりをInstagramで作りたい子どももいるため、強制にしてはいないとのこと。でも、知り合い同士で楽しみたい子どもがほとんどなので、基本は非公開アカウントが安心ですよね。

誹謗中傷に対しても、そのアカウントのコメントを承認制にする「制限」機能や、コメントツリーの雰囲気作りをするためにポジティブなコメントを先頭に表示させる機能などを用意しています。

Instagramは「保護者のためのヒント」と題したFAQで、「保護者のためのInstagramガイド」(PDF)をダウンロードできるようにしています。2021年3月に刷新したばかりなので、保護者が知らない機能が掲載されているかもしれません。時間があるときに、一度目を通してみてください。

  • 「保護者のためのInstagramガイド」から