元YouTuber「ワタナベマホト」が児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)容疑で逮捕されました。ワタナベマホト容疑者はチャンネル登録者数が約500万を超える人気YouTuberだったこと、元アイドルとの結婚を発表した直後に別のYouTuberから犯罪行為を暴露されたことから、若者の間でも大きなニュースとなりました。
ワタナベマホト容疑者は2020年11月、当時15歳だった少女に、30~50枚もの裸の画像を撮って送らせた疑いを持たれています。逮捕後には別の女性の裸画像もスマホから発見されました。「30枚送ると通話」「50枚送れば(自分に)会える」と少女に画像を要求していた容疑者の卑劣な行為に憤りを感じます。
自画撮り被害は児童ポルノ事犯では最多
少女はなぜ自身の裸の写真を送ってしまったのか――。いくらファン心理を利用されたとはいえ、疑問に感じる人も多いでしょう。しかし、自分の裸画像を送る「自画撮り被害」は、珍しい事件ではないのです。
全国の警察が2020年に摘発した児童ポルノ事件、被害に遭った児童は1,320人。そのうち511人は自画撮り被害でした。これは児童ポルノ事犯では最多です。中高生の被害者がほとんどで、前年よりは減少していますが、小学生に関しては前年から増加しています。
こうした事態に対して、警視庁や全国の自治体などが「裸の写真を送ってはいけない」とパンフレットやYouTubeで啓発活動を続けています。それでも自画撮り被害に遭う子どもたちが絶えません。
前述の事件では、ワタナベマホト容疑者と被害者の少女はInstagramで出会っていたとのこと。人気YouTuberとメッセージが交わせるようになり、少女はうれしかったことでしょう。しかし画像の要求はエスカレートしていく一方で、口止め目的で学生証の画像まで送らされていました。親にも相談できず、別のYouTuberに相談したようです。
このように、最初は優しく要求していた犯人が、被害者が拒み始めると「周囲にばらす」と脅すケースが多いとされています。
自分の性別や年齢を偽って近づく犯人もいます。「同じ中学生だね」「同じ女子だよ」とウソをつき、「胸の形が変じゃない? お互いに送り合おう」などと裸画像の送信を提案してくるのです。被害者は女子とも限りません。大人の口車に子どもは太刀打ちできないでしょう。小学生の場合は、「LINEスタンプをあげるから」と言われただけで裸の写真を送ってしまったケースもあります。
自画撮り被害に遭ってしまったら
自画撮り被害の多くは、表に出ていないとも言われています。裸を撮影した自分に否があると考え、隠してしまうからです。また、親に打ち明けたらスマホを取り上げられてしまうかも――と考えて黙っています。そもそも、裸の写真を送ることでどんな問題が発生するか、わかっていない子どももいるでしょう。
もし子どもが自画撮り被害に遭ってしまった場合、どうすればいいのでしょうか。まず、打ち明けてくれたのですから責めてはいけません。冷静に悩みを聞いてあげましょう。さらに、警察相談専用電話(#9110)に相談します。各自治体の青少年相談センターなども窓口を設けています。
そして、自画撮り被害に遭わないための対策として、どんな相手に対しても裸の画像を送ってはいけないと注意しておきましょう。軽い気持ちで友人に送った裸の画像が公開されてしまうケースもあります。一度ネットにアップロードされた画像は二度と消すことができません。画像は繰り返しコピーされて拡散し、不本意な形で使われてしまいます。こうした事件があった直後だからこそ、子どもたちの理解も深まります。ぜひ親子で話してみてください。