新型コロナウイルス感染症が猛威をふるっています。感染対策のために、人と人との距離を取ることなどが推奨されていますが、やはり寂しく感じるもの。そこで今、SNSで人とのつながりを再確認する人が増えています。

といっても在宅時間が増え、レジャーにも出かけられない現状では、SNSに投稿するトピックもなくなります。そこで流行しているのが、友人とテーマに沿った投稿を回していくリレーやバトンです。皆さんも一度は目にしているのではないでしょうか。

リレーやバトンが行われているSNSは、Facebook、Instagram、Twitter、TikTok、YouTubeなどで、「#○○リレー」や「#○○バトン」などのハッシュタグを入れてシェアされます。「#○○チャレンジ」や「#○○つなぎ」といった呼び方もあります。

「料理リレー」を例にしてみましょう。「#料理リレー」は料理研究家がスタートしたもので、手作り料理の写真とレシピを記述し、次に回す人をタグ付けで指名します。指名の人数は場合によりますが、指名された人はやはり自慢の一品を紹介し、次の人を指名します。家で手料理を作る機会が増えているので、友人のレシピだけでなく、ハッシュタグをたどれば多くのレシピが見られるのはうれしいですね。また、「あの人はこんな手料理を食べているんだ」とプライベートを知ることで、人とのつながりを感じます。

ほかには、7日間おすすめの本を紹介する「7日間ブックカバーチャレンジ」、happyな写真をリレーする「happy写真」、おにぎりを作る「おにぎりリレー」などがあります。10代はおもにInstagramストーリーズでリレーを回していて、変顔をつないでいく「変顔リレー」、犬などのテーマに沿って絵を描く「お絵かきリレー」などが流行っています。オトナよりちょっと笑える内容がウケている様子です。

芸能人もリレーやバトンを使った投稿を行っています。芸人による「#ギャグつなぎ」では、有名なお笑い芸人たちが一発ギャグなどを披露して人気を集めています。ミュージシャンや俳優が行っている「#うたつなぎ」では、自宅から楽器を弾き語りしながら歌う様子が投稿されています。

  • Facebookで回っている「7日間ブックカバーチャレンジ」

リレーやバトンに不快感を示す人も

リレーやバトンは楽しいのですが、あまりに数が多くなり、SNSで毎日のように見かけるようになった今は不快に感じる人も増えてきました。自分が指名されないことに焦りや孤独を感じる人もいますが、理由の多くは「これはチェーンメールと同じ」という違和感ではないでしょうか。

チェーンメールとは、人から人へ拡散されていくメール全般を指しますが、メールがあまり使われなくなった今はSNS投稿やメッセージに取って代わりました。チェーンメールはデマの拡散やネットワークへの負荷を避けるために止めるべきという観点からすると、リレーやバトンはそれほど当てはまりません。

しかし、指名されるとその輪に入らねばならない同調圧力があり、指名されてもやらなかった人、やったけれど指名しなかった人なども、人間関係にしこりを残す結果も出てきます。次の人を指名しなければならない強制力も問題です。無理にやらせることで意外な面が見られることが面白さのひとつではあるのでしょうが、心の負担を感じる人も多くいるのです。

そんな中、大人にも子供にも大流行している「罰ゲーム」があります。これは、自分の幼少期の写真をSNSにアップし、その写真にいいねした人に「罰ゲーム画像」を送り、強制的に自分の幼少期の写真を投稿させるものです。「1日限定だからと投稿したら、スクショ(スクリーンショット)を撮られた」と、嘆いている人もいました。だまし討ちともいえるこのバトンは、いいねの数だけ拡散されるため、まさにチェーンメールではないでしょうか。

  • SNSで拡散されている「罰ゲーム」画像

今はみな心が疲れています。SNSでもグチや文句を書き込む人が増えているため、リレーやバトンで遊びたい人もいるでしょう。しかし、SNSはさまざまな考え方の人が一堂に会している場所です。不快に感じる人も少なくないことを頭に入れて、つながっている人たちとポジティブに楽しめるような投稿を心がけていきましょう。