あっという間にもうすぐ2023年も終わりですね。今年はSNSにとって激動の年でした。2023年のSNSにまつわる大きなトピックをまとめてみましょう。
最大の出来事は、やはり「Twitter」が消滅して「X」となったことでしょう。2022年にアメリカの起業家イーロン・マスク氏によって買収されたTwitterは、2023年7月24日に「X」へと名称を変更しました。青い鳥のロゴも黒を背景とした「X」ロゴへと変わり、親しんだロゴが変わることに嘆きの声も上がりました。「ツイート」は「ポスト」へ、「リツイート」は「リポスト」へと機能名も変更されています。
青いチェックマークの意味も変わりました。Twitterに認証されたアカウントにだけ付与されていた青いチェックマークは、2023年4月以降は有料サブスクリプションに契約している人に付けられることに。
有料サブスクリプションは、10月27日から「ベーシック」「プレミアム」「プレミアムプラス」の3つが提供されています。これらのサブスクリプションに加入すると、ポストを編集できる、140文字以上のテキストをポストできる、広告表示が減る――といった特典があります。
8月8日からは、「プレミアム」「プレミアムプラス」加入者に対してクリエイター広告収益分配プログラムが始まっています。クリエイター広告収益分配プログラムとは、Xの広告収益を対象ユーザーに分配する仕組みのこと。金額の計算方法などは未公開ですが、すでに報酬が振り込まれているユーザーもいます。
最近のXでは、ビュー数の多いポストの返信欄に収益分配を狙うアカウントが続々とコメントする現象が起きています。「おすすめ」にも、バズ狙いのポストやプロモーションのポストが以前よりも多く表示されているように感じます。
XのCEO、リンダ・ヤッカリーノ氏は12月初旬に来日、日本にアプリ開発拠点を設ける計画であることを明らかにしました。Xにとって日本は大きなマーケットであるため、新機能や広告システムの拡充を行っていく計画なのでしょう。
MMD研究所が10月に発表した「X(旧Twitter)に関する調査」では、今後のXについて「アクティブに利用したい」と答えた人が16.1%、「アクティブではないが利用したい」が58.7%と、合わせて74.8%が今後も利用したいと回答しています。迷走が続いているXですが、2024年もXを使い続けるユーザーは多そうです。
Twitter後継アプリの本命? Threadsが登場
Twitterが買収されてからというもの、Twitterの移行先を探す人たちが増え、代替となるアプリにも注目が集まりました。特に、TwitterからXへと名称が変わるタイミングでは、「いよいよ」と感じたユーザーたちの動きが活発化したように思います。
そんな折、InstagramやFacebookを運営するメタがテキスト共有アプリ「Threads」をリリースしました。(参考:「Twitter対抗? テキスト共有アプリ「Threads(スレッズ)」とは」)
リリース予定を7月5日に前倒したこともあり、機能面では最低限からのスタートとなりましたが、公開からたった2日間で7,000万の登録者数を突破する好調ぶりでした。その後、「5日間で1億人を超えた」(CEOのマーク・ザッカーバーグ氏)と発表しています。
とはいえ、7月28日にはマーク・ザッカーバーグ氏が従業員に向けて利用者数が半分以下になったと語ったという報道も出ています。国内でもアカウントは作ったものの、使っていない人が多いのではないでしょうか。
そんなThreadsですが、機能を拡充し続けています。最初はアプリのみだった利用形態も、追ってPCブラウザに対応しました。複数アカウントの切り替えもサポートし、Instagramのようにメインアカウントとサブアカウントの使い分けができるようになっています。12月5日(日本時間)には、待望の日本語でのキーワード検索にも対応しました。
12月7日(米国時間)には、ハッシュタグのような役割を果たす「トピック」をリリース。この「トピック」は、投稿につき1つのトピックをタグ付けできる機能で、スペースや特殊文字も入力可能。トピックをタップすると、同じトピックが付いている投稿を見られます。公式画像では、スペースが入った文章をトピックにした例が示されています。
キーワード検索とトピックのリリースによって、これまで「おすすめ」とフォローしているアカウントの情報しか得られなかったThreadsに、自分が欲しい情報をダイレクトに得る機能が追加されたことになります。Xの強みとなっている情報検索の役割を、Threadsも果たせるようになったのです。また、アカウントを発見される機会も増えるため、クリエイターの発信も盛んになるかもしれません。
Xの後継アプリとしては、「BlueSky」や「Mastdon」などの名前も挙がりましたが、今のところThreadsが本命になりそうです。ただし前述した通り、Xから人々が去る様子は見られないので、2024年は共存していくと思われます。
急伸する「BeReal」でリアルを探求へ
2023年に注目された新たなアプリと言えば、「BeReal」でしょう。(参考:「人気急上昇のSNS、「BeReal」の魅力」)
2023年の若者流行ランキングを見ても、BeRealは多くのランクインしています。マイナビティーンズラボ「10代女子が選ぶトレンドランキング」の「モノ部門」で3位、渋谷トレンドリサーチ「高校生最新トレンドランキング」の「今年一番流行った物事」で1位、AMF「JCJK流行語大賞2023」の「モノ部門」で1位と、注目度の高さがうかがえます。もちろん、中学生から大学生のユーザーを中心にBeRealを楽しんでいます。
BeRealの楽しさは、リアルを共有することです。通知から2分以内に撮影する、前後カメラで撮影する、加工はできない――といった制限が、全員を平等にしています。同じ条件下でどれだけリアルな自分を出せるかといったゲーム性が、これまでのSNSとは異なる魅力です。
最近はSNS疲れを感じる人も増え、オープンなSNSからクローズドなSNSへと移る傾向があります。複数アカウントで親しい友人とだけつながるようにしたり、SNSへの投稿はやめてグループチャットを楽しんだりしている人も多いでしょう。誰もが見られる場所で会話をすることに、リスクを感じ始めた人が多いのではないでしょうか。
一方で、クリエイターとして多くのユーザーに向けて発信したい人たちもいますし、SNSのプラットフォーム側もクリエイターを支援するプログラムや機能を整えています。2024年以降、SNSの使われ方はオープンとクローズドに二極化していくかもしれません。SNSとの付き合い方は人それぞれ。自分が居心地のよい場所を見つけて楽しんでくださいね。