子どもに専用のスマホを持たせる理由のひとつが、「LINEを使うため」というご家庭は多いでしょう。子どもは友人との交流だけでなく、部活動などの連絡ツールとしても必要になります。保護者からすれば、家族のLINEグループを作ることで父母や祖父母と密に連絡が取れるなど、見守りの面でメリットがたくさんあります。

  • 今回はLINEのオープンチャット機能について、考えられるリスクと実態についてです

近年、LINEは機能を拡充し続けており、2019年8月には匿名でグループチャットを楽しめる「オープンチャット」をリリースしました。オープンチャットは、日ごろ利用しているアカウントとは別に、トークルームごとにプロフィールを設定してコミュニケーションできる機能です。オープンチャットで一時的な連絡グループを作ったり(「“ママ友LINE”のお悩み解決! 連絡には専用オープンチャットか名前変更が便利」)、趣味の仲間を探して思う存分語り合えたりできるようになりました。

LINEのオープンチャットでは、「メイントークルーム」の中に「サブトークルーム」を作れます。例えば、飼い犬について話し合うメイントークルームに、犬種ごとのサブトークルームを作り、飼い主の雑談や悩み相談をするような使い方ができます。

加えて2023年7月には、オープンチャットに「ライブトーク」機能が提供され、メンバーが50人以上に達しているトークルームでは、スピーカーとリスナーの立場で音声のリアルタイム会話ができるようになっています。みんなでワイワイと話してもいいですし、配信者としてライブ配信も可能です。

  • オープンチャットのライブトーク機能(出典:LINEヤフー)

子どもにLINEを使わせると、このオープンチャット機能も使えるようになります。普段、家族や友人としかLINEを交わしていない子どもでも、オープンチャットに入れば、普段とまったく違うプロフィールで気兼ねなく会話ができます。

しかし、オープンチャットは不特定多数の人と話せる上に、複数のオープンチャットを行き来することも。子どもにとってオープンチャットは危なくないのでしょうか。

オープンチャットにはなりすましが潜むリスクもある

あらためて言いますが、オープンチャット自体に問題があるわけではありません。家庭や健康に関する悩みなどは、知り合いには言いづらいもの。ほかのSNSでは炎上に巻き込まれるなど怖い面もありますが、LINEのオープンチャットならお互いに匿名で心の内を話せます。

子どもにとっても、親や学校の悩みを身近な人に言えないときもあるでしょう。オープンチャットでは同世代の人が共感してくれたり、慰めてくれたりします。良い気分転換になりそうです。また、ちょっとした空き時間に雑談を楽しめるのも良いところです(依存度が高くならないように自制は必要ですが……)。

オープンチャットには「小学生限定」「中学生限定」と題されたトークルームがたくさん生まれています。先日、小学生限定のトークルームに入ってみましたが、とりとめのない会話が盛んに行われていました。サブトークルームでは、ライブトークを使ってライブ配信をしている女子もいました。

ここでお気づきの方々もいるかと思いますが、私のように小学生のトークルームには大人も入れるのです。私がチャットを見ている限りでは実際に小学生がいる印象でしたが、確証は持てません。ライブ配信をしていた女子の声も本当に小学生に聞こえました。でも、聞いている人たちが小学生とは限らないでしょう。

こうした「なりすまし」が暗躍し、子どもを危険にさらすリスクがオープンチャットにはあるのです。

オープンチャットでは、「出会い」を目的とする行為やLINE IDといった個人情報の投稿は禁止です。オープンチャットの「安心・安全ガイドライン」には、出会い以外にも、未成年者保護や誹謗中傷に関する規約も掲載されています。

  • オープンチャットの「安心・安全ガイドライン」(出典:LINEヤフー)

また、オープンチャットではなく個人のアカウントでLINEをするためにLINE IDやQRコードでアカウント交換しようとすると、LINEのモニタリングによってすぐ削除されます。とはいえ、その監視をかいくぐっている人もいるようです。その手口は省きますが、抜け道を探して個人アカウントを交換しているのです。

もし子どもがあるオープンチャットに参加し、そこの人たちに個人アカウントを交換しようと言われたとしても、教えないようにと話してあげてください(きっと上記の抜け道手口も相手から教えられるはず)。個人アカウントを最初に教えてくれた人が本当に同世代だったとしても、その人がグループを作成して我が子を追加したら、個人アカウントの輪が広がっていくことは避けられません。最初は匿名で交流していたのに、いつの間にか知らない人とLINEの個人アカウントで連絡を取れるようになってしまいます。

オープンチャットとの付き合い方を話し合おう

ニフティが行った「インターネット上の友だち(以下、ネッ友)」に関するアンケート調査(2022年8月)では、「ネッ友がいる」と答えた小学生は53%、中学生は66%でした。知り合ったきっかけは、「ゲーム」が48%で1位、次いで2位が「LINE」(23%)です。オンラインゲームでの出会いも看過できませんが、前述のようにオープンチャットをきっかけとしてLINEで出会うケースもあるのでしょう。

  • 「【ネッ友がいる人へ】ネッ友と知り合ったきっかけを教えて」(出典:ニフティ)

オープンチャットをオフにする機能が用意されていればいいのですが、LINEには装備されていません。オープンチャットで知り合うことがなぜ怖いのか、しっかりとお子さんと話し合うことが大切です。もしすでにオープンチャットに参加していたら、どんなオープンチャットなのかを確認し、場合によっては退会についても話し合いましょう。

もしどうしてもオープンチャットを楽しみたいとお子さんが言う場合には、「個人アカウントを交換しない」「顔写真も含め、個人情報を漏らさない」「リアルで会いに行かない」「オープンチャットは1時間だけにする」などの約束をしておきます。

あまりがんじがらめにするのも子どもがかわいそうな気もしますが、年齢に応じて少しずつ緩めるといった対応もあります。まずは大人もオープンチャットに入ってみて、機能やリスクを体感してみるとよいでしょう。