いきなりですが、「おじさんLINEごっこ」をご存じですか? 2017年ごろから流行りだした、おじさんにありがちなLINEの文章を作ってやりとりする若い女性たちの遊びです。うまく「おじさんあるある」を再現できたら、Twitterでスクショ(スクリーンショット)を拡散するため、一大ブームとなりました。
「○○チャン、こんばんは!寒いけど風邪引いてないかな。おじさんが温めてあげたいよ。ナンチャッテ!!」
「おじさんLINEごっこ」ではこんな文章が絵文字を多用して行われます。「こんな文章、送らない!」と考える人はたくさんいるでしょう。確かにベタすぎます。しかし、若い女子たちにはおじさんたちの文化が不思議なものに見えているのでしょう。
では、「今日タピってからのピンモンをストーリーズに上げた」の意味はわかりますでしょうか。これは「今日はタピオカミルクティーを飲みに行って、それからPINKPINKMONSTERというプリクラ機で写真を撮った。そして、Instagramのストーリーズに投稿した」ということです。
まず、タピオカミルクティーが流行していることをご存じないおじさん世代もいるでしょう。もし街でドリンクショップの前に行列を見かけたら、それはタピオカミルクティーの店かもしれませんよ。
おじさんは若い世代にはない知見と経験を持っていますよね。でも、流行に強いのは、どうしたって女子。特に10代の女子たちは、彼女たちだけの世界で楽しみ、あっという間に次の興味へと移っていきます。
筆者も二人の娘を持つ母親です。娘たちを見ていると、大人からは考えられない発想で物事をとらえ、楽しんでいます。彼女たちは幼いころからインターネットに触れ、仕組みもよくわからないままスマホを使いこなしています。この連載では、そんな10代の流行やカルチャー、スマホでやっていることなどをご紹介していきたいと思います。大人の世界でも役立つヒントが見つかるかもしれません。
女子SNSの基礎知識
ではさっそく、彼女たちが使っているSNSについてお話しましょう。女子たちがよく使うアプリは何だと思いますか? LINE? 正解です。でも、2位は意外なのでは。
2017年12月に「プリキャンティーンズラボ byGMO」が10代女子に聞いた「よく使うスマホサービスに関する調査」によると、「よく使うコミュニケーションサービス」の1位は「LINE(99.2%)」、続いて「Twitter(57.6%)」、「Instagram(43.4%)」となりました。そう、2位はTwitterなのです。
大人世代は、Twitterの人気が高まっていた2009年ごろを覚えているのではないでしょうか。アカウントを取ったまま、使っていない人も多いでしょう。しかし、いまやTwitterは女子高生だけでなく、若い世代に活発に使われているツールになっています。インスタ映えで有名な「Instagram」に押されて、以前ほどの勢いはありませんが、一人で3つほどの複数アカウントを持つことは珍しくないほど使われています。
ちなみに、「Facebookおじさん」などと、おじさんと結びつけられがちなFacebookは5.2%。とても少ないですね。私の取材でも、Facebookを使っている10代女子には会ったことがありません。
では、SNSの使い分けはどうなっているのでしょうか。彼女たちは、LINEを家族や友人との連絡ツールに使っています。小中学生はLINEのタイムラインも利用し、つながっている人たち向けの投稿も行っています。ほかのSNSアカウントを持っていないから……という理由が大きいですね。
Twitterは、広くゆるく友人たちとつながるツールです。ここが大人とは異なるポイントで、彼女たちのアカウントは同じ学校の友人、先輩、後輩、小学校時代の友人などで固められています。
友人の友人や、好きな芸能人の公式アカウントも入っていますが、基本的には知り合いに向けて発信し合っています。本当に親しい友人とは、「裏アカウント」を作ってつながり合い、本音をつぶやきます。女子は非公開アカウントにしていることもありますが、プロフィールには学校名や部活を詳細に記載している人が多いですね。
Instagramは、「インスタ映え」を狙うフィード投稿と、日常を投稿する「ストーリーズ」があります。いま断然人気なのは、ストーリーズへの投稿です。
最近では、ショートムービーSNS「TikTok」の人気も上昇してきていますね。SNSは文章をシェアするものでしたが、画像、そして動画へと時代が変わってきています。女子たちに負けず、というと痛いことになってしまうかもしれませんので、そっと彼女たちのカルチャーを観察しておきましょう。
著者プロフィール
鈴木朋子
ITライター・スマホ安全アドバイザー。SNSやスマホなど、身近なITに関する記事を執筆。10代のスマホカルチャーに詳しく、女子高生とプリクラにも出かける。趣味はへんてこかわいいiPhoneケース集め。著書は「親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)など20冊を超える。