気が付けばSamsungが携帯電話販売台数でシェアトップに躍り出た2012年上半期の世界市場。スマートフォンへのシフトが一気に進む中、メーカー間のパワーバランスも大きく変わろうとしている。7月となり今年も下半期に入った後半の、各社の動向を探ってみよう。

GALAXY S IIIで販売数はさらに増大

2012年第1四半期(1月-3月)、調査会社ガートナーによればSamsungの携帯電話販売台数は8億5000万台を突破し、市場シェアは20.7%に、Nokiaを僅差で抜いてトップの座に躍り出た。同社はここのところ右肩上がりに販売台数を伸ばしており、昨年冬のiPhone 4Sの登場も同社の販売数には全く影響を及ぼしていない。

Samsungの強みは多数のモデル展開と、定期的なリニューアル製品の投入だ。フラッグシップとなるGALAXY Sシリーズを筆頭に、GALAXY R、GALAXY Y、GALAXY Wと製品の幅を広げ、さらにはフルキーボード搭載モデルやデュアルSIMカード対応品など、製品バリエーションは多い。今年の上半期にはGALAXY Ace 2、GALAXY mini 2など、昨年のヒット商品の改良バージョンも投入している。同社のスマートフォンは全世界で毎月3-4機種、すなわち毎週のように新製品が投入されているほどだ。

Samsungは今年下半期も勢いを維持するだろう

これだけ大量の新製品を投入しあらゆる消費者の嗜好をカバーする戦略は、Nokiaが圧倒的な強さを誇っていたころを彷彿させる。「Nokiaショップへ行けば、欲しい製品が何かしらみつかる」、今のSamsungはまさにそれと同じ状況にあるのだ。また売れ筋モデルが増えれば通信事業者の取り扱いも多くなり、この夏から各国で順次発売が始まったGALAXY S IIIは世界の145カ国、290以上の事業者から注文が入っている。

GALAXY S IIIはこの7月中に販売台類型台数は1000万台を突破は確実で、Samsung最大のヒット商品になることは間違いない。クリスマスシーズン出てくるであろう、新しいiPhoneは同社にも大きな影響を与えそうだが、ミッドレンジやエントリーモデルも好調なだけに同社のマーケットシェアは今年後半も引き続き上昇していくだろう。

新しいiPhoneは確実に大ヒットする

1年から1年半おきに新製品を投入するAppleにとって、この夏は残念なことに目玉商品が無い状況である。今年の第2四半期、第3四半期の販売台数はおそらく前期比と同等かマイナスとなることが予想される。特に第3四半期は新製品の買い控えが起こるため、Appleとしても販売数増は期待していないだろう。

だが冬に発売されるはずの新型iPhoneは、2年半ぶりの大幅なモデルチェンジになることに加え、Facebookアカウントが融合されたiOS 6が標準搭載される。加えて1年で最も製品販売数が伸びるクリスマスシーズンに登場することと相まって、これまでのiPhoneの販売数を大幅に超える販売台数を記録することは間違いない。

新型iPhoneのヒットはすでに約束されたようなものだ

Appleはこれまでも新型のiPhoneの投入と同時に販売台数を伸ばしてきたが、iPhone 3G、iPhone 4というフルモデルチェンジ製品の投入後は前期比で販売数の伸びが急激している。Appleのマーケットシェア10%超えも、この冬の新しいiPhoneの登場で現実味を帯びそうだ。また他のメーカーの中には新型iPhoneに対し早い時期から白旗宣言をあげるところも出てきそうだ。

各社のスマートフォン動向に注目が集まる中、今年後半もSamsungとAppleが市場を牽引してくだろう。この2社に対抗する他社の動きは、次の後編で見ていこう。