今年も様々な端末が各社から発売されたが、その中で最も勢いのあったメーカーはどこだろうか。市場シェアを順調に増加させ順位も4位に上昇したAppleの躍進が目立った1年だったが、1年前までの赤字体質から抜け出したMotorolaの復活も見逃せない。
スマートフォンに特化。売り上げと利益を黒字化
Motorolaは2009年後半に北米で発売したAndroid端末、Droidが大ヒット、それ以降は製品のポートフォリオをスマートフォン中心のものに大きく変更している。今年の出荷台数は第1四半期が850万台、第2四半期が830万台、第3四半期が910万台だったが、そのうちスマートフォンは230万台、270万台、380万台と数を増やしており、自社製品の全販売台数に占める割合も27%から42%へと大幅に増加させている。
同社のマーケットシェアは調査会社Gartnerによると今年第3四半期で2.1%、順位は7位と下位に甘んじている。だがスマートフォンの比率を増やした結果、携帯電話部門の利益は300万ドルとなり実に2006年以来の黒字を達成した。台数や売り上げではなく"利益重視"の路線に重点を置いた結果が今年1年で早くも実った格好となっており、来年も順調に新製品を投入していけばいずれは販売台数もさらに伸びていくだろう。
また薄型折り畳み端末のMOTORAZR以降ヒット商品が無く、ブランド力を大きく落としていた同社。スマートフォンに強いメーカーというイメージを確固たるものにできれば消費者からの注目も再び集めることができるだろう。MOTORAZRの発売は2004年で、これが売れすぎたことが同社のその後の端末戦略を狂わせてしまった。MOTORAZRに類似したデザインや名前の製品を次々と投入したものの、それらの製品が売れたのは2006年くらいまで。それ以降はiPhoneが市場に登場したこともあり、同社の製品は市場ニーズをつかめず混迷を極めていたのだ。
日本市場への復活が期待される
現在、海外の電器店へ行けば目立つ位置にMotorolaの製品がずらりと展示されている。製品もMilestone 2、DEFY、Flipout、Charm、Backflip、Quenchといった親しみやすい愛称が付けられておりほとんどがAndroidスマートフォンかフルタッチのフィーチャーフォンだ。旧来からのエントリーモデルやMOTORAZRのデザインを組んだ製品はすっかり数を減らしており、1年前と比較するとまったく別のメーカーに生まれ変わったほどの印象を受けるくらいである。
海外市場ではスマートフォンの売り上げが急増しており、消費者のスマートフォンシフトも進んでいる。この流れにしっかりと乗っているMotorolaの製品は、今や各国の通信事業者にとっても新規顧客を獲得するための強力な武器となっている。
一方、日本もこの冬から各通信事業者のスマートフォンへの取り組みが活発化している。海外メーカーの製品も普通に販売されるほどになっており、Samsung電子、LG電子、HTC、ZTE、Huawei、DELLといったこれまでメインストリームになかったメーカーのスマートフォンが急速に増えている。今後は日本の消費者のスマートフォンへの興味がさらに増加することは確実であり、そうなれば海外メーカー製品のプレゼンスもより高まっていくだろう。
Motorolaが日本の市場で最後の製品を出してからだいぶ時間が経ってしまったが、バリエーション豊かなスマートフォンを海外で販売している実力は日本市場でも十分発揮できるはずだ。なによりも老舗メーカーとしてのブランド力はまだ健在であろうし、製品の投入サイクルも他のスマートフォンメーカー以上に早いため年間2~3機種を日本向けに出すことも難しくは無い。2011年はMotorolaの日本市場への復活を楽しみにしたいものだ。