サムスンは韓国で「Galaxy Z Fold Special Edition」を発表しました。本体を横に開く折りたたみ式のスマートフォンの新製品です。サムスンはすでに日本など世界各国で同型のモデル「Galaxy Z Fold6」を販売していますが、この新製品は薄さにこだわったモデルです。
折りたたみスマートフォンが登場してから約5年が経ち、参入メーカーも急増しています。そしてこの1〜2年で一気に進んだのが薄型化です。たとえばサムスンの最初の折りたたみモデル「Galaxy Fold」は折りたたんだときの最厚部は15.5mm。一方、最新モデルであり世界最薄のHONOR「Magic V3」は9.2mmと、1cmを切る薄さになっています。サムスンの現行モデルのGalaxy Z Fold6は12.1mmで、実は中国メーカーの後塵を拝しているのです。今回発表されたGalaxy Z Fold Special Editionは折りたたんだときの厚さが10.6mmとHONORには及ばないものの、かなり薄くなりました。
そして開いたときも4.9mmと薄くなっています。ちなみにMagic V3は4.35mmなのでとても薄いですね。日本国内の折りたたみモデルと比較すると、Galaxy Z Fold6は5.6mm、Googleの「Pixel 9 Pro Fold」は5.1mmと、どちらも5mm以上です。さらに重さは236gで、同じくGalaxy Z Fold6の239g、Pixel 9 Pro Foldの257gより軽量になっています。
背面のカメラは3つを搭載し、メインカメラは2億画素と高画質。これまでサムスンの折りたたみモデルは高性能カメラモデルでもあるGalaxy S24シリーズよりカメラ性能を落としていました。Galaxy Z Fold Special Editionのメインカメラはフラッグシップモデルである「Galaxy S24 Ultra」と同じ画素数を採用しています。なお望遠は3倍の1,000万画素、超広角は1,200万画素で、これは現行折りたたみのGalaxy Z Fold6と同じです。
カメラ性能と薄さで中国メーカーに追いついたGalalxy Z Fold Special Editionですが、実は既存の折りたたみモデルから省かれた機能もあります。それは専用のスタイラス「Sペン」による手書き機能です。2021年に発売された3世代前の「Galaxy Z Fold 3 5G」からSペンに対応していましたが、Galaxy Z Fold Special Editionは薄型化を追求したことでスタイラスサポートは無くなりました。大きな画面で自在に手書きできる機能が無くなったのは若干残念なところ。
ディスプレイのサイズは閉じたときが6.5インチ21:9のアスペクト比、開いたときが8インチとなります。Galaxy Z Fold6は閉じたときが6.3インチ、22:9とやや縦長でしたが、より一般的なスマートフォンのような画面比で使うことができます。さらに開いたときの画面サイズも7.6インチから大型化されたため、ゲームやエンタメから2つのアプリの分割表示まで、あらゆる用途でより使いやすくなったと言えます。
Galaxy Z Fold Special Editionの韓国での価格は278万9,600ウォン(約30万4,000円)。同じメモリ容量のGalaxy Z Fold6が238万8,100ウォン(約26万円)なので、価格は約15%ほど割高です。折りたたみスマートフォンは最新のディスプレイ技術を搭載し、スマートフォンとタブレットの1台2役をこなせる製品であることから各社の製品は高価格ですが、Galaxy Z Fold Special Editionは日本円で30万円超えとさらにプレミアムな製品になっています。
Galaxy Z Fold Special Editionは韓国で先行発売されたのち、中国で高級モデルとして登場することが噂されています。一方で他の国での展開は無いとも言われています。横折りタイプのスマートフォンはグローバル市場ではサムスンが市場を独占しているものの、中国ではHONOR、シャオミ、ファーウェイ、OPPO、vivoと主要メーカー全社が製品を発売しています。数の出る中国市場でシェアを奪うためにも、中国市場への投入は必須なのでしょう。
海外ではヨーロッパで一時的にHONORがサムスンを抜くなど、折りたたみスマートフォン市場の競争が激しくなっています。サムスンが薄型モデルを投入したことで、折りたたみスマートフォンは一般的なスマートフォンとサイズの差がほとんどなくなり、今まで以上に注目を集める存在になりそうです。