一般的な大きさのスマートフォンを縦に折りたためる構造であるフリップ式のスマートフォンが、次々と登場しています。日本でも9月にモトローラが「razr 50」「razr 50s」を発表。「そろそろ”フツー”に飽きてきた?」をキャッチコピーに目黒蓮さんの動画広告展開も始まっています。確かに最近のスマートフォンは代り映えしないデザインが多く、人とはちょっと違うスマートフォンを使いたいという人はもちろんのこと、閉じたままでもアプリが使える大画面を搭載したrazr 50シリーズはスマートフォンの新しい使い方を提唱しています。

  • 日本でも発売になるモトローラの「razr 50」

    日本でも発売になるモトローラの「razr 50」

日本では今のところサムスンとモトローラだけが縦折り式のスマートフォンを出していますが、海外では大手メーカーが次々と製品を投入。ファーウェイ、シャオミ、OPPOといった日本参入メーカーも海外では折りたたみモデルを出しています。またBlackviewなど2番手メーカーも折りたたみを投入しており、各メーカーの製品ラインナップの中で一際目立つ存在になっています。

  • 非大手メーカーBlackviewの折りたたみ「Hero 10」

2024年も折り返し点を過ぎ下半期に入っていますが、次々と新しい縦折式スマートフォンが海外で発表になっています。まずはインドやアフリカにスマートフォンを展開しているTECNOの「PHANTOM V Flip 2 5G」。開けば6.94インチのメイン画面、閉じれば3.64インチの外画面が使える折りたたみモデル。カメラは5,000万画素を2つと高性能。外画面ではアプリがそのまま動きますし、カメラのプレビューも行えるので高画質なメインカメラを使った自撮りもできます。このような製品がインドで売られる時代になったのです。

  • TECNOのPHANTOM V Flip 2 5G

ちなみにTECNOは昨年も初代縦折りモデルとなる「PHANTOM V Flip」を発売し、アフリカで一躍人気になったそうです。日本ではiPhone人気が高く、他のスマートフォンには興味のない人も多いでしょうが、アフリカではTECNOの折りたたみがSNSなどで「最新スタイル」として大きな話題になりました。今年のPHANTOM V Flip 2 5Gも人気になることは間違いなさそうです。

  • 昨年発売されたPHANTOM V Flip

ところで世界のスマートフォンの出荷台数のシェア順位をご存じでしょうか? 2023年は1位がApple、2位がサムスン、3位がシャオミでした。この上位3社はなんとなく分かるかと思います。そして4位は意外と思われるかもしれませんがOPPO。さらに5位にはTranssinが入っています。このTranssionは単独のスマートフォンメーカーではなく、傘下に3社をもつ企業。その3社とはTECNO、Infinix、Itelで、3社ともインドやアフリカなど新興国をターゲットにしています。TECNOの名前は日本では知られていないものの、グローバルでは一部の地域で大きな人気を誇っているわけです。

さらにTranssionの傘下のInfinixからも縦折りスマートフォンがこの冬登場します。「Infinix ZERO Flip」という名前のモデルで、見た目はTECNOの最新モデルに似ています。同じグループ企業ということで共通設計の製品かもしれません。いずれにせよ日本からするとマイナーなメーカーも折りたたみスマートフォンの投入を本格化させています。

  • InfinixのZERO Flip。TECNOのPHANTOM V Flip 2 5Gに似ている

Blackviewのような二番手メーカーの最新スマートフォンも海外の展示会で見る機会が増えてきました。2024年9月にドイツ・ベルリンで開催されたIFA2024に出展したDoogeeは「Doogee V Flip Pro」を出展。Blakview同様4Gモデルで、自社ブランドではなく相手先ブランドで提供するための展示を行っていました。縦折りスマートフォンも自社開発せず、このようなOEM・ODMメーカーに頼めば作れる時代というわけです。

  • Doogee V Flip Pro

ちなみにこのV Flip Proは、アジアのとある国の現地ブランドで販売が決まっているとのこと。日本人が購入するのは難しそうですが、パステル系のカラーにウィジェットの動く外画面もついており、日本のどこかの企業がこれを日本向けにして販売しても売れそうです。

  • 日本人の知らない市場で販売される予定

ZTE傘下のnubiaが今年3月に縦折りスマートフォンを日本で出したように、もしかすると知られていないメーカーの折りたたみモデルがいきなり日本に投入される可能性もあるかもしれません。来年2025年は縦折りスマートフォンが今よりもっと身近な存在になるかもしれないのです。

  • nubiaのようなメーカーの折りたたみモデルが突然日本で出てくるかもしれない