シャープのミドルハイレンジスマートフォン「AQUOS sense8」は前年発売の「AQUOS sense7」の後継モデル。一見すると両者は同じ外観をしていますが、実際に使ってみると全体のパフォーマンスが高められており、さらに完成度を増しています。台湾、インドネシアでも販売がはじまっており、大手メーカーがひしめく海外市場でも互角に競争できる製品に仕上がっているのです。今回、2週間ほど実機を借りて実際に使ってみました。また台湾での販売状況も見てきました。
6.1インチの画面サイズのAQUOS sense8は、片手で持てるコンパクトな大きさです。AQUOS sense7から幅1mm、厚さ0.4mm、そして重さは1g増していますが、実際に比べてみるとその差は感じられません。それにもかかわらずAQUOS sense8のバッテリー容量は5,000mAhで、AQUOS sense7より430mAhも大容量化しました。日々使ってみるとこの差は大きく、日中に動画を見たりカメラをかなり使っても、夜帰宅するまでバッテリー残量は十分残っています。AQUOS sense8は「安心して使えるスマホ」と感じます。
側面の電源ボタン兼指紋認証センサーも中央の位置に配置されたのでロック解除がしやすくなりました。これはAQUOS sense7で不満点だったので大きな進化です。いざ写真を撮ろうと思った時に、握ったまま即座にロック解除できるのは便利ですね。
カメラはミドルハイレンジモデルとしてかなり良好な性能を持っていると感じます。AQUOS sense8はメインの広角カメラを背面中央に配置しているので、スマートフォンを向けた正面をそのまま撮影することが可能。これは縦動画を撮るときも画角がずれないので使いやすいでしょう。画素数は,5030万画素あり、通常は複数の画素をまとめて1,200万画素相当として使うピクセルビニングにより撮影するので、暗いところも苦手としません。なお、超広角カメラは1,250万画素です。カメラスペックはAQUOS sense7と変わっていないようですが、広角カメラには光学手振れ補正を搭載。加えて画像処理エンジンをアップデート。さらにチップセットがSnapdragon 6 Gen 1に変わったことで、全体的なパフォーマンスは上がっています。
カメラのUIはシンプルになっており、撮影する際も迷わず撮影できます。AI処理が優秀なので画面で見たときに暗いかな、と思っても、撮影画像を見ると明るく写っているなど、撮影の失敗が少なく満足得られる写真を撮れるカメラだと感じます。
最近のスマートフォンのカメラは明るい日中であればかなりきれいな写真を撮ることができます。一方でよく撮影するのは食事ではないでしょうか。そこで屋内のハンバーガーショップ、やや暗い居酒屋で撮影をしてみました。派手なAI処理はないものの、食材の質感をおいしそうに表現してくれます。
屋外では影のある場所を撮影してみました。右側の壁の奥の手前あたりからは木の影もあって実際はもっと暗いのですが、自然に明るく補正してくれます。このようなシーンを撮ると「失敗しない絵が撮れる」カメラだな、と感じるわけです。
そして夜景の撮影です。カメラのモードはビデオ、写真、ポートレート、ナイト、マニュアルとあり、ナイトで撮影すれば美しい夜景が撮影できます。撮影後に数秒待つものの仕上がりを見れば5万円台のスマートフォンとは思えないでしょう。イルミネーションのきれいな冬の夜景撮影にも向いています。
さてAQUOS sense8は海外でも販売されていますが、実際に台湾に行って現地の様子も見てきました。台湾では12月1日から14,990台湾ドル(約6万8,000円)で販売が始まりました。大手キャリアのFar EasToneは契約とのセットで1,990台湾ドル(約9,000円)で割引販売するなど、戦略的な製品にもなっています。
週末のFar EasToneの大型店に立ち寄ってみたところ、結構な数の来客がAQUOS sense8を手に取っていました。小さなボディーに使いやすいカメラ、手ごろな価格、そして安心の日本ブランドというあたりが受けているようです。
台湾のAQUOS sense8の価格は、シャオミの台湾での「Xiaomi 13T」の1万6,990台湾ドル(約7万7,000円)に近い値段設定になっています。シャオミのグローバル上位モデルに近い価格でも十分競争できるだけの製品というわけです。AQUOSシリーズのグローバル展開が広がれば、販売数増加により製造コストも下げられますし、次期モデルの開発にも弾みがつきます。日本だけではなく海外でも評価されるスマートフォンとなったAQUOS sense8、安心して購入できるスマートフォンの1つと言えるでしょう。